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雰囲気作りから露骨な推進まで、医療営利化年代記

ワーカーズ9号 企画連載 - サムスン主導の医療営利化、どこまできたか(3)

シン・ナリ記者、写真イ・ウギ 2016.05.11 09:13

公共医療が脅かされ始めたのはずいぶん前のことだ。 一部では李明博政権にその責任を転嫁するが、実は金大中(キム・デジュン)政府の末期に出てきた「経済自由区域意志政および運営に関する法律(経済自由区域法)」が医療を産業化する動きの始まりだった。 参与政府の医療先進化政策も、その誤りを受け継いだ。 李明博政権と朴槿恵政権に至り、医療民営化や医療営利化という名前を得たが、実体は違わない。 公共医療を放棄して、国民の健康を民間資本に任せること。 しかし、その時から今まで、医療営利化を主導している人がいる。サムスンだ。 この企画では、サムスンが医療営利化の時代にいかに備えているのか、 その対応のためにどんな作業をしてきたのか、 サムスンの医療営利化ロードマップはどれほど完成されたのかを調べる。

(1) 李在鎔のサムスン、今回はHT産業だ(8号)

(2) サムスンソウル病院はなぜ成均館大付属病院ではないのか(8号)

(3) 雰囲気作りから露骨な推進まで、医療営利化年代記

(4) 医療営利化、海外の事例

出発は市場開放だった。 1990年代初めのウルグアイ・ラウンド(UR)は、世界市場の門を大きく開いた。 第2次世界大戦から40年間、国際貿易秩序を率いた「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」が変化したのだ。 1993年12月にウルグアイ・ラウンド交渉が妥結し、1994年1月に世界貿易機構(WTO)が正式に発足して、 当時の金泳三(キム・ヨンサム)政府は市場開放の雰囲気を造成した。 牛肉・豚肉、唐辛子・ニンニクなどの農畜産物14項目の全面輸入自由化措置が行われ、 一方では保健医療も市場開放に露出するという予測が出始めた。

予測は現実になって近付いてきた。 2000年代に入ると医療営利化はさらに具体化した。 金大中(キム・デジュン)政府を始め盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権は、 医療先進化、医療民営化あるいは医療営利化と名前だけを変えて医療を開放し、産業化する努力を着実に続けた。 偶然なのか、医療民営化議論が活発になった時期にはサムスンと政権の関係も厚くなった。 医療分野システムを本格的に産業化の方向に率いたと評価される参与政府とサムスンの蜜月関係は有名だ。 健康メディア協同組合のペク・ジェジュン代表は著書「サムスンと医療民営化」で、 「参与政府の経済政策アジェンダは、サムスンが引っ張っていったといえるほど」だとし 「この当時、医療産業化政策は企業の論理に忠実に従うことにより、結局民営化議論が触発される契機になった。 経済自由区域の営利病院許容問題が本格的に言及され始め、 民間保険会社のための実損型保険を施行した」と明らかにした。 続いて「サムスン経済研究所は韓米FTAアジェンダの論理的基盤形成にも大きく寄与した。 韓米FTAの主な内容は、サービス市場開放、医療産業開放などだが、こうした内容はサムスングループの利害関係と一致するもの」だと指摘した。 大統領職引継委員会で医療民営化政策を公言した李明博(イ・ミョンバク)大統領も、ファン・ヨンギ元サムスン証券社長、チ・スンニム元サムスン重工業副社長、親サムスン人物と言われる尹増鉉(ユン・ジョンヒョン)元銀行監査委員長など、 サムスンに関する人物を業務引継委員会に入れて議論を呼んだ。

