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人権と労働権を移住の議論の国際的基本枠にせよ

[低い声](11)移住と開発に関する国連高位級会談に送る

チョン・ヨンソプ(移住労働者運動後援会事務局長) 2013.09.13 19:12

背景

10月3日と4日、ニューヨークの国連本部では「移住と開発に関する国連高位級会談(High-Level Dialogue on International Migration and Development)」が開かれる。これは2008年12月19日、国連総会決議63/225により、2013年の68次会期に開くことになっている。国連によればこの会談の目標は「国際移住の利益を移住民と国家に拡大するために、あらゆる水準で協力を強化し、否定的な面を減少させ、開発と連係」することだ。国連は2006年に移住と開発に関する高位級会談を開き、ここでは世界的に移住に関する議論する枠組みとして、政府が参加する「移住と開発に関する国際フォーラム(Global Forum on Migration and Development、GFMD)」を作った。GFMDは2007年から2012年まで開かれ、2013年と14年のイベントは、2014年5月にスウェーデンで開かれる。2007年にベルギーのブリュッセル、2008年にフィリピンのマニラ、2009年にギリシャのアテネ、2010年にメキシコのメキシコシティ、2011年にスイスのジュネーブ、2012年にはモーリシャスのポートルイスで開かれた。しかし移住に関する国際的な基本枠が何かの機構ではなく、フォーラムという形式であることからもわかるように、GFMDは政府にいかなる強制力も、あるいはそれに準じる圧力を加える枠組みではなく、ただあれこれ議論をする場だった。それも移住を開発と連係させ、経済的な利益を極大化させるだけだという疑いが濃厚だった。そのため、初めから移住民運動団体からの批判と抵抗は絶えなかった。

GFMD無用論

例えば、国際移住民の権利(Migrants Rights International、MRI)というネッ トワークは、GFMDが開かれるたびに「民衆の国際行動(People's Global Action、PGA)」という付帯行事を開催し、これを批判した。つまりGFMDの議論 が「極めて近視眼的で移住民の現実を考慮せず」、「移住と開発を連係させる ことに焦点を合わせるのはとても狭い見方であり、これは移住民の人権と移住 の根本的な原因についての意味ある議論を排除して、新自由主義的な経済利益 を極大化しようとするだけ』だという批判だ。各国の政府が移住を単純に経済 発展の道具としか考えず、移住民を送金手段としか感じずに、移住民の生存と 人権を考慮していないということだ。つまり移住民がその出身国や目的国、 雇用主により搾取され続けなければならないという話であり、GFMDはこうした 政策を参加国に流すだけだということだ。(http://hld2013.gcmigration.org参照)

国際移住民連帯(International Migrants Alliance、IMA)は「移住が権利になり、 移住民の完全な人権が保障され、彼らの寄与が認められる世の中」に進もう という立場書を、今回の国連高位級会談の前に提出した。彼らはこの数十年間、 移住は社会・経済的な開発と関連して繰り返して議論される主題だが、2006年の 国連高位級会談の後、移住-開発を連係させる議論がさらに強められ、さらに 多くの政府、国際機構、民間グループに影響していると批判する。またこうした 論理はGFMDという枠組みにより最も拡大し、経済危機の下でさらに移住労働と 送金を成長と開発に活用する意図が露骨になっているという。そして、移住が 開発に寄与するというのは多過ぎるほど研究され、議論され、奨励されているのに、 なぜ現実として低開発の結果、移住が発生するのかについては何の努力もないと 彼らは批判して、国際金融機構、政府間機構、一部市民団体は移住に関する こうした経済実用的な観点しか採択しないと皮肉る。移住の果実だけを活用 しようとする議論は結局、移住と安保の連係にも続くが、国境の軍事化、厳格な ビザ政策、移住民への偏見助長などがそれだ。つまり必要とされる程度の正規の 移住を越える非正規的な未登録移住を防ぐために、国境を要塞化する政策を取り、 移住民を犯罪者化するということだ。その過程で移住民の権利と福祉、人権は 切り捨てられている。(http://iamr4.com参照)

