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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(12/10) : 都教委にいじめ対策を論じる資格はない!
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●根津公子の都教委傍聴記(2015年12月10日)

都教委にいじめ対策を論じる資格はない!

 今日の公開議題4件のうち、いじめ対策に関する2件≪平成27年度東京都公立学校における「いじめの認知件数及び対応状況把握のために調査」結果について≫ ≪東京都教育委員会いじめ問題対策委員会中間答申「いじめ総合対策」の改定の方向性について≫を報告する。

 調査結果からわかったこととして

ア.いじめの認知件数が2年連続減少(1校1ヶ月あたりの平均認知件数 2013年は0.73→2015年は0.42%)
イ.学級担任が発見した割合は昨年より増加。認知件数の20.7%
ウ.高校では「子どもからの訴えにより発見」した割合が最多で、34.6%
エ.いじめの主なものは「冷やかしやからかい」で、67.3%
オ.「パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされる」割合が高校では38.5%に上る。
カ.スクールカウンセラーと連携して対応したうち、効果がみられた割合は69.9% ほか。

 中間答申は「取り組みの改善の方向性」として次のキ〜ケを、「最終答申に向けて」としてコをあげた。
キ.「学校いじめ対策委員会」の機能強化(委員会の構成員は校長・副校長は必須、ほかは生活指導主任やスクールカウンセラーなど校内人選)。組織的対応の強化。
ク.「教職員による児童・生徒理解の推進と躊躇なく相談できる関係の構築」「子どもが…相談機関にアクセスできるよう…情報提供」するなど、相談しやすい環境づくり
ケ.「SNS東京ルール」(*1)を踏まえた「学校ルール」「家庭ルール」の作成等、インターネットを通じて行われるいじめへの対応
 (*1)「SNSを使う時間が長ければ長いほど学力が低下する…いじめの温床にもなっている」からとの都知事の発案で作成。それに呼応して都教委は、「1日1時間以上利用しない」などの「SNS学校ルール」「SNS家庭ルール」を決める取り組みをすることを前回(11月26日)の定例会で報告。その際、乙武教育委員以外はルール作りに賛成した。
コ.「いじめを見て見ぬふりせず、子供たち同士が主体的に話し合い、解決に向けて行動できるようにするための指導の在り方」

 報告に対する教育委員の発言から2つ。

 山口教育委員「小学生は正直だから『冷やかしやからかい』が多いが、それをいじめとして押さえ込むのはいかがなものか。抑え込むと子どもに耐える力がなくなる。」(要旨)

 木村教育委員「いじめ解消は大人だけではできない。子どもを巻き込んで解決すべき。オーストラリアではいじめがないようにと学校では、まず、徹底した民主主義教育をする。(都教委も)それをしていかなければいけない。」

 山口発言を聞いて頭に浮かんだのは体罰根絶を議題とした際の氏の発言であった。「(体罰の)報告書はよくまとまっていると思う。しかし、これによって教員が萎縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんに正すのは難しい。徐々に正していくことだろう。」(2013年9月12日)山口教育委員だけでなく、竹花教育委員(2013年4月11日)、内館教育委員(2013年9月12日)も同趣旨の発言をしており、今回の山口発言を聞いて、この件でも、ほかにも山口発言を容認する教育委員がいるのではないかと疑念を持たざるを得なかった。

 木村教育委員から「徹底した民主主義教育」のことばが出るとは思いもしなかった。この発言に驚きすぎて、隣に座っていたWさんと顔を見合わせてしまった。東京の全公立学校の民主主義を根こそぎ奪っておいて、よくもこれをことばにできたものだ。氏の言う「民主主義」って何なんだ?!

 さて、いじめ解消に向けて都教委は、「いじめを見て見ぬふりせず、子供たち同士が主体的に話し合い、解決に向けて行動できる」ことをめざすという。木村発言と同じく、よくも言えたものだ。いじめの温床の多くは、都教委の政策にある。例えば、子どもたちは授業中に落ち着いて座っていられない子に向かって「しんしょう」「○○組に行け」と言い、いじめや仲間外れの対象にすることが多々ある。小学校入学時から障がいを持った子どもを普通学級から排除する、テスト・競争主義の低年齢化、学年が上がって算数・数学の能力別授業や全国・都学力テスト、高校序列化の推進。子どもたちに劣等感と優越感を植え付け、自己肯定感を奪い、心の発達を阻害してきたこと、どの子も一緒に助け合い、共に生きることを否定した結果の一形態がいじめとしてあらわれることの認識が、都教委及び教育委員にはない。

 また、都教委は、「日の丸・君が代」強制と「君が代」不起立処分に見られるように、子どもたちと教職員で作ってきた卒業式を禁止し、考えずに指示命令に従うことを子どもたちに教え込んできた。ほかの学校行事も、都教委の介入により上意下達が徹底したことによって形骸化し、みんなで作り上げるものではなくなっていった。主体的に行動することを禁止してきて、「主体的に」などと、なぜ言えてしまうのか。

 一方で日々、いじめ・差別の拡大再生産の教育をし、その一方で建前か、いじめ解消とは愚の骨頂。教育委員がまじめ面をして発言するのを聞いていて無性に腹が立つとともにむなしくなった。    公開議題が終わり、傍聴者退場の際、傍聴者の一人は退場したところから「民主主義ってなんだ?!一番いじめているのは都教委だ。みんな泣いているぞ!」と声をあげた。また、傍聴者入場の際には、2年近く傍聴を禁止されているFさんが、入口から「伊藤中のいじめ自殺(*2)をなぜ、取り上げない。品川区教委から報告書が上がっているだろう!」と叫んだ。双方とも、教育委員には聞こえたはずだ。
 (*2)2012年9月26日に起きた事件。このことが起きた直後の定例会の議案にいじめ問題があったにもかかわらず、この件に関しては一切の報告も質問もなかった。その後も議題になったことはない。


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