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現代車労組幹部の自決から44時間、何が残されたか

労使合意で一段落、現代車労働者の意見を聞く

チョン・ジェウン記者 2011.06.13 00:48

タイムオフ制(勤労時間免除制度)と現場弾圧に抗議して自決した故パク・ジョ ンギル烈士に触発された現代車の労使対立は、労組側非常対策委(以下非常対策委) と会社の合意で一段落した。

6月13日(月曜)午前10時30分、現代車牙山工場で労働組合葬が行われる。現代車 支部(正規職労組)はすでに始まっている今年の賃金団体交渉(以下賃金団体協議) でタイムオフの解決方案を見つける予定だ。

[出処:現代車支部]

故人の自決により、現代車でのタイムオフ制の問題が浮上したが、タイムオフ制は 現代車だけの問題ではない。労働界の今年の核心要求は労組法全面再改正だ。 このうち故人がタイムオフ、これによる現場(労組)弾圧を全面的に提起して自決した。

9日午前8時頃、遺体が発見されてから11日の午前4時10分頃に労使が合意するま での44時間の闘争、この時間を経験した現代車労働者は何を考えたのだろうか。 現場の声を聞いてみた。

口頭で報告され文書が公開されない「別途合意」

「生産中断期間は有給処理...会社が負担を感じたようだ」

現代車牙山工場委員会の代議員A氏は、非常対策委が会社と5項目の合意の他に 別途合意をしたと明らかにした。A氏は「非常対策委と会社が議論したが、 生産中断期間を有給処理し、路祭(労働組合葬)の時に勤怠を認めることと、 会社が民事・刑事上の責任を問わないことにした」と伝えた。

労組は警察-会社が故人が自決した現場で遺体を強制的に引き渡そうとしたため、 9日の午後2時30分頃に生産稼動中断指針を出した。非常対策委と会社が合意した 後、11日午前6時15分にラインは再稼働した。

この間、生産が中断していた期間は、9日昼間組勤務(午後)-夜間組勤務、10日 の昼間組勤務-夜間組勤務(残業含まず)だ。A氏は「生産中断有給処理は、 ラインが止った時間を労働者が働いた時間と認めるという意味だ。会社が民事・ 刑事上の責任を問わないことにしたのも、核心的には労組に生産中断の責任を 問わないということだ」と伝えた。

▲労組は警察-会社が故人が自決した現場から遺体を強制に引き渡そうと試みたため、9日午後2時30分頃に生産稼動中断指針を出した。以後、現代車のイ・ギョンフン支部長が牙山工場に到着し、チョン・スンイル牙山工場議長、労組幹部と共に組合員に状況報告をした。

だが、別途合意は口頭での報告により伝えられ、文書では公開されなかった。 これに関してA氏は「合意が終わり、労組は合意書(5つの要求)を受け取って、 別途合意は口頭で報告された。文書で公開されていないが、どうも会社が生産 稼動の中断時間を有給で処理することに負担を感じているようだ。これまで会社は 無労働・無賃金の原則を適用してきたからだ。労組もこれを理解したようだ」と 話した。

この代議員はまた「非常対策委が5つの要求の他に追加で要求したことについて 代議員にも報告せず、ぽつりぽつりと伝えられた。代議員懇談会をせず、先に 非常対策委が合意してから報告したのも、代議員としては不満だ」とし「代議員 が現場に戻り、合意内容を報告した。6時から生産稼動することにしたので、 その時間に合わせて急いで進められたようだ」と指摘した。

だが「われわれの現場では特に労組に問題を提起しなかった。非常対策委でな く『烈士対策委』として構成すべきだという意見はあったが、その他には強く 提起されたことはなかった。すぐラインが稼動したことを見ると、他でもそう だったのだろう」としつつ、「私が代議員ではなく一般の組合員なら、外部に 問題を離すかも知れないが、どうしても労組幹部なので、むやみに話すのは難 がしい」と付け加えた。

A氏はまた「ほとんどそうだが、今回の合意の結果についての現場反応は3つだ。 『労組はうまくやった』、『うまくやったが不十分だ』、『間違った合意だ』 だ」として言葉を慎んだ。

非常対策委要求『100%受け入れ』 VS 補償しかない

団体協約による労組活動保障...「団体協約がないから烈士が自決したのではない」

今回の合意について労組の幹部は概ね満足という雰囲気だ。一部の組合員も 『短時間に円満に合意』したと満足している。非常対策委が定めた5項目の要求 を『100%受け入れ』られたという理由だ。

非常対策委と会社の合意内容は、▲遺族と協議して遺族補償慰労金を支払う、 ▲未亡人と協議して希望する時期に就職を斡旋し、今後子ども1人を本人が希望 すれば直営で採用、▲支援室長、実名議論者(2人)について本件を(会社が)調査 し、関連の程度により厳正に人事措置する、▲工場長名の謝罪文を掲示する、 ▲団体協約と労使関係合意書を遵守し、組合活動を保障する、だ。

