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社会主義候補バーニー・サンダースの突風と米国左派運動

バーニー・サンダースの突風=99%の政治的表現

ウォン・ヨンス国際フォーラム 2015.08.21 19:27

民主党のヒラリー・クリントンと共和党のジェフ・ブッシュ間の二強対決が予想される米国の大統領選挙で、 予想外の伏兵、バーニー・サンダース候補が民主党の競選で突風をまき起こしている。 7月から本格的な遊説戦に突入した後、7月1日にウィスコンシンのマジソンで1万人、 7月18日のアリゾナ州フェニックスで1万1000人、 7月20日のテキサス州ダラスで8000人、 7月25日のルイジアナ州ニューオーリンズでの4500人に続き、 8月8日にはワシントン州シアトルで1万5000人が集まり、 8月9日のオレゴン州ポートランドでの遊説には約2万8000人が参加したと集計された。 ヒラリー・クリントンの最大遊説規模(8月6日5500人)を圧倒する規模だ。

演説会場の熱気も熱い。演説会場を埋めた聴衆は遊説の最初から "Feel the Bern(バーニーを感じてください)"というシュプレヒコールをあげ、 サンダースが舞台に上がると歓呼が溢れでる。 サンダースが今回の選挙は「億万長者に抵抗する政治革命」と主張し、 聴衆らは「バーニー! バーニー! バーニー!」と連呼して演説会場の熱気を押し上げる。

そればかりか、選挙資金募金と組織化でサンダース・キャンペーンは画期的な様相を見せている。 選挙資金については2015年の1/4分期に共和党ジェフ・ブッシュ候補の1億300万ドル、 民主党ヒラリー・クリントン候補の4750万ドルと比べ、 サンダース陣営は1500万ドルを集めた。 大企業の巨額寄付に依存する主流候補と比べればとても少ない金額だが、 圧倒的多数の草の根小額寄付金で確保した寄付金だけに、額面価以上の価値がある。

バーニー・サンダースの突風=99%の政治的表現

彼は米国で二番目に小さいバーモント州の無所属上院議員だ。 上院で唯一の無所属であり、唯一の社会主義議員だ。 バーモントの首都バーリントンの市長として政治経歴を始めたバーニー・サンダースは、 下院8回当選を経て上院に入城した。 保守的なバーモントでは有名な社会主義政治家だが、 全く全国的な政治家でもなく、米国の進歩陣営も彼の親労働採決の経歴程度しか分かれていない水準だった。

4月に民主党の競選立候補を宣言した当時は、誰もバーニー熱風を予想できなかった。 億万長者に対する政治革命というスローガンの下で、株式会社米国に対するバーニー・サンダースの攻撃は、 すべての人のための公共医療、無償高等教育、最低賃金引き上げなどの懸案に対する進歩的立場と経済的・人種的不平等の解消を叫んでいる。

バーニー・サンダースが強大なヒラリー・クリントンに対して善戦している理由は何か? まず経済危機とそれによる社会の二極化に対抗し、社会経済的正義を主張しているからだ。 中産層が没落して貧困が拡大する経済的二極化状況で、 民主-共和両党の候補が99%を代弁できていないからだ。 民主党も1%の企業権力の前に、雇用と賃金、保健医療と教育など、 生存権と福祉問題に無気力な状況に対する99%の絶望と抵抗をバーニー・サンダースが代弁しているためだ。

サンダースと労働組合

労働者の間でもサンダース熱気が高い。 バーニーを支持する労働者(Labor for Bernie)という支持する会ができ、 5000人ほどの一般組合員が加入した。 米国労総(AFL-CIO)南カルフォルニアなど一部の地域本部と数百の労組支部がサンダース キャンペーンを支持している。

一方、次期政府で教育部長官を狙うランディ・ウェインカートン委員長の米国教員労組(AFT)は、 組合内で議論の過程なくヒラリー・クリントンを支持候補に選定し、 一般組合員の反乱と抵抗に直面している。 こうした雰囲気に押され、AFL-CIO指導部は大統領選候補承認の決定を延期した。

サンダース熱風と米国の左派

1980年代のジェシー・ジャックソンと虹連合(Rainbow Coalition)、 2007年の緑色党ラルフ・ネーダー選挙運動を経験した米国の左派にも、 サンダース・ブームは熱い争点になっている。 保守二大政党体制の下で周辺化され破片化されている左派は、 サンダースの宣伝に驚きつつ、新しい状況に対する適応で混乱している。

伝統的に民主党内の活動を強調する米国共産党などの旧左派は、 サンダース選挙運動に距離をおいている。 民主党内外で進歩的な民衆運動を建設するという目標を提示しつつ、 事実上、民主党の候補への支持に帰結する態度を見せたためだ。 その結果、他のグループから典型的な「次悪主義(lesser-evilism)」という非難を受けた。

しかし民主党内の活動や民主党との連係を拒否する左派勢力(トロツキー主義ISOなど)は、 バーニー・サンダース選挙運動に対する批判的な立場を堅持している。 一方、独自路線を追求している米国緑色党はジル・スタイン候補を立て、 彼女は最後まで完走すると明らかにしている。

バーニー・サンダースの突風と政治的メッセージは、 米国の政治を草の根から揺さぶっており、 99%政治の新しい可能性を見せている。 しかしこの突風が保守二大政党体制に代わる進歩的第3政党の結成につながるかは疑問だ。 なぜなら民主党問題という米国左派の根本的なジレンマから相変らず自由でなく、 現在、破片化されている左派には、 99%の政治的表現としてのサンダース症候群を組織的成果に持っていけるような主体的力量が欠如しているためだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-08-25 10:40:27 / Last modified on 2015-08-25 10:40:29 Copyright: Default

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