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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 中国地方への旅人

 中国地方への旅人を、4日間やった。このとき電気カミソリを持っていかなかったが、それは脳味噌のすぐ近くでカミソリ器内蔵モーターが発する電磁波の被害を怖れたとかの理由からではなく、持っていくのを忘れたからだった。そういうわけで4日目の帰りの新幹線車内ではGパン姿に無精髭ボウボウ、だんだんと乗客が増えていくけれどボクの隣の席は空いたまま、背広姿の人の隣から席は埋まっていった。「これはなかなかGoodだ」と隣に気兼ねする必要がない快適さに悦に入っていたが、結局は隣に座る人がでてきてしまったのであり、それはボクよりも髭ボウボウのオッサンだった。ボクとしてはオッサンよりもレディの方が良かったのだが・・・。

 電気カミソリを忘れたなら買うなどすればよいのだが、どうせ顔を合わせるのは郵政のオッサン仲間がほとんどだろうからと意に介さないことにしたのだった。ところがところが、宿泊先の連れ合いさん等、チャーミングな女性たちと顔を合わせることになってしまったのだ。彼女らはボクのことを誤解しているかも知れないので、それぞれのパートナーの郵政仲間はちゃんと真実を伝えておいてほしい。「彼は普段はとても清潔感あふれる御仁なんだよ」とか何とか。

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 4月17日夕方、広島県呉郵便局の会議室に到着。毎年恒例となっている「4・28中国地方連鎖集会」の始まりだ。緊急のことだったのに、広局の仲間も含め10人が集まってくれた。「この一年間の4・28闘争での特徴的な出来事2つ+1つ」を報告した。 「2つ」というのは、東京高裁闘争が原告7人全員で開始したことと、全逓本部相手の「犠救特例加算金等裁判」で最高裁100%勝利をしたこと。「+1つ」は、「人らしく生きようの郵政版?」をビデオプレスが製作中だということ。

場所を移して絶対恒例の飲み会交流をした後、瀬戸内に浮かぶ島=下蒲刈の菅原さんのお宅に、幼なじみでもある米今さんと一緒に泊めてもらう。子供の頃の夢は「水平線を見たい」だったという話、美しい島影の連なり、そこへ雲間から降り注ぐ天使の光を描いた菅原さんの絵、静かすぎる波と驚いたことに速い潮の流れ。 連れ合いさんは、夜、車で迎えに来てくれ深夜まで手料理と共に付き合ってくれ、翌早朝、車で送ってくれる際「姫ひじき」という特産の塩作り現場や、美しく刺激的な「日朝交流江戸パーク」という村興しの拠点(?)までも、陽気に親切に案内してくれた。

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 2日目朝、広島駅まで出迎えてくれた森原さん・村中さんの車で郵中労広島中央支部の事務所へ、泊勤務明けの人など16人が参加してくれた。竹本さんらが用意してくれていた資料等を基に、郵政公社が指導を仰ぐ(?)「トヨタ方式」の学習も行った。郵政の仲間の、民営化に対する対案戦略や有期雇用労働者との連携について、中小労組等から「幸いなことに過大評価されている」とボクは勝手な感想を語った。昼食をご馳走になった後、広島東支部/安芸府中支部の新事務所まで送ってもらった。

 夕方、地域の仲間と共に創った新事務所には広島中央からも含め20人近くが集い、冒頭、池上県労組協議会議長やスクラムユニオンと働く者の相談室の仲間が激励の挨拶をしてくれ、カンパまでもらってしまった。谷本さんが4・28の経過を、お上品なボクなどよりもっともっと激烈な当局批判をまじえ語ってくれた。

 夜、またまた絶対恒例の飲み会交流に、仕事を終えて駆けつけてくれた仲間。郵政の仕事場は、どんどん不規則長時間化している。宿泊は、淀谷さん・村中さんと一緒に谷本さん宅。今回の中国行脚は、4/1郵政公社発足などもあり時間も限られ日程調整も大変ななか、ピンチヒッターで谷本さんが準備にご苦労を重ねてくれた。

 午前0時をとうに過ぎた深夜、谷本さんの「俺のいかだ」で朝釣りをやる相談がまとまり5時頃の起床とあいなった。しかし起床直後の雨で取り止め・・・代わりに、朝捕りたての魚を売る行商の人から何種類もの魚をゲット、大ご馳走パーティーの大満足となった。その後、家から数分下った浜で沖合の「俺のいかだ」を見学、そして家から数分登った丘の頂上にある公園で山菜採りをした。このとき谷本さんはこの町営の公園を「俺の公園」と呼んだのだった。「いかだ」も同様、彼の言う「俺の」は、所有を意味していないことが判明した。

 連れ合いの幸恵さんは、深夜の話、翌朝5時頃の起床、午前中のお魚さんパーティ−、そして中国高速バス停への自動車送りまで、ニコニコと全部面倒を見てくれた。「彼女は彼にはもったいない」との想いは・・・ボクは決してそんなふうには想わないが!従ってボクを除く・・・衆目の一致するところだろう。

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 3日目夕方、島根県浜田駅に田中さんが出迎えてくれ、交流兼宿泊場所の「凡人塾」へ。田中さんは地域での有名人。4年前に「欽ちゃんの仮装大賞」で優勝し、今年3月にも準優勝、それ以降会う人ごとにこの話となりとても仕事にはならないが、だが郵便局の管理者からお叱りはない。「仮装大賞」に一緒に出演した連れ合いさんが手作り料理を「凡人塾」へ届けに来てくれ、ここでも仮装の裏話が話題になった。益田からも2人が来てくれて全部で6人、皆ピースサイクル等での長い付き合いのようだ。ボクの報告は、基本的には呉からずっと同じ、「国鉄闘争の再編の影響から東京総行動等の再編・争議団の自立化が求められている」こと、「労基法改悪やイラク侵略戦争などは民営化攻撃と同じく新自由主義の国際的流れに根を持っている」し、「4・28処分は政府が勝手に労戦再編から政治再編へ=戦争のできる国家造りへとの位置づけをして出したものである以上、反処分闘争はこれら全てに対する闘いを内包している」といったことにも触れ、この大状況から導かれる結論としては、一気に具体的になり「夏期物販をどうぞよろしく」となった。そしてまた深夜まで飲み会。

4日目朝、たおやかな瀬戸内海から一転、荒波寄せる日本海に見とれた後、中 村さんの車で浜田駅まで送ってもらい帰路についた。

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 訪問した先々で多大なカンパまで頂き、本当にお世話になりっぱなしの、皆にとっては大変、ボクにとっては幸せな日々だった。どこでも皆の一番の関心は郵政公社化とその将来にあるようだったし、また、4月1日公社発足以降、職場では何も変わっていないと皆が口を揃えたのが印象的だった。郵政官僚には体験することのできない「無私の愛」の世界、仲間がいるから闘い続けられていると実感することしきりだった。心から、どうもありがとうございました。

                             名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙5月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:01 / Last modified on 2005-09-29 06:44:51 Copyright: Default

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