本文の先頭へ
LNJ Logo 「裁判所前の男」がまた不当逮捕!/勾留理由開示裁判はすさまじい弾圧法廷に
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1221shasin
Status: published
View


「裁判所前の男」がまた不当逮捕!〜勾留理由開示裁判はすさまじい弾圧法廷に

    山口正紀(ジャーナリスト)

●続報1(憲法踏みにじる東京地裁)●続報2(怒りの意見陳述)

 長編ドキュメンタリー映画「裁判所前の男」(2015年・ビデオプレス)の主人公Oさん(写真)が12月7日、東京地裁の法廷前廊下で「建造物不退去罪」で現行犯逮捕され、警視庁に勾留されている。その勾留理由の開示を求めた法廷が21日午前、東京地裁430号「警備法廷」(裁判官・三浦裕輔)で開かれた。同法廷は20席の小法廷だが、Oさんの闘いを知る人たち19人が傍聴に駆けつけ、Oさんを激励した(Oさんは、取調べに対して名前も完全黙秘しているので、その意思を尊重してイニシャルで表記する)。

 勾留状によると、Oさんの「被疑事実」は概略、次のようなものだ。

《被疑者は、法廷内で録音機を使用する要注意人物としてあらかじめ把握されていたものであるが、12月7日午前10時18分ごろ、東京地裁618号法廷前通路で、地裁総務課長補佐Aから退去するよう要求されたにも関わらず、通路にとどまり、10時38分まで、退去しなかった》

 この「被疑事実」では、Oさんはその日、法廷内で録音機を使ったわけでも、それを現認され、注意されたわけでも、それに抵抗したわけでもない。〈裁判所が「要注意人物」と認定し、職員が退去を求めたのに退去しなかったのは「建造物不退去罪」に当たる〉という、むちゃくちゃな言いがかりだ。

 それでも、東京地裁(裁判官・泉有美)は12月10日、Oさんの勾留を認めた。この勾留理由の開示を求められた法廷で、三浦裁判官が述べたのは、「被疑事実」の復唱、それに続けて「被疑者には建造物不退去罪を疑うに足る相当の理由がある」「罪証隠滅・逃亡を疑うに足る相当の理由がある」という、何の理由にもならない短い説明だけだった。

 これに対し、弁護人の長谷川直彦弁護士が勾留の不当性について、項目ごとに求釈明しようとすると、三浦裁判官は「一括してやってください」と介入。長谷川弁護士が「個別にやらせてください」と言った直後、傍聴席で「そうだ」と一言言っただけの女性に、三浦裁判官はいきなり退廷を命じた(この「警備法廷」と称する弾圧法廷のひどさは、後ほど別稿で紹介したい)。

 長谷川弁護士はまず、「被疑事実」が「法廷で録音機を使う要注意人物」と断定した理由について、次のように質問した。

 )…遒任力寝擦魘愡澆靴針[瓩浪燭 禁止する根拠は何か H鏥深圓蓮△い掴寝撒,鮖藩僂靴燭里 い修譴砲茲辰董⊆続欧枠生したのか ネ彙躇嫂擁とは、どんな人物か θ鏥深圓鰺彙躇嫂擁と断定した理由は何か Г修譴鯣獣任靴燭里蓮∈枷十蠅里匹良署か ┐修良署のだれが判断したのか その根拠は何か そのことを被疑者に伝えたか――。

 これに対し、三浦裁判官は「録音機を使用する要注意人物という退去要求の前提には、相当な理由が認められる」と言うだけ。弁護人が「それでは回答になっていない」と指摘しても、その後は「回答の必要は認められない」と、問答無用で切り捨てた。

 その対応に、弁護人は「あなたは泉さんですか」と勾留状を出した裁判官の名を挙げて追及、「勾留の理由がわからないから、別の裁判官であるあなたに理由を開示してください、と言っているのに、何も理由を言わないのは、勾留理由開示という憲法上の権利侵害ではないか」と抗議した。

 弁護人はさらに、仝畫10時18分ごろ、618号法廷は開廷中だったか 被疑者は裁判の進行を妨害したか 1宮課長補佐が退去を求めた理由は何か げ寝麝弋瓩靴燭――などと釈明を求めたが、三浦裁判官は「すでに述べた通り、一件記録から認められる。それ以上は回答しません」と突っぱねた。

 また、弁護人が、10時18分から38分まで、どんなやりとりがあったのか △修龍饌療内容はどんなものか 38分に不退去罪が成立したと判断した理由は何か――と聞いても、裁判官は「先ほど開示した通り」と言い続けた。

 もう一人の弁護人・萩尾健太弁護士は、勾留を続ける理由として挙げられた 〆畩擶L任龍欧 逃亡の恐れ――について、具体的な説明を求めた。これは初めての質問だったが、三浦裁判官は、これにも「先ほど説明した通り」で逃げた。