最初の非常対策委の要求と違う内容があるとすれば『労働災害に準じる』補償 が『遺族慰労金』に、『未亡人直営(正規職)採用』が現在小学生の子弟が今後 希望すれば直営で採用、管理者の『処罰』は『会社調査』後に『厳正に人事措置』 という点だ。

だが合意について一部の組合員からは批判の声もある。代議員から合意結果を 報告されたという現代車支部牙山工場委員会の組合員B氏は「5項目に合意したが、 補償問題以外は明らかなものがない。故人の子弟が10年後に現代車に入社すると いうのは後の問題だ。管理者の処罰も後の問題で、『厳正な人事措置』の基準 が何かわからない。工場長の謝罪もいつ、どこに、どんな内容で掲示するのかも わからない」と伝えた。

特にB氏は労組活動保障の要求に対し、「団体協約に合わせて労組活動を保障す るというのは、あってもなくてもいい要求だ。われわれには団体協約がある。 団体協約がなく、現場で弾圧されているのではない。タイムオフで団体協約が 無視され、現場弾圧を受けているのだ。烈士はタイムオフのために自決した。 遺書ではっきりしているではないか。非常対策委要求案は特別なものはなかった」 と指摘した。

組合員C氏も今回の合意案は『前と変わらない案』と一蹴した。C氏によれば、 2006年に牙山工場エンジン部署の組合員L氏が過労死したことがあった。当時、 労組(牙山委員会)の幹部に確認した結果、労組は紆余曲折の末に故人に対して ▲労働災害処理、▲故人の子弟を正規職採用(現在正規職で勤めている)、 ▲葬儀費用全額会社負担に合意した。

C氏と同じように、当時の事件に言及した組合員B氏は「現代車支部(蔚山工場) が動かなくても、牙山工場委員会でこう合意した。この部分を言うのは、今回 の事案はタイムオフ制で烈士が自決したのに、それにふさわしい闘争をしなかっ たからだ」とし「個人的には、イ・ギョンフン支部長が牙山工場にきて、牙山 工場委員会が共同で動き、タイムオフ制に反対する闘争はしないだろうと予想 していた」とし、労組の執行部についての考えを示した。

またB氏は別途合意を口頭報告して、文書を公開しないことについて「別途合意 も何の内容もないと思う。人が死んでラインを止めるのは当然のことだ。それ が現代車労組の歴史だ。いつも会社は無労働無賃金を主張してきた」と批判した。

▲11日午前6時15分から生産が再開した。夜間組の労働者は各部署の代議員に合意結果の報告を受けた後、6時15分から8時まで2時間残業した。

「結局残ったのはパク・ジョンギル烈士の死だけ」

タイムオフ制と現場弾圧、「烈士が私たちに課題を残したのに...」

会社は故人の死を『個人的な理由』として片付けたが、タイムオフ制とこれに よる現場弾圧に怒り、故人が自決したのは明らかだ。現代車支部は故人の意向 を受け止め、賃金団体協議と同時にタイムオフ制を無力化する闘争に最善を尽 くすという立場だ。受け止める『烈士の意』とは果たして何だろうか?

組合員C氏は現代車支部執行部の立場と違い、労組が入る過程でタイムオフ制に 対抗して闘争をしなかったことが最大の問題だと指摘した。

C氏は「現代車支部は、起亜車支部がタイムオフ制に対抗して闘争した時、来年 の賃金団体協議(今年賃金団体協議)では現代車支部は独自で闘争するとし連帯 にしなかった。パク・ジョンギル烈士が自決したのに、タイムオフ制を無力化 させる闘争の隊列に加わることができなかった」とし「執行部の闘争の意志が 疑わしい」と提起した。

この組合員は「結果として組合員は全員有給処理され、損はしていない。現場 弾圧に責任を取る人もいない。タイムオフ制による現場弾圧ばかりか私たちと 共に働く非正規職も会社は労組と認めず、宣伝ビラを奪うなどで日常的に現場 弾圧をしている。大法院が不法派遣を認めても、非正規職は正規職化されず、 むしろ工場から追い出された。総体的な現場弾圧が強行されている」と話した。

またこの組合員は「烈士が私たちに課題を残したのに、われわれはタイムオフ 制と現場弾圧に一言半句も言えなかった。結局残ったのは、パク・ジョンギル 烈士の死だけだ」と吐露した。

組合員B氏は「現代車支部は、パク・ジョンギル烈士の自決による闘争が全国に 拡大することを早期に収拾したようだ。今回の事案はかなり重大で、週末が過 ぎると事態は手が付けられないほど大きくなる可能性があるので、協議し続け 急いで土曜の早朝に合意したようだ」とし「今回の事態の本質がタイムオフ制 だということは労組も会社も知っていた」と話した。(記事提携=メディア忠清)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-06-15 04:07:59 / Last modified on 2011-06-15 04:08:16 Copyright: Default

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