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交渉窓口単一化、多数代表vs比例代表制vs自主交渉制

[民主労総ロードマップ政策ワークショップ](2) -複数労組産別体系下の団体交渉

崔ハウン記者

2007年の企業内複数労組許容を控え、複数労組体制の下の団体交渉問題も 労使関係先進化ロードマップの主内容になっている。

労使関係法制度改善法案先進化委員会(先進化委員会)は、1次的には労使自治 による交渉窓口の単一化を原則として提示しているが、窓口が単一化しなけれ ば使用者の交渉義務が発生しないと明示し、結局何らかの方法で交渉窓口を単 一化することを強制している。先進化委員会は、単一化手続きとして △過半数労組で窓口を単一化する多数交渉代表制 △組合員数に比例して、交渉委員団を設ける比例交渉代表制 の2つの案を提示している。

「交渉窓口単一化問題は原則的に労使自律決定の問題で、これを法で強制する のは労使自治の原則を侵害する」というのが民主労総の基本立場だ。

14日に開かれた民主労総ロードマップ2次政策ワークショップでは『複数労組・ 産別労組体系下の団体交渉』という主題で、こうした複数労組交渉窓口単一化 の問題をめぐる争点について深い議論が進められた。

発表者には、イスンオク釜山大法学教授、チョヨンマン建国大法学教授、 金テヨン民主労総政策局長が参加した。

イスンオク、「単一化に敏感になる必要ない、多数代表が現実的代案」

イスンオク教授は窓口単一化方案のうち、多数交渉代表制に賛成する立場から 提案を行った。イスンオク教授はまず多数交渉代表制が国際労働基準と憲法に 違反しないという点を喚起し、これ続き、△日本を除くほとんどの国で採択さ れている点、△カナダなどの国で労組の組織率に相当な実効性を見せている点 を主張の根拠として示した。

イスンオク教授は自律交渉制を施行している日本の例として、「自主交渉制を 施行しても、現実には労組の規模による交渉力の差によって、多数労組に恩恵 を与える形態で維持されている。多数労組の基準も判例により左右されている」 と説明し、「使用者が御用労組を結成する労組無力化の試みと、組合間での差 別行為を繰り広げているのが日本の現実」とし、自主交渉制が窓口単一化の代 案ではないと主張した。

また比例交渉代表制についても、教員労組の例をあげて「単一の勤労形態と勤 労条件を持つ教員労組でさえ、比例交渉代表構成に困難を経験している。民間 部門ではさらに問題が大きい」と主張し、△すべての労組に交渉団参加を保障 するため御用労組の関与を排除する方法はないという点、△複数労組の乱立を 持たらす点、△組合規模と企業規模差を反映し、交渉委員配分を制度的に設定 する立法技術が難しい点を上げて批判した。

イスンオク教授は「交渉窓口の単一化が究極的には、明らかに労組の交渉力強 化に寄与するところがある」とし、「労働界があまり窓口単一化に敏感になる 必要はない」と主張した。イスンオク教授は「問題は団体交渉権を侵害する余 地を少なくし、どのように交渉力を高める方案を設計するかが重要」だと主張 した。

イスンオク教授は最後に「企業内複数労組の経験のない状況で、予想できない 紛争と混乱が発生する可能性が高い」とし、窓口単一化制度を2005年末までに 急いで確定した後、企業の変動などで1社にいくつかの労組がある事業場を対 象としてまず2006年に施行して、2007年から全事業場に拡大する段階的施行方 案を今後の課題として提示した。またイスンオク教授は「複数労組許容で労使 関係が急変することが予想される。これを現在の労使関係システムを全面的に 再検討する契機にしなければならない」と強調した。

チョヨンマン、「窓口単一化が当然なのかを確かめよ、比例代表制は相対的に優越」

チョヨンマン教授は提案に先立ち「97年に複数労組許容を導入し、交渉窓口の 単一化の方案研究を法に規定したのだから、窓口を単一化するのは当然なのか から確認しなければならない」とし、「すべての議論に先立って、窓口の単一 化や自律交渉制度が差別的な労働の現実を是正できるのかについてまず答を出 さなければならない」と主張した。

