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現代車正規職労組『のりまき連帯』の真実

[寄稿] 「まるで食べ物で犬をしつけるようだ」

現代車非正規職支会座込組合員 2010.12.13 23:56

2010年12月9日の午後3時頃、現代自動車第1工場占拠ストライキ座込者が降りて きた。服は汚く、血の気のない顔は痩せこけていた。極限の緊張の中で寒さと 飢えに苦しんでいたことを思わせるものだった。ストライキ座り込みを始めて 25日目だ。座り込み後半の10日間は一日のりまき一本だけで延命した。

▲寝袋やふとんも不十分な座込場。ある組合員がラーメンの段ボールでふとんを作った。

座り込み初期、支会家族対策委などから座込場に渡されたおにぎりなどは、一 週間後に搬入が遮断された。支部は時々二食分ののりまきを持ってきたが、の りまきという食物は余っても保管できない。その時に食べなければいたんでし まうので捨てなければならなかった。23日は支部が飯とキムチなどを食事とし て提供した。初めて暖かい飯を食べた。この食事は労組食堂の鍛造食堂で作っ た。支部がドンソン企業組合員の雇用保障など四つの仲裁案を会社に提示して 支会に受け取るよう要求した時だ。

24日から断電が始まり、座込場に食物が入らなくなった。24日、現代車支部は 交渉議題についての仲裁案(▲座込場の非正規職告訴告発、損害賠償、治療費な どを解決する、▲座込者の雇用を保障する、▲非正規職支会指導部の社内での 身辺を保障する、▲不法派遣交渉の対策を要求するという四つの免責性要求)を 提示した。食物遮断は圧迫のためであることが明らかだった。支部は、会社の 妨害でもう食事を入れられないと言い、会社は徹底した統制で応えた。支部所 属の代議員が上げた簡単な物品とチョコレートなども徹底的に統制した。会社 は支部代議員のカバンもかき回して、わずかな菓子も上げさせなかった。

26日、支部は体当たりをして会社の統制を突破し、のりまきを持ち込んだ。会 社は当初、支部を阻止していたが、そのうち妨害しなくなり支部は座込場への 食事の供給権を独占するようになった。

支部が食事の供給権を独占した時に合わせ支部は態度を変えた。キム・テユン 組合員、クォン・ウサン前連帯労組事務局長への暴行もまた、イ・ギョンフン 支部長などが直接のりまきを持ってきた26日と28日に起きた。イ・ギョンフン 支部長は、いわゆる元下請懇談会で『支部案を受け入れなければ皆死ぬ』とい う内容で支会の争対委に圧力をかけ、座込組合員全員を集めてマイクを持ち、 同じ内容で発言した。また『私が二時間の体当たりをして、のりまき持ってき た。こんな時は拍手をするものだ』と拍手を誘導した。

その後、座込場入口に支部の常執二人を配置して出入を監視、統制した。また、 支部の労働安全室の幹部などが座込場の安全点検を理由としてカメラを持って いわゆる『引火物質、危険物質』を探し歩いた。会社側の保全1部の職員が一緒 に座込場のあちこちを探し、彼らが見つけたという『シンナー、松明、鉄槍』 など、いわゆる危険物質はその日の夕方に地域放送局のニュースで『暴力集団』 等の内容で放送された。支部は座込場の自立権を遠慮なく統制し始めた。

座り込みから十日が経ち、座込場への断電・断水が頻繁になった。座込組合員 は、支部と会社が組んでのりまきを入れ、断電・断水をして支部案を強要して いるようだったと話す。

▲11月17日、座込初期にはカップ麺と水がある程度入ってきたが、座り込みが長びき、カップ麺も見あたらなくなった。

「座り込みが長くなり、いつ明かりがついて、いつ消えるのか、だいたいわか るようになった。支部が懇談会にくる時、のりまきも一緒に入ってくることが 多かった。この時には明りがつく。支部が要求案を受け入れろと言って座込場 から出ると、5分以内に明りが消える。闇の中でのりまきをつままなければなら なかった。」

28日、支会は支部仲裁案を受け入れる代わりに、『正規職化の成果なく座り込 みを中断しない』という内部決定を記者会見で発表した。すると支部は『交渉 を成功させるために、まずストライキ座り込みを中断しろ』と強要した。この 時から、のりまきの数も減った。支会はチョコバー、乾パンなどの非常食糧を 解き、一日二回の食事を提供してきたが、これもすぐ切れた。閉ざされた空間 で、最後の10日間に座込組合員たちは『のりまき一本』しか食べられなかった。

『のりまき一本』は一日中、決まった時間にくるわけでもなかった。ある時は 昼食時、ある時は夜遅くきた。座り込み組合員たちは今すぐにものりまき一本 を拒否し、集団断食でもしたい気持ちだった。それと共に一方では、のりまき を待ちもした。深刻な空腹と共に人間的な侮蔑と挫折を感じた。一筋の陽光も ない空間で関節を冷えさせる寒さと不寝番、糾察などで寝る時間が足りなかっ た。さらに腹が減った。のりまきが上がってきて闇の中で『飯を受け取りに来 てください』という声が聞こえた時、組合員たちは歓呼した。

「会社は夜中に宣撫放送をして、ビニールのふとんは寒かった。何よりも腹が 減っていた。座り込みの最初は寝袋さえあれば良いと考えたが、一日の食事が のりまき一本に減り、そんなことも考えなくなった。今、私が外にいればと考 えた。食べたいものがとても多かった。」

会社は死なない程度の食物だけを認めた。支部は食事を使い、まるで犬を慣ら すようにした。だが座り込み組合員たちは労働者の道徳性で自らを守った。25 日間、座込場は一件の盗難事件もなかった。食事の前に倉庫の外に保管された のりまき一本、誰も触らなかった。空腹のために正規職化の熱望を諦めまいと していた。

12月7日、支会の争対委が『交渉を前提とする座り込みの中断はしない』という 決定を再確認して、断電は一日中続いた。8日、支部は『のりまき一本』も切っ てしまった。また否決される可能性が高い支部ストライキ賛否投票を強行した。 一部の支部代議員は座り込み組合員に直接電話で『ストライキを中断して降り てこい』と勧めた。会社は323人の座り込み組合員全員に損害賠償を提起し、 全員解雇で脅迫した。時を合わせて、蔚山警察庁は公権力投入切迫を発表した。

ある者が当時の心境をこのように吐露した。

「本当に空腹だった。座り込みを中断した背景には一日にのりまき一本で粘る のが難しく、それさえ切れたと考えたことも大きかった。」

支部が座込場に渡した『のりまき一本』は『のりまき連帯』ではない。まして 決して『美しい連帯』ではない。座り込み解除を誘導する卑劣な統制手段であ り、人間を犬扱いする人格の冒とくで、ストライキ労働者への赤裸々な嘲弄だ。 組合員たちはのりまき一本さえ上がってこなかった8日の夜、闇の中で非常食糧 に保管してきたチョコパイ2個を最後の夕食として受け取った。一杯の水もなく 喉がつまった。佗びしい涙でクウクウと飲み込まなければならなかった。

座り込みは終わったが闘争はこれからが始まりだ。座り込みが終わって、四つ の免責性要求も会社は拒否している。12月12日、約600人の組合員が集まって、 また闘争を決意した。再ストライキを決意した組合員たちは『のりまき一本』 の意味もまた忘れていない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-15 05:22:11 / Last modified on 2010-12-15 05:22:13 Copyright: Default

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