ニューキッズ・オン・ザ・クライシスブロック
[ワーカーズ・イシュー(1)]社会的合意主義より『新しい階級運動』
チョン・ウニ記者 2017.11.29 16:56
最近、米国では「現代資本主義最大の賭博大会」が行われた。
ニューヨークタイムズ11月16日付の表現だ。
オンラインショッピングモール界の巨人、アマゾン第2本社の誘致公募がそれだ。
アマゾンは合計33のビルを建設し、現在シアトルにある本社と同規模の第2キャンパスを造成する計画だ。
雇用5万個に50億ドル(約5兆7500億ウォン)を投資するという程で、掛け金からしてすごい。
経済に与える影響まで考慮すれば、500億ドルの誘致価値が予想される。
そのために最近までアマゾンの公募部署は申請の問い合わせで大変な混雑だった。
10月19日の締め切り日までに受付られた申請者数は合計238件に達するが、
最近破産したプエリトリコ州だけでなく、カナダやメキシコからも申請が殺到した。
米国のニュージャージー州に至っては70億ドル相当の特別減税案まで出した。
ガーディアンが米国の都市が19世紀の資本主義胎動時の古いジレンマにまた落ちたと指摘する程、
先を争ってアマゾンにレッドカーペットを敷いた。
すでに米政府がこの2年間でアマゾンに支援した補助金は、最低2億4100万ドル(約2643億ウォン)1)に達するにもかかわらずだ。
2014年、ILOが最悪の企業に選ぶ程、労働権をゴミ扱いしているが、
誰もがアマゾンを望んでいる。
[出処:Jean Pierre Hintze/flickr]
墜落する階級
まさにアマゾンを最悪の企業に選んだ労働者たちの労組組織率は、
毎年最低記録を更新している。
今年のはじめの米国労働統計庁の発表によれば、
2016年度の米国における労組組織率は10.7%で、2015年より0.4%(24万人)減り、史上最低を記録した。
世界的にも労組の組織率は低下し続けている。
2015年のOECD平均労組組織率は17%で、30年前と較べると約13%減少した。2)
労働者の暮らしも下り坂だ。
ILOの統計によれば、世界全体の失業率は2007年の5.5%から2009年には6.2%と最高点を打った後に低下したが、相変らず5.7%(2017年)を維持している。
青年失業率は2017年には13.1%が予想されるが、平均失業率の2倍を上回るものと見られる。
先進国では2人に1人が、開発途上国では5人に約4人が不安定労働者だ。
年間の世界実質賃金成長率は2007年の3.4%から2015年には1.7%へと半分に落ちた。
第3世界の民衆、女性、移住労働者の場合、下り坂はさらにきつい。
ILOの「2017国際権利指数」によれば、パレスチナ、シリア、イラク、リビアなど戦争の渦に飲み込まれた中東や北アフリカは世界最悪の地域で、
平均労働権指数が前年度の4.26から4.53へと悪化した。
アフリカの労働権指数も3.32から4.00に、アジアもまた4.00から4.14に、北米でも3.16から3.5に悪化した。
2017年の世界性差別指数は相変らず68%を下回る。
最近、リビアでは公式な奴隷市場まで生まれた。
世界の労働者自身も暗い未来を直感している。
2016年にILOが実施した世論調査によれば、
回答者の73%が雇用を失うことを心配している。
この2年間で10人中4人が自分や家族が失業や労働時間短縮を強要されている。
4人中3人が貧富の格差が広がり、
56%は低賃金移住労働者と競争しなければならないと憂慮する。
75%が労働組合が社会に重要な役割を果たすことを望んでいた。
世界経済危機10年、
社会民主主義の限界と離反
後退する労働者たちの生活の条件は、2007/8年の世界金融危機を経由してさらに悪化した。
そしてこの経済危機はこの半世紀ほどの間に推進された新自由主義世界化と地球的な生産関係の中で、
世界の民衆は誰も資本主義から自由ではないことを反証した。
米国発金融危機の連鎖作用の中で、
金融と不動産市場の没落と西欧の政府の救済金融と緊縮、
そしてこれによる中国とアジアでの低成長、
中東と北アフリカでの連鎖的な経済危機と革命や相次ぐ戦争、
原油や原資材の暴落による南米などの資源抽出国家での経済危機がそれだ。
そして今、資本主義の長期不況の中で低開発国家と共に西欧の労働者の賃金と労働条件もすべて地べたに向けて疾走している。
こうした社会の不安定の中で、各国の情勢はさらに右傾化し、
米国のドナルド・トランプを筆頭として西欧ばかりか、
アジア、南米などすべての地域で極右が威勢をふるっている。
こうした政治環境は結局、1980年代英国のサッチャリズムと米国のレーガノミックスに代表される新自由主義構造調整の結果だ。
そしてその過程で西欧の社民主義政府は90年代の新自由主義に対する大衆的反発に力づけられて執権した。
だが彼らもまた新自由主義のもうひとつの姿であり、
資本主義の危機を民衆に転嫁したという点で共同の責任がある。
結局、彼らは2007/8年の世界経済危機の前後に
ドイツとフランスで、ギリシャとスペインなどで続々と没落した。
▲2004年ドイツのハルツ反対デモ[出処:ウィキペディア]
社民主義労組主義の責任も
しかし社民主義政府の没落は、
実は社民主義の労組主義の失敗の結果でもある。
当初、西ヨーロッパでは2次大戦が終息した後の和解ムードの中で、
労組を含む政治活動が保障され、労組運動とその政治的代表体としての多様な左派政治運動が発展した。
英国では大衆政党として労働党と労組との間の関係が強化され、
ドイツでは社民党が「労働者の党」としての地位を固めた。
フランスとイタリアでは新生社会党よりもドイツ占領に対抗したレジスタンス活動により共産党の方が人気が高かったが、