金大中政府から朴槿恵政権まで、名前は違っても主題は一つ「医療営利化」

金大中政府は2002年1月「東北アジア・ビジネス中心国家実現構想」を発表した。 同年12月には経済自由区域法によりこれを具体化した。 経済自由区域の成功は、外国人投資誘致にかかっていた。 経済自由区域内に外国人のための医療施設などの便宜施設が必要なのもこのためだ。 法律は3章第15条(租税および負担金の減免)、5章第23条(外国人専用医療機関または薬局の開設)により、 経済自由区域内の外国人専用医療機関設立を許容した。 当時、民主社会のための弁護士の会(民主弁護士会)は 「経済自由区域内の医療機関は、国民健康保険法の規定による療養機関と見なされず、 健康保険制度の適用を受けない完全商業医療体制になる」とし 「これにより民間医療保険が導入される蓋然性が高く、 外国人だけを対象として運営するというが、韓国の医療慣行を見れば、 高所得内国人の医療機関に転落する可能性が高い」と指摘した。 市民団体もこのような医療機関は営利病院の信号弾だと指摘したが、政府はこの病院が外国人専用であり、国内医療体系に影響しないと主張した。

参与政府は医療営利化をさらに具体的に勧めた。 医療サービス産業の競争力強化方案を用意して、民間医療保険活性化、病院営利法人化などを議論した。 当時、保健福祉部は2004年3月に「東北アジア中心病院誘致のための実務チーム」を構成し、内国人診療許容を検討した。 同年12月、政府は国会本会議で経済自由区域法を改正した。 外国営利病院の内国人診療を認めたのだ。 参与政府が営利法人化と健康保険当然指定制の廃止に進む基盤を作ったと批判されるのはこのためだ。 盧武鉉大統領は2005年1月の新年記者会見で 「教育課医療など高度消費社会が要求するサービスを世界的な競争力を持つ戦略事業に育成する」と発表した。 10月にイ・ヘチャン総理を委員長とする医療産業線進化委員会が発足し、翌年7月には医療産業先進化戦略が発表された。 委員会は、済州道営利医療法人許容と医療資本の活性化方案を議論した。 2006年12月には「1段階サービス産業競争力強化総合対策」を発表して病院経営支援会社(MSO)、買収合併、誘引斡旋行為を認め、 実損型民間医療保険を活性化することを提案した。 政府が総合対策を発表すると、財政経済部が足並みをそろえた。 財政経済部は「MSO活性化のための制度改善方向」という報告書を発表した。 報告書は「MSOが外部資本誘致後に病院施設の賃貸・リース、経営委託等を通じ、 外部資本の医療機関に対する投資を活性化して、 MSOは医療機関に対する手数料収益を投資家に配分」しようという内容が含まれていたが、実行することはできなかった。 続いて参与政府は2007年2月に医療法改正案を立法予告した(当時これを主導した人物が柳時敏(ユ・シミン)前保健福祉部長官だ)。 この改正案は、健康保険当然指定制廃止を除き、これまで進められてきた医療民営化政策を網羅した法案で、 大韓医師協会(医師協)が反対するなどで議論を呼び結局失敗に終わった。

より積極的に、もっと露骨に

医療民営化は李明博政権の核心的な医療政策だった。 核心は「営利法人病院導入」だ。 政府は効率性、医療の質、競争などを打ち出して、営利を目的とする医療に転換しようとした。 健康連帯政策委員会は2009年の「医療民営化政策が国民健康に及ぼす影響と対応方案」で、 李明博政権医療民営化の核心政策を「営利的資本投資装置の用意、済州道・経済特区内での営利医療法人許容、民間保険活性化」と説明した。 政府は2008年、病院も外部投資家からの債権投資を受け、収益を分配できる医療債権法を発議したが、 キャンドル・デモという国民の反発にあたって推進することができなかった。 だが静かに医療民営化のための踏み台を用意した。 経済自由区域法を特別法に格上げし、2012年に外国医療機関の開設許可手続委任規定を含む経済自由区域法施行令を改正した。 続いて同年10月「経済自由区域内外国医療機関の開設許可手続施行規則」を制定・公布した。 営利病院導入のための制度的手続きを完成したのだ。 法律ではなく施行規則により営利病院を迂回的に許可した。 また、外国医療機関と共同運営を明文化し、収益分配、海外送金など、韓国の医療機関ができなかった問題を解決した。 見かけは外国医療機関だが、事実上は国内営利病院という指摘も出た。 国内企業が投資持分のうち49%を投資することができ、内国人も診療することができるためだ。 政府は経済自由区域内の外国人病院だと主張したが、事実上の国内営利病院だということだ。

