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News Item 201903009
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スクールMeTooの引き金を引いたもの

[ワーカーズ・イシュー(3)]国際女性デー特集(3)

パク・タソル記者 2019.03.08 17:54

[順序]

(1) 教室内の奇妙な性教育

(2) フェミニズムの挑戦…学校の敷居を越えられるか?

(3) スクールMeTooの引き金を引いたもの

[出処:https://www.flickr.com/photos/gipuzkoa/39238800080]

女性と少数者にとって、学校はあまり安全な空間ではなかった。 彼らにとって学校は性差別、性暴力が行われる空間で、 それはスクールMeTooを通して自然に発火した。 しかし彼らが告発した内容は、学内の主体により異なって読まれ、解釈された。 「これが性暴力だ!」と「これが性暴力なの?」が衝突した。 疑問を投げた側は学校、教師集団など、主に権力を持つ側だった。 韓国女性政策研究院のパク・ソニョン専任研究委員はこれに対して 「スクールMeTooは、学校が平等と民主性、公共性を学習する空間として機能していないということ」とし 「女性に対する嫌悪と性的対象化が学校という空間で教師たちの口と目を通じて再生産されていること」 [1] と話した。 学校はさらに、MeToo情報提供者を探し出して懐柔し、 学生間の対立を助長して被害者を孤立させようとした。 しかし「消そうとするほど広がる」という言葉のように、 スクールMeTooはずっと続き、現在までに80余りの学校でスクールMeTooが告発されたと集計されている。 「#スクールMeToo」は昨年ツイッターで最も多く検索されたキーワードでもある。

この至難な状況で、スクールMeToo告発者たちは勇気を出した。 学生たちは安全に教育を受ける権利があるとして、構造の変化を要求している。 先行する人々の勇気がなければいつまでこのままだったかわからない。 では何が彼らを告発者にしたのだろうか。 告発の引き金を引いたのは何だったのだろうか。 「ワーカーズ」はスクールMeToo告発者たちが慰労を受け、 勇気を得るようになったコンテンツを紹介する。 プギル高のA氏、信明女子高のB氏、恵化女子高のC氏、チョンバル高のD氏、忠北女子中のE氏が答えた。

▲C氏は高校2年の時から学校の先生の問題的発言を記録した。本当に多様な科目の先生が多様な種類の嫌悪発言をした。この記録はスクールMeTooの重要な資料で使われた。

A氏PICK
NetflixドラマOne Day At A Time

「スクールMeToo告発後の2次加害を目撃して不安に苦しむようになった。 それまでは私の多くの資質と個性が『フェミニストの子』に含まれて つぶされるのがストレスだった。 そんな時、フェミニズム理論やクィアー、ジェンダーに対する授業ではなく、 私についてよくわかるような有難いドラマがある。 Netflixオリジナル シリーズの〈One Day At A Time〉だ。 キューバに移民にきたおばあさん、その後、米国で生まれたお母さんとそのお母さんの娘と息子についてのエピソードを扱う。 ジャンルはコメディーだが、誰かのアイデンティティや困難を消費して観客を笑わせようとはしない。 むしろ同性愛、フェミニズム、移民者差別、人種差別、精神健康、アルコール中毒、銃器制裁などの社会的な談論が必要な多様な主題を勇気もって演出する。 このコメディーに出てくる娘のエレナに私の姿をたくさん見た。 同じ高校生だという点だけでなく、自分について知り、声を見つける姿が、 私が体験している困難と似ているようにみえた。 強いフェミニストで環境主義者のエレナは、性的指向についての悩みも深い。 エレナには多くのアイデンティティと哲学と、それにともなう困難があるが、 これについての悩みは障害ではなく自分をさらによく知る成長のきっかけになる。 エレナというキャラクターと彼女の成長期を見るのがとても大きな楽しみであり、学習の機会であった。 本人とは違う困難を経験しながら生きていく人々の人生を学びたかったり、 社会的問題についてさらによく知りたくなったり、 あるいはただ一度大笑いしたい人々にこのドラマを推薦する。」

B氏PICK
落ち着かなさを語れるようにした哲学の先生

「2年の時に差別された経験を聞いた先生がいる。 初めて質問を受けた時は、差別された記憶はないといった。 だが4時間目に誰が準備をするのか、名節の食事を誰が主に料理するのか、 今まで容貌の指摘は一度もなかったのか、 男女を区分して役割を強要されたことはなかったのか、詳細に聞かれた。 すると私たち口からは洪水が溢れるように差別の経験があふれた。 誰もが経験したのに、誰も聞いてくれなかった質問だった。 一度声を上げると2回、3回と話すようになった。 スクールMeTooで勇気を出した私の経験は、今後、もうひとつの勇気の土台になるだろう」。

C氏PICK
私の経験を言えるようにしたSNS

「高校2年の時、初めてツイッターというSNSに接した。 そこでは多くの人々が自分の経験を語ることを始め、行動していた。 ツイッターで人々の話に接してささいなことにも疑問を持つようになった。 『なぜ女子学生だけスカートを着るのか?』、 『なぜ女子学生には嫁入りを前提に話をするのだろうか?』といった疑問がひっきりなしに続いた。 私はその時から不愉快な発言を記録した。 そして校内に質問をするポスト・イットを付けたし、 隠しカメラ反対デモなどにも参加した。 この経験はスクールMeTooにつながり、 先生のヘイトスピーチにこれは間違いだと話すことができた。」

D氏PICK
死ぬ可能性があることを体験したその日の江南駅と『進歩韓男』

「2016年5月、ある女性がトイレで殺害された。 これは単に単純な無差別殺人ではなく、女性を対象にした嫌悪犯罪だったが、 先輩たちはこれを黙認した。 無差別殺人でしかなかったとし、女性の被害を否定したその先輩たちの態度から、 私がもしその場所にいたら、という恐怖が始まった。 そして2年後、学内性暴力告発に対する弾圧はまた首を締めた。 告訴の脅迫、懲戒の脅迫、裏でコソコソ言う同級生の陰口という恐怖が私にきた。 だが後輩のことを考えると話を止められなかった。 同じ経験は死んでも体験したくなかった。 私はまだ恐ろしいが、その恐れはもうひとつの動力として作動している。」

E氏PICK
友人との口げんかでうんざり

「16歳、知っていることも多く、知らないことはさらに多い年齢。 フェミニズムを知りつつあった真っ最中の私に友人は話した。 『女と男はできることが決まってる』。 男女は違うから女が話す差別的状況は避けられないということだった。 彼のでたらめな論理にもかかわらず、私は彼との口げんかで負けた。 その日、家に戻って考えた。 『明らかにその言葉は間違っているのになぜ私は反論できなかったのだろうか』と沈うつになっていたが、解答は簡単だった。 まさに勉強だった。 〈誰も返事をしない質問〉 〈私たちの意志に反して〉 〈イガリアの娘たち〉 〈フェミニストの概念〉 〈シングル レディス〉 〈私の初めてのジェンダー授業〉 〈恐らく今年の一番明るいフェミニズムの話〉などの本を片っ端から買って読んだ。 それと共に、これまで不平等を合理化してきた世の中に対する怒りが湧いた。 スクールMeTooは私が知っていることを実践する方法だった。 正しいと思うことに対して私は喜んで声をあげるようになった。」[ワーカーズ52号]

[脚注]

[1] 2018.12.04.韓国女性政策研究員2階国際会議場で開かれた 第23次ジェンダーと立法フォーラム 〈韓国のスクール#MeTooの実態と性平等な学校のための条件〉より

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-03-11 22:07:19 / Last modified on 2019-03-12 12:33:12 Copyright: Default

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