旧ソ連の没落後に社会党が浮上した。
社民党と労組間の関係は、スウェーデンが一番強力で、
1970年代までファシスト独裁が続いたスペインとポルトガルだけが例外的だった。
資本主義の好況期にそれぞれ執権した西欧の社民党政府は、
労働市場を規制して完全雇用を保障し、
資本主義を管理するケインズ主義の経済政策を取る一方、
労組の多くは賃金闘争を自制して政府のパートナーになった。
最低30年間、この合意は多様な形態で続いた。
しかし、1970年初めにやってきた不況の中で、これはもはや持続することができなくなった。
結局、西欧の社民主義政府は右派に政権を渡すか、自ら右傾化した。
しかし80年代の右派の新自由主義構造調整に対する不満の中で、
90年代末に英国のトニー・ブレアとドイツのゲルハルト・シュレーダーなどの社民主義政府がまた政権を取った。
だが彼らは第3の道、新中道という名で民営化と労働柔軟化を拡大し、
もうひとつの新自由主義モデルへと進んだ。
代表的には英国のトニー・ブレア政権は「働く福祉」による福祉削減、規制緩和、資本市場育成、鉄道などの公共機関民営化を推進したが、
英国統計庁によれば、所得不均衡の程度を現わすジニ係数はサッチャー執権期間の平均29から35に悪化するほど、社会の両極化が進んだ。
だが社民党政権と近い西欧の労組指導部は、新自由主義的構造調整の最悪を防ぐためにやむを得ないとしてこれを受け入れた。
労組は社会的大妥協の方式などによってこれを容認もした。
こうした労組に対する基層労働者の信頼は下がる一方だった。
結局、この対立は社会民主主義政党と労組指導部、
そして基層労働者間の緊張を増加させ、
この亀裂は大きくなり続けた。
「西ヨーロッパで社会民主主義労組主義の危機(2009年)」という本を共著したロンドンのミドルセックス大学国際雇用関係学科のマーティン・アプチャーチ(Martin Upchurch)教授は
「社民主義の危機は、社民主義労組主義のモデルの潜在的危機に変貌した」とし
「それまで社民主義の労組主義への挑戦は、常に政党内に受容されるか産業関係制度により中立化されたが、
今は質的に変化した」と指摘する。3)
新しい階級運動、階級政治...#社会主義
こうした社民主義労組運動の危機の中で、
新しい労働者運動に取り組む活動家たちは、
二重的な革新戦略を展開する。
一つは産業変化に照応する労働運動を組織することだ。
韓国のいくつかの労働運動のように、非正規職、非公式部門、女性、移住労働者など、
産業の変化によって形成された未組織労働者のための労働運動だ。
すでに米国では未組織労働者が多いサービス部門での低賃金労働問題を公論化した15ドル運動が
世界的な最低賃金引き上げ運動に火をつけ、
ドイツでは雇用を増やすための保健労働者たちの新しい労働運動が注目をあびている。
もう一つは資本主義を越える社会主義の政治戦略を追求することだ。
代表的には英国ではもうひとつの新自由主義を強行した労働党内のブレア主義に反発し、
労働党に背を向けた労働運動陣営が党内左派のジェレミー・コービン党首選出を契機として、
また労働党を組織的に支援しながら共同の歩調を取っている。
例えば、英国の公共労組、ユナイトなどの労組がジェレミー・コービン労働党首の社会化政策に積極的に参加している。
ドイツの労働者の運動は、社民党と緑色党連立政権の2003年の新自由主義政策
「アジェンダ2010」導入を契機として新しい左派政党である左翼党(die Linke)を建設した。
彼らは相変わらず社民主義主流の労組運動の中で、現場組織や社会運動との共同闘争を強化する方案を重視している。
フランスでは新自由主義政策に対する労組運動の反対が主に路上で展開されたが、
民主主義を重視して経済的要求に限らない労組連帯(SUD)のような独立労組の闘争が注目されている。
経済危機後に極右が浮上したオランダでは、オランダ労総(FNV)と労働党(PvdA)が非公式的な提携関係を維持したが、
1982年、右派政府のオランダ版労働柔軟化モデルである「バセナール協約」と「新路線協約」に続き、
労働党も「労働柔軟性協約」を実施した90年代中盤以後は、
さらに左派的な社会党や緑色党と協力している。[ワーカーズ37号]
[脚注]
1)米国NGO「グッドジョブスポルスター」報告書
2)OECD 2017年雇用展望
3)Martin Upchurch、The Crisis of Social Democratic Trade Unionism in Western Europe
[参考]
オ・チャンニョン、間に合わない『社民主義』ブームで警戒すべきことなど、チャムセサン週例討論会
Martin Upchurch、The Crisis of Social Democratic Trade Unionism in Western Europe、Global Labour Column.
Mario Candeias、EINE FRAGE DER KLASSE. NEUE KLASSENPOLITIK ALS VERBINDENDER ANTAGONISMUS
原文(ワーカーズ/チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
Created byStaff.
Created on 2017-12-18 12:57:31 / Last modified on 2017-12-18 12:57:35 Copyright:
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