朴槿恵政権も医療民営化政策を押し通した。 朴槿恵大統領は公約で「4大重症疾患100%保障」を打ち出したが、当選後に国政の基調を「経済成長と規制緩和」に変え、医療民営化政策を露骨に推進した。 公共医療機関(晋州医療院)の閉院も朴槿恵政権で行われた。 方法は巧妙になった。 法改正ではなく行政ガイドラインと施行規則改正を選んだのだ。 これは、国会の同意や公聴会など世論収斂を避ける方式だ。 結局、朴槿恵政権は非営利病院の営利子会社を認め、付帯事業の範囲を拡大した。 新医療技術の規制も緩和した。 特に医療法人の営利子会社設立案は、市民社会団体から強い批判を受けた。 収益を投資家に配分できないという意味で「非営利」に規制されている韓国の法人病院のかんぬきを開いたためだ。 これを通じて非営利病院が営利子会社を作り、外部投資家の投資を受けて利益配分をすることが可能になった。 政府が進める付帯事業の拡張も批判を受けた。 従来の付帯事業は患者の便宜のための駐車場、葬儀場、構内食堂に限定されていた。 だが新しく認められた付帯事業は、不動産、健康増進食品、医療機企業、化粧品までが可能になった。 これに対して保健医療団体連合のウ・ソッキュン政策委員長は 「この措置は病院を『総合ショッピングモールとホテル、不動産賃貸業をしながら、時には患者も治療する所』に変えようとする試み」とし 「医療など生活用品販売業と食品販売業、観光ホテルにヘルスクラブ、浴場、プールなどが付帯事業になる。 さらに不動産賃貸業までを病院の付帯事業に入れて、事実上の病院企業を可能にした」と指摘した。 国内初の営利病院も生まれた。 政府は昨年12月に済州道に国内最初の営利病院であるノクチ国際病院を承認した。 民間人が設立し、医療費も高いが健康保険は適用されない営利病院が誕生したのだ。

政府がアクセルを踏む医療営利化は相変らず続いている。 与小野大に改編された4.13総選挙の結果により、停滞するだろうという予想はこわれた。 国会保健福祉委員会が総選挙の直後に全体会議を開き、医療法人の買収合併を可能とする医療法改正案を可決した中で、 与野3党が19代臨時国会でこの法を処理することに暫定合意したためだ。 「地域戦略産業育成のための規制フリーゾーンの指定と運営に関する特別法案(規制フリーゾーン特別法)」は、 他の法令で明確に禁じている事項以外は、すべて許容する方式の「原則許容・例外禁止規制方式」を採択している。 この法案とおりなら、医療法などで明確に禁じられる条項以外はすべての行為が許される。 したがって、遠隔医療、健康管理サービスなどの医療営利化を積極的に推進する根拠を作ることを狙ったと分析されている。 これに対し、市民団体の反発も拡散している。 「医療民営化阻止と無償医療実現運動本部」は 「総選挙後、初めての国会合意が医療民営化・営利化法案というのは、総選挙で見せた民意を理解していない」とし 「サービス産業発展基本法の地域化戦略である規制フリーゾーン特別法を直ちに廃棄しろ」と主張した。 大韓医師協会も「法が制定されると医療法など、保健医療関係法令の上位法」になるとし 「保健医療を経済産業化の観点から推進し、国民健康を破壊して、医療営利化を推進できるようになる」と憂慮を示した。 政府と政界のたゆむことのない医療営利化の試みにより、社会的な対立もたゆむことなく出てくることになりそうだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-05-20 02:21:33 / Last modified on 2016-05-20 02:22:30 Copyright: Default

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