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フェミニズムの挑戦...学校の敷居を越えられるか?

[ワーカーズ・イシュー(2)]国際女性デー特集(3)

パク・タソル記者 2019.03.08 15:02

[順序]

(1) 教室内の奇妙な性教育

(2) フェミニズムの挑戦…学校の敷居を越えられるか?

(3) スクールMeTooの引き金を引いたもの

青少年当事者たちがスクールMeTooを率いているとすれば、 教師と女性人権団体はフェミニズム教育運動で家父長的な教育制度に亀裂を入れている。 彼らは保守的な性教育の代わりにフェミニズム教育を全面導入しろと主張する。

昨年の初めだけでも21万人が学校フェミニズム教育義務化を要求する青瓦台国民請願に答えた。 「包括的性教育権利保障のためのネットワーク」と 「(仮称)フェミニズム教育実現のためのネットワーク」は昨年2月27日、 「みんなのためのフェミニズム教育、今すぐ!」記者会見を行い、 フェミニズム教育義務化国民請願に対する政府の回答を要求して 政策提案を発表した。

彼らはフェミニズム教育を通じて性別固定観念を再生産する教育課程や位階的な学校文化、 教室内での女性嫌悪のような問題を解決しろと主張する。 また、現行の教育課程に性差別的な社会の現実と性平等な社会のための努力もきちんと反映させろと要求している。 彼らが注目するフェミニズム教育の争点を調べてみよう。

見慣れないが平等な世界

フェミニズム教育を語る彼らは何よりも性平等教育を強調する。 性平等な態度と文化を作っていけるように、 性別固定観念を再生産したり性差別的な社会の現実を表わして、 代案を経験できるようにしなければならないということだ。 しかし現実はむしろ性差別が過去の問題であるかのように登場するケースが多い。 フェミニズム教育の提案者らは、このような形の技術がガラスの天井が強固な性差別の構造を隠していると話す。 例えば、文学科目で教える女性的語調や男性的語調等が 「か細い・繊細な・軽い表現」と「単刀直入的・無愛想な・重い表現」などに 代替すべきだという提案がそうだ。 [1]

性的自己決定権を育てる教育も、フェミニズム教育の核心の一つだ。 生殖器中心的だったり学校性暴力に偏った保護主義式の性教育を、 性と身体に対する決定権が自分自身にあるという、 性的自己決定権を向上させる教育に転換しなければならないということだ。 端的には、2017年に教育部が配布した現場連携型安全教育コンテンツ「性暴力編」によれば、 性暴力は知らない人により発生し、強制的に引っ張られたら 「嫌です、だめです」と大声を張り上げ、 手や腕を払ったり腕と足を振り回し、全力で逃げた後に助けを要請するとなっている。 [2] このような教育内容は、性暴力加害者のほとんどが被害者と知りあいの人であるのに加え、 はっきりした意思表現で性暴力は防げるというかのように聞こえ、 被害者を簡単に恨ませるという批判を受けた。

性少数者を含める教育も重要だ。 教育部が両性平等教育の強化と学校性教育標準案を固守し、 学内の性少数者の存在を消しているのでなおさらだ。 このような提案は現在、青少年の悩みとも正確にかみ合っている。 韓国女性政策研究院の調査 [3] によれば、 性アイデンティティまたは性的指向に悩んだ経験があると答えた学生は 各々26.1%、30.7%であった。 また恋愛経験があると答えた女子学生252人と男子学生176人のうち、 自分と性別が同じ相手と恋愛していると答えた割合は各々12.1%、4.1%であった。

差別的な学校の慣行そのものを打破しなければならないという声も大きい。 男は1番から、女子は51番から始まる出席番号規定や、 スカートとズボンの制服で男女を区分したり、 緑のおばさんや読み聞かせママのように、 養育とケアの役割をお母さんだけに賦課する慣行を改善しない限り、 本当の性平等教育は実現されないということだ。

一方、各団体はこうしたフェミニズム教育を実施するためには制度改革が必須だという点を強調する。 包括的性教育権利保障のためのネットワーク、(仮称)フェミニズム教育実現ネットワークなどは、 特に教育部、女家部に積極的な役割を要求している。 彼らは、 △教育部と地域教育庁に性平等政策担当部署を用意、 △女性家族部固有の性平等アイデンティティと推進力の強化、 △2015年に教育部が発表した学校性教育標準案廃棄、 △平等と人権に基づく包括的性教育ガイドラインの整備などを要求している。