チョヨンマン教授は「外国では、一程の要件の下で交渉を促進するために窓口 の単一化を導入したが、韓国は既に交渉権を持っている各労組の交渉権を制限 するようになるので、導入の背景そのものが違う」と説明し、「先進化方案で 提示された二つの案のうち、多数代表制より比例代表制が相対的に妥当だとい う観点で言及したに過ぎない。最も多数の代表が最も適切だというのではない」 という前提のもとに、比例代表制に賛同する提案をした。

チョヨンマン教授は比例代表制の妥当性の根拠として、△団体交渉権に対する 侵害の最小化、△労働組合間の平等権保障、△窓口単一化方案にすべての労組 が参加する機会を認めるという点で労使自治原則に符合、△交渉単位内の絶対 多数を占める労組がない場合は共同あるいは個別交渉保障望ましいと見る国際 労働基準に符合、△全体勤労者ではない組合員に限定された代表性を持つ労組 の代表性の本質に符合する、などを上げた。チョヨンマン教授はまた比例代表 制が紛争解決による社会的費用を最小化し、参加・統合的労使関係の確立に寄 与すると主張した。

チョヨンマン教授は比例代表制の難点に対する反論として「教員労組の場合、 交渉団構成の困難は、教員労組法上交渉委員選定の不備などの制度的欠陥のた めであり、比例代表の本質的問題ではない」と主張し、「多数代表も、比例代 表制も、現実的には結局多数労組の意志貫徹されるのだが、多数が共に参加し、 意見を統一して行くことが重要だ」と、比例代表制が優れた代案だと強調した。

金テヨン、「産別を考慮した総合的な新しい枠組みを作れ、自主交渉に任せろ」

金テヨン民主労総政策局長は先進化委員会が窓口単一化に含まれる根拠に対す る批判から提案を始めた。先進化委員会が含まれる根拠は△2006年の末までに 交渉窓口単一化の事項を講じなければならないという労組法の立法の趣旨に符 合する、△労使間労組間葛藤と交渉費用最小化、△勤労条件平等に符合する、 などだ。

金テヨン政策局長は「労使関係を先進的に改善すると言いつつ、労働界の反対 を無視して一方的に貫徹した現行法の枠組み(労組法)内で改革を議論するのは 話にならない」とし「法改正以後7年間の労使関係と労働運動の変化を考慮し、 複数労組交渉方式を原点から検討すべき」と主張した。金テヨン政策局長は続 いて「先進化委員会は、複数労組の交渉方式決定の根拠を労働三権の強化では なく『葛藤と費用の最小化』で捉えている」とし、「これは労働三権を最小化 すべき『費用』と考え、労働三権保障という憲法の精神によって企業主が当然 負担すべき費用を労働者に転嫁するもの」と批判した。

また、金テヨン政策局長は「未組織労働者の平等権の問題は、一次的に彼らが 労働三権を拡大強化し、労働条件を勝ち取れるように保障すること」と主張し、 「窓口の単一化は、後発の少数労組の立場にある非正規職などの未組織労組の 労働三権を制約しかねない」と指摘した。「委員会が憲法や国際労働基準には 反しないという証明に汲々とする姿は、違反する余地の恐れを前提にしており、 実際にもさまざまな面で違反の余地が大きい」という点も、金テヨン政策局長 は指摘した。また、金テヨン政策局長は「外国の事例が基本的に労組の交渉力 を促進するという前提での制度だという差を無視したままで言及されている」 とし、「国民健康保険公団や国民銀行など、1次多労組体系の国内事例が自主 交渉が処理できないほどの費用は誘発しないことを見せているのに、なぜ考慮 しないのか」と反問した。

金テヨン政策局長は「韓国労働運動が産別労組転換の新しい方向に向かってい る」という点を強調し、「窓口単一化という議題が企業単位で投げられたとし ても、今後は産別交渉までを逆規定し、いびつな産別交渉構造を作ったり、産 別の前進そのものを遅らせかねない」という憂慮を表明した。金テヨン政策局 長は「複数労組-産別労組体制に照応する総合的な交渉方案の用意が必要だ」 と強調し、△産別交渉促進制度改善案、△自律交渉構図、△労組差別に対する 不当労働行為禁止条項強化、△団体協約効力拡張などの改善方案を提示した。

2005年07月18日7時10分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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