MRIとIMAの二つのグループだけでなく、ほぼすべての移住民権利運動団体は、 程度の差はあってもGFMDを糾弾し、この体系ではなく他の体系を構成することを 主張する。GFMDが移住民の権利という面を徹底的に無視し、移住民を経済的活用、 搾取の対象としか見ず、政府と雇用主の利害だけに符合する議論をしてきたので、 これ以上、GFMDを国際的な移住議論の基本の枠にしてはならない。

人権と労働権を基本枠にせよ

今回の高位級会談のために代表的には上の二つのグループがニューヨークでの 対応イベントを準備している。MRI側は「民衆、力、共同体:移住、労働、人権 のために」というスローガンで「民衆の国際行動(PGA)」を行う計画で、IMA側 は「4次国際移住民&難民総会」を開く。内容を見ればPGAのイベントは、△ 移住政策における「人権基本枠」の擁護、△不平等を加重し、強制移住させる 自由市場の経済政策の代案追求、△草の根移住民組織の運動の拡張と移住民の 権利運動ではない社会正義運動、特に労働運動、経済正義運動、人種/ジェンダー 正義運動との連帯運動の促進などを核心的な価値としている。これに基づいて、 △移住民関連法、政策、慣行に対する人権に基盤した接近、△循環移住/短期の 移住の批判、△移住民犯罪者化の糾弾などを主張している。

IMAの立場は、△民衆の開発目標を守ること-人権、貧困と不平等打破、食糧主権、 完全雇用と良質の雇用、普遍的社会福祉、ジェンダー正義、環境持続可能性、 新しい国際的経済、民主主義とグッドガバナンス、平和と安保、△移住民の人権の 完全な保護-移住民の人権に関する定期的評価メカニズムの樹立、特定の本国と 目的国間の協力対話の奨励、送出業者、貸金業の規制、脆弱な位置の移住民を 保護する政策の採択と履行、移住民が国家安保を威嚇するという目的国の基本 認識の変化、関連する国連とILO協約条項に合うように政府が法律を修正すること、 △政府と政府の間の政策決定の過程に草の根移住労働者の参加を増加させ、 透明性と民主的な参加を奨励することだ。

ITUC(国際労総)は、△国際産別に所属する40以上の加盟組織と関連の市民社会 団体を組織して、高位級対話に労組の核心的な要求が反映されるように努力。 進歩的政府が優先的ターゲット、△労働移住に関する国連の唯一の公式な機構 であるILOの役割と権利基盤への接近を積極的に促すこと、△労働移住に関する 政策を議論するために、すべての水準での社会的対話の促進、△移住に関する すべての議論と政策、プログラム、協定が、国連の日常的な体制の基本になる ように、市民社会団体と共に政府にロビー、△国連高位級対話に参加する各国 の参加団に労組と市民社会団体を入れるよう要求、△GFMDの非民主性と非責任性を 暴露する共同行動の組織を立場と計画としてたてている。

共通にわかることは、国連がGFMDのような国連の外の枠組みではなく、国連内 で責任を持ち、移住民の人権と労働権に焦点を合わせる議論の体系を作ろうと していることだ。この前提はGFMDの解体だ。もちろん国連の中で移住に関する 責任単位をある程度作っても、移住民をめぐる問題が解決するわけではない。 それは最低の枠組みでしかなく、送金と開発にだけに焦点が合わられていたこ とを中断し、権利を中心とする枠組みを作ろうということだ。移住民を無視し 抑圧する国際法制度的な形式を今すぐ変えなければならないということだ。何 よりも重要なことは、移住民の権利を国際的に、一国的に、地域的に伸張させ るための移住民の組織化と勢力化だろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-09-16 14:58:53 / Last modified on 2013-09-16 14:58:53 Copyright: Default

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