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裁判所はなぜ行政の裁量を追認してしまうのか〜朝鮮高校無償化連続学習会

 1月30日、東京・文京区民センターにおいて、東京朝鮮中高級学校「高校無償化」裁判弁護団が主催する連続学習会の第4回目が行われ、50人以上が参加した。
 学習会では、住基ネットや原発差し止め判決を下した元裁判官の井戸謙一さん(現弁護士)を講師に招き、朝鮮高校無償化裁判を通じて明らかになった裁判官の行政政策を追認する背景について学習した。

 講師の井戸謙一さんはまず始めに「31年間裁判官をやってきたが、最近の裁判所の判断を見ていると目を覆いたくなるような判決が続いている。裁判所内部のことは、なかなか皆さんが知ることが少ないだろうと思うので、私が体験してきたことを率直に話をしていきたい」と語った。

 そして「裁判官は、最高裁事務総局を代表に『裁判をしない裁判官』がエリートです。私が裁判官に任官された1979年当時は、司法反動と闘う雰囲気や裁判官は対等であるという価値観があった。それが2011年に裁判官を退官する時には、裁判所の姿が大きく変化してしまった。給与やポストにおける差別人事が実際に行われ、裁判長が判事補を指導することによる『上下関係』が意識されて最高裁を頂点とする官僚組織になってしまった。その一方で、裁判官は立法機関や行政機関の政策的裁量に切り込まず、原発訴訟を代表とする専門技術的裁量には専門家ではないことを理由に、こちらも切り込んで判断したがらない。そして何よりも『無難に、目立たず』とする裁判官の本音がある。朝鮮学校無償化裁判においても最高裁は、朝鮮高校の無償化適用除外が政治外交的要因に基づくものであるとの原告側の指摘を無視し、判決を出してしまっている」と述べた。
 そして最後に「裁判官世界の官僚組織に風穴を開けることが必要。そのためには市民の声が重要で、市民は裁判官の判断に関心を持ってほしい」と訴えた。

 18歳未満の子の人権を保障する「子どもの権利条約」が国連で採択されて30年、日本が条約を批准して25年が過ぎた。にもかかわらず、日本国内では「官製ヘイト」のごとく特定の人たちを対象にした差別的な施策が行われている。
 朝鮮幼稚園など特定の外国人学校が運営する幼稚園は幼保無償化の適用対象外とされ、現在適用を求める署名運動が行われている。
 朝鮮の党機関紙・労働新聞は何度も幼保無償化適用除外を「対朝鮮敵視政策」として、適用を求めている。拉致問題の早期解決を最重要課題とする現政権は、日朝交渉を進める意向を内外に示しているが、実際に行っていることは言動とかけ離れていて相手国を怒らせ、失望させている。外交は相手国の信頼を得た上で心を掴めるだけの材料をいかに出していくかを考えるべきなのに、一方的な要求だけでは全く前進しない。せめて外交のための環境整備を早急に行うべきである。〔金子 通〕


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