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News Item 20050221sc
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社会的対話体制に関して

最近になって社会的対話が最大の関心事に浮上している。民主労総の代議員大会が暴力で汚され、これを非難する世論と共に、社会的対話を要求する声が沸騰している。何時からか、社会的対話が「国民の期待」に変身し、絶対的(?)な価値になってしまった。

だが社会的対話がなぜ必要で、今後どのように発展させて行くべきなのか、そして過去の轍を踏まないために政府と使用者の姿勢はどうでなければならないのかについては、ほとんど関心がない。ひたすら労働界が社会的対話に正常に参加するかどうかにばかり関心が注がれている。果して労働界が参加するだけで万事うまくいくのだろうか? 逆に労働界さえ譲歩すれば、問題が解決するというのだろうか?

一般に、社会的協約体制の安定的運営のためには労働組合の中央集中化と親労働政党の執権に言及される。もちろん労働組合の戦略的選択は重要だが、それだけでは可能ではない。何よりも政府の意志が重要だ。労働組合を支配や調整の対象でない、真の社会的パートナーと認めなければならない。社会的対話機構を労働組合の政策決定参加単位として認めなければならない。

だが、そうした部分に対しては考えられていないようだ。せいぜい社会的対話体制が構築されなければ、非正規職立法案はもちろん労使関係ロードマップを年内に処理するという強圧的な姿勢だけが見えるだけだ。使用者もまた政権の顔色をうかがったり経済復興に関する世論を背に負って、ひたすら労働組合の譲歩を勝ち取ろうという近視眼的思考から抜け出さなければならない。

西欧ヨーロッパでの社会協約は、一般に経済危機の突破口とみなされる。韓国の経済も2000年8月以後、およそ4年間ほど不況が続いている。景気循環に加え構造的矛盾まで重なり、不況が進行して長期化している。政府や保守言論が社会的対話を話題としているものもまさにこのような趣旨であろう。

だが、看過していることがある。少なくとも西欧ヨーロッパでこのような社会的協約が可能でありえたのは、労使間の信頼と対等性が確保された近代的労使関係が構築されていたためだ。しかし韓国では、労使の対等性はもちろん、労使間の信頼も非常に小さい。

さらに98年の労使政別途妥協が経済危機克服のための方便として利用されたという不信を抱いている。合意事項のひとつだった失業者の超企業単位労組加入は、まだ履行もできずにいるのが実情だ。こういう状態で、社会的対話は経済危機を克服するための突破口としてではなく、参加に基づく合理的労使関係構築の基盤として推進されなければならない。

政府は労使関係ロードマップと共に、政府が企画する労働政策を社会的合意によって処理することを願っている。だが、労使政別途妥協に対する被害意識、労使政間の不信などを総合的に考慮すると、労使関係に関してすぐに合意することは不可能だ。さらに労働組合は水平的組織構造を持っている。代表者が確信していても、一方的に組織を導いていくことはできない構造だ。

ある人は、社会的合意に対する大衆の順応問題は、労組内部の民主主義を通して克服できるという。だが、労働者の自発的同意を引出すためには社会的合意が必要だという認識を実証的に見せることが必要だ。経済危機以後に深刻になっている社会二極化の解消、雇用創出、社会安全網の拡大などと共に、労働者の生活の質に関する問題が社会的合意を通して解決することを示すべきだ。

労働組合の立場としても、動員の政治には次第に一定の限界が見えている。問題を先行獲得しても、事実上得るものがない闘いの繰り返しに労働大衆は疲れざるをえない。政治圏に圧力を加える方式も、新自由主義の基調下では限界を持たざるをえない。現実的に労働界は労働者たちの生活の質と直結する住宅、塾、物価、租税、社会保険などに対する要求を完全に貫徹させる地形も力も持たない。このような中で、社会的交渉による合意方式を制度化することが必要だ。

韓国労総は昨年、非正規職立法案の処理を留保して、「社会的対話」の枠組の中での再議論を要求した。社会的対話体制を構築するにも時間が必要だ。むしろ、社会的対話体制の固定に反対している一部の経済官僚と一件主義を根絶するなど、発展方案を模索することが絶対的に必要な時点だ。

韓国労総チョンギロ政策本部長 2005-02-21 午前8:13:26入力 (C)毎日労働ニュース

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2005-02-21 12:07:11 / Last modified on 2005-09-05 05:15:53 Copyright: Default

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