 これに対し、萩尾弁護士は「人を拘束しておいて、そういう答え方はありますか」「あなたは憲法上認められた勾留理由開示の権利を理解しているのか」と迫ったが、三浦裁判官は、「それは、弁護人のご意見ですか。ではご意見として聞いておきます」で終わり。その後も、弁護人が何を聞いても、三浦裁判官は「回答しません」以外言わなかった。

 この後、長谷川、萩尾弁護人が、それぞれ10分ずつ意見陳述した。長谷川弁護士は「きょうの勾留理由開示法廷は、ワースト5に入るひどい法廷だった。直ちに勾留を取り消すべきだ」と述べ、萩尾弁護士は「もし本件が起訴されたら、なぜ裁判所は録音機を禁止するのかを問う憲法訴訟になる。そこまで見越してやっているのか」と指摘(詳細は別稿で)。

 最後に、Oさん本人が意見陳述。「最高裁長官は、わかりやすい司法、開かれた司法、と言っているが、これが開かれた司法か。お前たち裁判官は、最高裁長官の言葉など、くそくらえと思っているのか、どうなんだ」と裁判官の態度を批判し追及、「裁判所の犯罪」を追及した(詳細は別稿で)。三浦裁判官は、「おまえ」と呼ばれたためか、顔を真っ赤にして聞いていたが、陳述が10分を過ぎたところで「もうやめなさい」と命じ、それでも裁判所批判を続けるOさんに対しても、退廷命令を出した。

 裁判所が「要注意人物」と認定した人、裁判所の気に入らない人には、裁判所構内にいることも許さない。退去しなければ逮捕し、勾留する。日本は、そういう暗黒社会になった。裁判所は、憲法が通用しない、無法地帯になってしまった。

 最初に法廷にいた傍聴者19人は、閉廷の時点で11人に。自主的退廷者1人を除き、7人が警備員に抱えられ、法廷外に連れ出された。この暴力法廷を傍聴した私たちは、「三浦裕輔」という、「回答しません」しか言えないロボットの名を忘れないだろう。


*強制退廷の様子(映画「裁判所前の男」から)。この日もこうした情景が繰り返された

手錠をかけられたかのような屈辱〜裁判を傍聴して

 Oさんの勾留理由開示裁判を傍聴した。430法廷は20席だけの小さな法廷だ。まずOさんが入廷。手錠をかけられたまま、満席の傍聴席に向かってニッコリ。思わずガンバレと声があがるのを、若い裁判官がたしなめる。萩尾弁護士が「こんな裁判はなかなかないので、傍聴席から声が出るのはやむを得ないのでは」と発言。裁判官は「ご意見として聞いておきます」とだけ告げた。

 なぜOさんを勾留するに至ったのか。それを明らかにするための裁判なのに、この法廷にいるのは勾留を決めた判事とは違う。そして彼は名前を名乗ることもない。映画「裁判所前の男」をみて知ってはいたものの、本当におかしなことだ。

 そして弁護士が求釈明を始めると「一括してまとめて言え」「弁護人に与えられた時間は十分以内」と言い出した。長谷川弁護士は怯むことなく「民事法廷内で録音機所持を禁止する法的根拠は?」「Oさんは具体的にどのように録音機を使用したのか」「Oさんの行為はどんな不都合を生じさせたのか」「勾留理由にある要注意人物てはどういう意味か」と一つ一つ質問したが、裁判官はとりあおうとしない。傍聴席から何か声があがったら退廷させようと、それだけを考えているようだった。小声で何かを言った女性にいきなり退廷を命じ、彼女は数人の警備員に取り押さえられ引きずり出された。Oさん自身呆れ果てた様子で裁判官に忠告すると「被告を退廷にするわけにいかないから発言しないで」とOさんを諭す一幕もあった。

 長谷川弁護士が「Oさんは騒いで裁判を妨害したりするようなことがあったのですか」と問うと「先ほど回答しました」と裁判官。「今、求釈明したばかりじゃないですか」と弁護士。まったく対話になっていない。対話になったら負けだと教えられているのだろうか。私が「答えてないよ」とつぶやいたら、いきなり退廷を命じられた。Oさんを激励したくて何とか最後までもちこたえようと、ムカつく気持ちを抑えていたが無理だった。仕方ないので後は大声で言いたいことを叫んだ。

 一人の人間を拘束するには、それ相応に理由が必要だ。しかし、この裁判官をみたら、そんな理由などないことがわかる。そしてこの若い、名乗ることもない裁判官には、人の自由を奪うことへの責任も覚悟もないと感じた。退廷させられた後は何人もの警備員に囲まれ、ビデオ撮影された。法廷内では録音も録画も禁じられているのに。まるで手錠をかけられたかのような屈辱を味わった。Oさんが訴え続けてきたことは、本当に大切なことなのだとあらためて思う。(H)


*12.21の裁判所前の立て看板。行政権力と一体となったヒラメ裁判官への怒りが充満していた

映画『裁判所前の男』HP


Created by staff01. Last modified on 2017-12-23 17:16:30 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について