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健康な労使文化は不可能だ

[記者の目]李哲鉄道公社社長の言葉に対する反論

イ・コンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2007年11月16日12時25分

国民は勝利するどころか完全に敗北した

鉄道労組と貨物連帯の共同ストライキは結局不発に終わった。

李哲鉄道公社社長は、鉄道労組がストライキ留保を宣言してうれしい心を隠さ なかった。そして「国民の勝利」とし「今回のことを反面教師として健康な労 使文化を定着させなければならない」と話した。

果たして国民の勝利であろうか。

オム・ギリョン鉄道労組委員長はストライキ留保指針を組合員に伝えながら 「これから会社側がどんな案を出しても、構造調整とはバーターできないとい う原則は変わらない」と明言した。

今回の鉄道労使の交渉での最も重要な争点は、1人乗務と人員削減などに代表さ れる鉄道公社の構造調整方針だった。鉄道公社は最後まで「勤労条件と無関係」 として団体交渉の対象にならないと主張した。しかし小さな子供でもわかるよ うに、二人でやっていた仕事を一人ですることは、勤労条件の変化に直結する。 また、これは国民の安全と直結せざるをえない。

わずか数日前の11月5日、釜山駅でKTX列車が正面衝突するという事件が発生し た。下手をすると大事故につながるところだったが、幸い人命事故はなかった。 これに対して鉄道労組は「1人乗務と休息のない深夜労働が原因」と指摘した。 鉄道公社は11月1日、新型電気機関車への1人乗務を示範実施するとし「74年か ら、電車を始め最近開通したKTXでも機関士の1人乗務をしている。今までこれ による安全事故はたった1件も発生していない」と自画自賛して4日後のことだった。

▲釜山駅ではKTX列車が正面衝突する事件が発生した。これに対して鉄道労組は「1人乗務と休息ない深夜労働が原因」と指摘した。[出処:鉄道労組]

徹夜の運転で、人間なら仕方のない眠気が襲っても起こしてくれる人がいない 1人乗務、慢性的な疲労の累積でもし倒れても代替できる人がいない1人乗務、 それは勤労条件の変化はもちろん、国民の安全と直結する。米連邦交通安全委 員会は、2001年の報告書で機関士がミスをしても安全な列車制御システムが装 備されなければ1人乗務は危険だと指摘している。

これを強行しようとする鉄道公社は、果たして今回のストライキ留保に対して 「国民の勝利」と言えるのだろうか。国民は敗北したのだ。「国民の足を担保 に」という固定されたシナリオで、鉄道ストライキを『常に』不法に追いやる のに忙しい報道機関と、政府に対する国民の敗北だ。

健康な労使文化を望むのなら労組を対等な相手と認識すべき

李哲社長は「今回のことを反面教師として健康な労使文化を定着させる」 と話した。

果たして今回のことで健康な労使文化が定着するだろうか。

鉄道公社は、鉄道労組-貨物連帯の共同ストライキを控えて、労組側の要求を真 剣に聞いて共に対話するどころか、中労委がくれた『不法』というカードに首 を突っ込んだ。李哲社長は14日の記者会見で、「不法ストライキで得るものは 何もないという点に留意しなければならない」とし、ストライキに参加したす べての組合員に損害賠償請求をすると話して、まだ始まってもいないストライ キを『不法』と規定した。

もちろん、職権仲裁という政府も認めた悪法中の悪法が2か月の時限付きの命を 維持している限り、鉄道労組のストライキは『不法』にならざるをえない。ちょ うど2か月が残された悪法だ。すべての問題の根源は、中労委がちょうど2か月 を残した職権仲裁の命を、まるで数千年を生きるかのように生かしておいたこ とだが、鉄道公社もまた職権仲裁が悪法だと呼ばれる手続きをそのまま踏んだ。 職権仲裁→不法ストライキ→損害賠償→労組破壊の順序である。

▲韓国社会では健康な労使文化は不可能だ。/チャムセサン資料写真

また、鉄道公社は鉄道労組の賛否投票の直後から世論戦に集中した。「歴代最 低の賛成率」、「ストライキに参加しなければイジメ」、「国民78.8%ストライ キ反対」、「職員の19.4%しかストライキ自発的に参加しない」、「鉄道退職 元老ストライキ自制を呼び掛け」... 鉄道公社が配布した報道資料の題名だ。 これに対して鉄道労組は「交渉に集中して、対話と妥協で問題を解決する意志 は持たず、世論を悪化させることだけに集中している」とし「公社はストライ キも始まらないうちからストライキ隊伍を破壊し、労組の無力化に血眼になっ ている」と非難した。

健康な労使文化は、労働者を対等なパートナーとして認めることから始まる。 しかし、今回の交渉で鉄道公社は鉄道労組を共に対話し、重要な問題を共に決 定するパートナーとは見なかった。命のような雇用が減って、勤労条件が変わ ることに対する労組の正当な問題提起に対して、鉄道公社はただ破壊の対象と して対したのだ。鉄道公社は鉄道労組が『ストライキ留保』を決定すると、 「事実上のストライキ撤回」と一方的に解釈した。こうした状況で、『健康な 労使文化』が打ち立てられるのだろうか。

鉄道労組のオム・ギリョン委員長は、「正面突破するには不足」といった。そ して、「また現場に復帰し、闘争をまた組織する」といった。鉄道公社が鉄道 労組を『破壊の対象』と見るのなら、鉄道労組は再びストライキという最後の 手段を選択するほかはない。いや選択しなければならない。

『健康な労使文化』、ストライキは不法という公式と、労組は破壊の対象だと いう認識が存在する韓国社会では不可能なのだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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