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パワハラもみ消し「凸版印刷」のお粗末〜「団交拒否は違法」都労委が命令


 *記者会見する指宿昭一弁護士

動画(6分33秒/指宿弁護士解説)

 「ものを投げつける、皆の前で罵倒される、嫌がらせの配転を迫られる」など上司のパワハラに耐えられず、声を上げた凸版印刷の生産管理で働くAさん。組合員であった凸版労組にパワハラについて「会社と交渉してほしい」と依頼したが門前払いされてしまった。そんなとき知ったのが一人でも入れる合同労組「日本労働評議会」だった。Aさんは日本労働評議会に加入した(団交申し入れ後に、凸版労組を脱退)。そして2016年3月31日に団体交渉を会社に申し入れた。しかし凸版印刷の回答は「団交拒否」。理由としてあげたのが「貴殿がいかなる団体であるか知りません」「(合同労組は)当を得ないものと思料いたします」「使用従属関係にある者は1名に過ぎず、その他の構成員は使用従属関係がないので労組の資格はない」というもので、真っ向から合同労組の存在そのものを否定するものだった。この組合対応を指揮した会社側代理人は、すき家などで悪名高い「番町総合法律事務所」の河本毅弁護士だった。

 組合は「不当労働行為」として東京都労働委員会に2016年5月12日に申立した。そして1年の審理をへて、都労働委員会は2017年7月26日「団交拒否は不当労働行為である」と認定した命令書(7/4付)を交付した。命令では「団体交渉について、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない」とし、会社に命令書(文書)の職場掲示を求めている。申立人は文書掲示を求めていなかったが、それを加えたことは異例で、労働委員会がとても怒っていることがわかる。文書掲示命令を加えた理由として命令書には、「会社は労働組合法の趣旨にもとる独自の見解に固執した対応に終始し」と書いてある。つまり河本毅弁護士の「独自見解」は労働組合法にもとるものでとんでもない、という労働委員会の怒りだった。そんな弁護士に従い悪質な団交拒否を行った大企業「凸版印刷」のお粗末さも暴露されることになった。

 都労委命令を受けて、7月27日午前、日本労働評議会事務所で記者会見があった。中里好孝東京都本部委員長・田中正基執行委員が出席して経緯を説明した(写真上)。同席した顧問弁護士の指宿昭一弁護士はこうコメントした。「経営側の合同労組対策はいろいろあるが、普通は組合を認めた上での対策。ところが’河本毅弁護士は合同労組そのものを認めないやり方できわめて悪質だ。河本弁護士はすき家の労働事件の会社側代理人もしていて、その際も同様の主張をしている。こんな主張をする人は学者にも法曹界にもいない。だから労働委員会でも裁判所でも会社側が負けるのは必至だが、かれらもそれを知っている。しかし負けてもいいから係争の時間を稼いで、5年も6年も団交を開かず、その間に組合をつぶすという考えなのだ。これはとても危険だ」と語気を強めた。中里委員長は「合同労組の否定は労働運動を封殺する行為で許せない。同じ被害にあっている合同労組と一緒にたたかっていきたい」と述べた。

 当該のAさんは現在も凸版印刷で働いている。かれはイジメに負けることなく「上司に絶対服従の凸版印刷のばかげた体質を変えたい」と決意しているとのこと。凸版印刷で起きていることは、パワハラが蔓延する日本のあらゆる職場の縮図である。企業内組合が御用化し役に立たない現実の中で、職場の問題を解決するには一人でも入れる合同労組の存在は不可欠で、唯一の希望でもある。都労委命令では「本件のように、当該使用者に雇用されている者が少数であったとしても、主体の点で労働組合法上の労働組合該当性が問題になることはない」と合同労組の合法性をはっきり認めている。凸版印刷に都労委命令を守らせることはとても重要だ。(M)

*参考
凸版印刷事件命令書交付について 東京都労働委員会事務局
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2017/meirei28-42.html


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