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大企業を太らせるだけのガス民営化の真実

[寄稿]ガス料金を上げるガス民営化

ペク・ジョンヒョン(韓国ガス公社支部企画局長) 2013.11.29 15:48

4月9日、セヌリ党の金漢杓(キム・ハンピョ)議員が「ガス民営化法案」と呼ばれる「都市ガス事業法改正案」を発議した。産業通商資源部長官はすぐに続いて5月22日の党政協議でセヌリ党議員に「6月の臨時国会で改正案を早期処理する」よう正式に要求した。セヌリ党は、足早に改正案処理に協力することにした。この法案の核心は、エネルギー大企業に自家消費用の直輸入と天然ガス搬出入業を同時に認めることにある。つまりガス公社がすべきことを、大企業にも分けるということだ。

公共輸送労組連盟とガス公社支部の闘争、市民社会団体の反対によって、6月の 国会では通過できなかったが、金漢杓議員をはじめセヌリ党は12月の国会で 「ガス民営化法」の処理をすると明らかにしている。

民営化の行き着く所は「利益」

「ガス民営化法」が天然ガスの民間直輸入活性化で天然ガス供給費用と電気料金 の引き下げを誘導すると政府とセヌリ党は主張する。

果たして事実だろうか? 企業の目標は利益だ。利益のためなら、何でもするの が企業の生理だ。では、公共部門の重要なエネルギーであるガス産業の門戸を 企業に開くガス民営化の行き着く所も利益だ。ここに公共性は割り込む余裕が ない。

2007年にガス直輸入の許可を受けたGSは、価格が暴騰して輸入を留保し、ガス 公社に物量を要請した。SKは2007年12月から3か月間、発電所の稼動を中断した。 燃料が高ければ収益が下がるからだ。

これまで大企業が天然ガスを安く輸入して発電市場に参加してきたのに、電気 料金は下がらずに、大企業だけが莫大な利益を上げてきた。セヌリ党の法案が 施行されれば大企業の主導で安い天然ガスが入ってきても、大企業が利益を得 るだけで、一般の消費者は被害を受けるという妙なことがさらに拡大すると専 門家たちは予想する。

ガス産業規制緩和は「迂回した民営化」

最近、米国とカナダでシェールガスの開発が本格化し、天然ガス導入先にも多 くの変化があるものと見られる。北米産のシェールガスを国内に持ってくれば、 これまで中東と東南アジアから買っていた天然ガス価格より25%程度安くなる ものと予想される。エネルギー貧乏国の韓国としては、安い天然ガスを国内に 持ってくることができれば、これは明らかに良い知らせだ。だが安い天然ガス をエネルギー大企業だけが輸入し、韓国ガス公社は2000年〜2004年の例のよう に政府の規制で輸入できなければ、その被害は家庭用都市ガスを使う一般庶民 にとって、ガス料金の暴騰という結果をもたらすだろう。

これに対して社会公共研究所のソン・ユナ研究委員は「ガス産業の規制緩和は 『迂回した民営化』で民間部門の市場進入を認めてきた政府が、民営化を本格 的に推進するだろう」と話した。ソン委員は「財閥がガス輸入を増やせばガス 公社はリクスを抱え込むだけの『石油公社』や、パイプを管理するだけの 『送油管公社』のように、うわべしか残らなくなる」と主張した。彼は「ガス 公社は不良企業になり、結局は空中分解する」と展望した。

こうなると結局、この負担は国民が負わなければならない。特にガスは季節に よる供給量が最大9倍まで違いが生じる。わが国のように四季が明確な環境では 冬に9を消費するとすれば、夏には1しか使わない。ガス公社は四季を通じ一定 の産業用、発電用ガスを提供するが、財閥企業はそうする必要はない。家庭用 ガス代の90〜91%が原料費だが、結局料金値上げは避けられないということだ。

ガス民営化の未来、日本と英国の事例を見よ!

2008年9月、韓国都市ガス協会は「産業用需要を財閥が持っていけば、損失保全 のために家庭用料金が最低5.2%(仁川都市ガス)から最高467.6%(西海都市ガス) 上がる」と予測した。同年、サミル会計法人も産業用直輸入が拡大すれば家庭 用ガス料金は、地域別に最低6.99%(首都圏事業者三千里)から84.66%(忠南地域 事業者西海都市ガス)まで上がると展望した。

これは日本のケースを見れば、さらによくわかる。民間企業に天然ガス輸入と 販売を任せた日本は、家庭用の都市ガス料金が最も高い国と言われ、家庭用都 市ガスは産業用の二倍以上も高い。国内の場合もエネルギー大企業の直輸入が 拡大すれば、冬期需要が集中する家庭用都市ガスはすでに民営化された日本と 英国の例のように、原価負担を加重させるという理由で2倍以上上がるのは火を 見るより明らかだ。

ガス公社支部は「セヌリ党が提出した都市ガス事業法改正案は、国民への配慮 はなく、エネルギー大企業の利益拡大だけに没頭する法案」と規定した。また、 政界には、この改正案を経済民主化悪法1号と規定して、国会では産業委法律案 審査小委で基本的に法案上程を阻止することを要求している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-12-01 06:24:36 / Last modified on 2013-12-01 06:24:36 Copyright: Default

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