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わらでも捉えようと香港に発つ

[イーランド香港通信](2)ニューコア-イーランド香港遠征初日

オ・ドヨプ(作家)/ 2008年05月01日20時57分

オ・ドヨプ作家は4月30日、ニューコア-イーランド労働者たちと共にイーラン ド香港法人香港証券市場反対香港遠征闘争にたった。オ・ドヨプ作家は来る5月 7日に帰国するまで香港でニューコア-イーランド労働者の闘争を民衆言論チャ ムセサンに毎日伝える予定だ。-〈編集者 注〉

4月30日未明。ニューコア労働者のキム・ソグォン氏は寝られなかった。飛行機 で香港に行く日だ。もちろん海外に行くというときめきに眠れないのではない。 複雑で息苦しい。三百日の日々が夜中に天井に映像のように漂った。

「生活費がすっかりなくなったのがいつだったか。高い飛行機賃金を払って香 港まで行って戦わなければならないのか。みじめだ。」

わらでも捉えたい心情で香港に行く。国内で死ぬこと以外はやらなかったこと がないキム・ソグォン氏の声は、怒りで浮き立っていない。沈んでいる。

わらでも捉えたい心情

八十万ウォンを取る流通業社非正規職労働者が1か月にこの百万ウォンを求めて 叫んだのではない。一日中レジで暮した。休む暇もなく押し寄せる客を笑いで 迎えた。トイレにも行けずに膀胱炎になり、脚がパンパンにはれてもニコニコ と笑って働いたことが、追い出された理由だ。非正規職法施行を控えて、昨年 6月、ホームエバーから追い出されてニューコアから追い出された労働者たちは 『働きたい』という要求だけを三百日以上続けている。

香港出国の前にイーランド本社前で記者会見を行った。記者会見の30分前。イー ランド労働者よりも先に警察が記者会見場に到着する。警察バス3台が正門前を 遮る。バスからおりた警官たちは正門の中に入る。

▲香港出国の前にイーランド本社前で記者会見をした。

イーランド一般労組のイ・ナムシン首席副委員長がイーランド本社から出る。 出入り口に鉄製シャッターが新しく設置されたと伝える。

「鉄製シャッターが設置されたのを見ると心が本当に苦しい。つまらないこと にはお金を使いながら……」

本当に苦々しい

八十万ウォンの労働者たちを通りに追い出して、用役警備と事務室警護には費 用を惜しみなく使う経営陣の姿に情けないという表情をつくる。

記者会見場にはまもなく工場から追い出されて1000日になるキリュン電子労働 者が参加した。記者会見が終わり、香港遠征闘争団に白い封筒を差し出す。もっ と助けられない残念さでキリュン電子労働者の顔に申し訳ない思いがいっぱい だ。イーランド労働者は封筒を受けとるべきかどうか、しばらく躊躇する。な がめる彼らの目が赤くなった。

4月30日。ニューコア労組のキム・ソグォン氏、サービス連盟のパク・ドンシク 氏、社会進歩連帯のハン・ジウォン氏が遠征闘争先発隊として出発する。先発 隊は5月1日に香港労総主催メーデー集会に参加し、イーランドグループの不道 徳を暴露する予定だ。

午後2時30分、仁川空港出国ロビーに入った。キム・ソグォン氏は「さまざまな 思いが交差する。どれだけ成果を上げられるのか、今はわからない。全力をつ くして闘うという考えしかない」と出国の所感を述べた。

▲4月30日の未明。ニューコア労働者キム・ソグォン氏は寝られなかった。飛行機に乗って香港へ行く日だ。もちろん海外に行くときめきで寝られないのではない。

今はわからない

飛行時間は3時間30分。香港に到着した。5月2日、北京オリンピックの聖火到着 を控えて出国ロビーの前には黄緑色の軍服を着て武装した軍人が陣を敷いてい る。出てくる彼らを見る目は通常でない。