フェミニズム教育、順調ではないが…

このように学校内フェミニズム教育を主張する声が高まっているが、 両性平等教育または暴力被害予防教育などで婉曲に代替されるケースが多い。 しかも現実ではフェミニズムを教育する教師は攻撃の対象になり、 フェミニズムは学校の禁止語になる場合が頻繁にある。 果たしてフェミニズムは学校の塀を越えられるかという憂慮が高いのは、 それなりの理由がある。

青少年フェミニズムの会のヤン・ジヘ運営委員は 「今の詰め込み式の教育では、 フェミニズム教育がフェミニズム的にならない可能性が高いのは事実だ。 きちんとフェミニズム教育が行われるためには学生の人権を伸張させ、 平等な共同体文化を作ることを並行しなければならない」と強調した。

キム・ソンエ前全教組女性委員長は 「フェミニズム教育は教科を新設する方式よりも、 教育哲学としてのフェミニズムを主要に思考しなければならないという意味」とし 「性別、性差別を再生産する教育課程、 教科書、学校文化などに対する根本的な革新が必要だ」 [4] と明らかにした。

スクールMeToo1年、 政府は相変らず不十分な水準の対策から前進できずにいる。 しかし、どうすればいいのか。 フェミニズムの道は順調ではない。[ワーカーズ52号]

性教育は「包括的性教育」に

昨年、学校フェミニズム教育義務化を要求した団体らは、 時代錯誤的学校性教育標準案を廃棄して、 ユネスコ性教育ガイドラインを参考にして 新しく包括的性教育ガイドラインを整備しろと主張した。 すでに国際社会では権利に基盤をおき、 ジェンダーを反映した包括的性教育が力を増している。

ユネスコは2009年から 世界保健機構(WHO)、国連女性機構などと共に、 教育現場で包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education、CSE)を施行しようと 提案してきた。

昨年ユネスコが発表した改正性教育ガイドラインは、国際的な参考資料として使われている。 ユネスコによれば、包括的性教育は一部の社会文化的な状況では難しい主題も含んでおり、 学習者が知るべきすべての主題を扱う。 また5歳から18歳、それ以上の年齢帯まで包括的な性教育の対象になる。 8つの主要核心概念は、 △関係、△価値、権利、文化、セクシュアリティ、 △ジェンダーの理解、△暴力と安全、△健康と福祉の技術、 △人間の身体と発達、△セクシュアリティと性的行動、△性と生殖健康だ。 児童の早期強制結婚と女性割礼などの有害な慣行も学習内容に含まれる。

教員に対するフェミニズム教育の強化から

学校性暴力は主に教員によって発生するが、 教員の性教育時間は学生と較べてはるかに少ない。 市教育庁によれば、教師たちは年間45時間以上研修を受けるが、 性暴力関連の義務教育はせいぜい3時間に過ぎない。 この短い時間までオンライン講義のように形式的に進められたり、 団体教育になり、実効性がないという批判が着実に出てきている。

2月16日に青瓦台の前で開かれたスクールMeToo集会で、 ある教育大の在学生は、性差別と性暴力を行う教師が「大学」によって「養成」されると怒った。 彼は「教育大学は被害者に対する2次加害性コメントを堂々と実名で掲示して、 これを問題にする文を名誉毀損だと脅迫する程、 性平等感受性が低いところ」とし 「教師権力が優位である学校と教室で、 こうした暴力が激しくなれば、激しくはなっても良くはならない」と声を高めた。 続いて「教育大で性平等関連科目一つ履修できずに卒業するので、 性差別、性暴力を堂々と行う教師になる。 教師1人をののしるのではなく、 教師たちの性平等教育を制度化しなければならない」と要求した。

韓国女性団体連合によれば、実際に教育大や師範大でフェミニズム教育内容を扱う授業は何もない。 性平等教育も同じだ。 教育部は教育・師範大学教育課程改善のための議論を進めているが、 法律的な根拠が必要だという指摘が多い。 資格研修や職務研修でのセクハラ教育強化と、 師範大と教育大に関連の教科課程を新設する必要性も提起されている。

脚注

[1] これは昨年女家部が教科書の性差別的表現を改善するために オンラインで集めた894の意見の一つ。

[2] 「学校にフェミニズムを」、 初等性平等研究会、2018.

[3] 「青少年性教育需要調査研究:中学生を中心に」、 韓国女性政策研究院、2018.12.

[4] 韓国女性団体連合主管、 「#MeToo運動重点立法課題解決のための性平等フォーラム- #MeToo運動、法を変える」、2018.11.01.

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-03-11 22:07:19 / Last modified on 2019-03-12 12:31:53 Copyright: Default

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