先発隊の個人の荷物は簡単だった。コチュジャンやキムチ一つない。海外に行 く時には買っていくもののカップラーメンや紙パック焼酎もない。代わりに横 断幕とチラシ、ゼッケン、鉢巻きが荷物の全部。

預けた荷物の中で角材と横断幕が見つからない。聖火奉送を前にして敏感な時 なので、あるいはオリンピック関連デモ用品と誤認され奪われたのだろうか、 皆緊張する。

数年前、農民とWTO反対デモをしに香港にきた時、農民会の旗のために出国ロビー でとめられた記憶が浮び上がった。

みつからなかった横断幕は幸いコンベヤーにひっかかって、ぐるぐる回っていた。

空港を出ると、湿気を含んだ熱い空気がさっと押し寄せる。夕方なのに25度だ。 湿度は80%を越える。

熱い空気

空港に出迎えにきた人は誰もいない。遠征闘争団はここから始めなければなら ない。帰る日もイーランド労働者がきたことを香港市民は知らないかもしれな い。後ろ指を差されるかもしれず、WTOデモの時のように警察に連行されて裁判 を受けるかも知れない。空港バスを待つキム・ソグォン氏の顔には出国の時の 話のように万感が行き来している。

もちろん拍手を受けにきたのではない。国内で死ぬこと以外、この300日間仕事 場を探し、あらゆる仕事をした。キム・ソグォン氏の言葉のように香港に来た のは、わらでも捉えたい非正規職労働者の絶体絶命の気持、それ一つだけだ。

市内に入ると『ショッピングの天国、香港』の実感がわくようなネオンサイン が騒々しく光っている。宿舎には香港労総のフイ・シオ・レイン組織幹事と AMRC(ASIA MONITOR RESOURCE CENTRE)のドリス・リーが待っていた。

5月1日、香港労総のメーデー集会とイーランド遠征闘争団の日程を議論した。

今は5月1日深夜2時35分だ。昨日まともに一眠りもできなかったというキム・ソ グォン氏は、明日のメーデーに書く演説文作成に眠たい目をこすっている。英 語で演説してくれという香港労総の要請に、演説文を英語で作るために唸って いる。与えられた5分の演説時間にキム・ソグォン氏が投げる言葉が以後の遠征 闘争の試金石になるだろうという負担で肩がさらに重い。

▲4月30日。ニューコア労組のキム・ソグォン氏、サービス連盟のパク・ドンシク氏、社会進歩連帯のハン・ジウォン氏が遠征闘争先発隊で出発する。先発隊は5月1日香港労総主催メーデー集会に参加して、イーランドグループの不道徳性を暴露する予定だ。

今夜も睡眠がとれない

夕食は午後4時頃に飛行機で食べた機内食で代えた。先発隊の財政を担当するサー ビス連盟のパク・ドンシク事務局長は、思ったより高い宿泊費に計算機をたた くのに忙しい。段ボールを敷いて道の上で寝る日が近いという感じが押し寄せる。

去年の夏、ホームエバーワールドカップモール店で見たある女性組合員の手紙 を思い出した。嫁より、で始まる手紙だ。

『足りない姑で申し訳ない。(略)七家族が一つの席に集まって楽しめればいい のに、職場のストライキ闘争でワールドカップ店のホームエバーで段ボール一 枚を敷いて自分の部屋のように毎日夜を明かし、座り込みをして家にも帰れな かった。君は姑の気持をよくわかってくれると信じる。(略)』

綴りが正しくなく文字も間違っているが、その気持だけはどこの誰よりも正し いイーランド労働者の手紙だ。眠れない明け方、この手紙を書いた組合員が今 は七家族が集まって、食卓で向き合って、もう嫁にすまないと思わずにいるか、 と変なことを考える。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-05-05 19:24:02 / Last modified on 2008-05-05 19:24:03 Copyright: Default

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