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MBC記者「戦え? 私たちが消えるしかない」

「ストライキをしても『試用記者』がニュースを製作する」… 「『公営放送』捨てられない価値なら、闘争と連帯を悩まなければ」

入力:2014-05-2115:55:09 露出:2014.05.2214:09:15 チョ・スギョン・キム・ドヨン記者、珍島、彭木港=イハニ記者| jsk@mediatoday.co.kr

MBCの構成員は2012年の放送公正性闘争を主導的に率いた。 だが金在哲(キム・ジェチョル)前社長が解任された後も「金在哲体制」は続いた。 MBC構成員の「沈黙」も始まった。 報道の政府側傾向はさらにはっきりし、セウォル号局面では深刻な水準に達した。 MBC構成員は現在、岐路に立っている。〈編集者 注〉

「みじめだということしか言えない。 私がジャーナリストだ、MBC記者だという名前を付けていることがとても恥ずかしい。 いっそニュースをなくしたほうが良いように思うほどだ。」

MBC報道は、記者に激しい自己恥辱感を抱かせた。 5月7日、パク・サンフ報道局全国部長のセウォル号遺族蔑視報道が伝えられ、30期以下の121人の記者が謝罪声明を出した。 記者らは「一言で『報道惨事』だった。 そして、こうした惨事を防げない責任は、私たちMBC記者にある。 胸を打ち、頭を下げる」とした。

こうした渦中でパク・サンフ部長がセウォル号遺族に対し 「あんな連中には、関心を持つ必要はない」と話し、キム・ジャンギョム報道局長が編集会議で「本当に遺族か? 完全にチンピラだね」と話したという疑いが提起され、 MBC本部は真相を究明しろと反発した。 またイ・ソンジュMBC本部長は断髪をして社内ロビーで1人デモをするなど、 MBC本部と記者会は使用者側の公式謝罪を要求している。

だがそれ以上は何もない状態だ。 KBS構成員がセウォル号報道を契機として吉桓永(キル・ファニョン)社長の辞任を要求し、 製作拒否に入ると、自然にMBCに視線が向いた。「MBCは何をしているのか」というものだ。

戦うKBSと対比される今のMBCへの叱責でもあるが、 2012年7月に「報道闘争」を宣言してストライキを中断したが、 不公正な報道が続いているのに眼に触れる抵抗がなかったMBC構成員の長い沈黙に対する批判でもある。 MBCは大統領選挙の時「最悪の報道」に選ばれ、国家機関大統領選挙介入疑惑と青瓦台の「蔡東旭婚外子」介入議論などについても沈黙した。 そして「ニュースデスク」は「動物ニュースに転落した」と酷評された。

▲イ・ソンジュ言論労組MBC本部長が19日、ソウル市汝矣島MBC前で記者会見の途中に涙を流した。写真=キム・ドヨン記者

MBCの記者らは「まず残ることが重要だ」と話す。 A記者は「MBCが『刀舞』を踊っているのに、誰が出て行って戦えるか。 MBCはKBSよりはるかに非正常的だ」と困難を吐露した。 B記者は「現在、MBCはそれこそ政権次元で掌握されていて、 解雇や解雇に準じる重懲戒を受ける覚悟がなければ何も方法はない」と話した。

2012年170日ストライキの「トラウマ」も少しずつ異なる様相で残っていた。 MBCはストライキの過程で9人(2人は現在復職)を解雇し、ストライキ参加者の停職と減給を乱発した。 記者・PDに対する業務排除と非制作部署への発令が日常的にあり、 現在も続いている。 最近では14〜15年目のデスク級記者2人が特別な理由なく非報道部門のグローバル事業本部京仁支社に発令され、 パク・サンフ部長の問題の報道を自分のカカオトークに書き込んだある記者は 「社内情報を流布した」とし、人事委員会に回付された。

B記者は「(政権は)米国産輸入牛肉の危険性を伝えた〈PD手帳〉に謝罪放送を命令するなど、あらゆる強引な方法で『親朴放送』に変えた。 どんなゴミ記事でも抱えて行っても ある人々は仮借なく解雇する生計殺人を行った。 もちろんこうした弾圧を受けているからとしても(現在の状況に対する)免罪符を受ける訳には行かないが、理解されるという考えもなくはない」と話した。 ある組合員は「戦う条件が整えば戦う。(弾圧が)怖いわけではない。(だが)ひとつの組織が数年間戦い続け、戦いが終わっていないのにまた戦いを始められるか」と反問した。

「苦痛」を訴える記者もいた。 C記者は「会社の今の状況を考えれば深刻なストレスが積もる。 一切考えないでいるので、何も差し上げる言葉がない」と話した。 この記者は「残念だが、MBCは給料を取るために来る所だと考える」ともした。

もちろん彼らが「傷」だけを理由に戦いを躊躇しているのではない。 抵抗がもたらす未来があまりに絶望的だという現実的な悩みが大きい。 ある解職ジャーナリストは「われわれは、ストライキの後事実上壊滅したようなものだ。 KBSは経歴あるいは試用記者を取らなかったが、MBCは50人以上を採用した。 戦いの動力は記者なのに入れ替えられ、また集団行動をすればそれでも報道局に残っている記者もすべて変わりかねないという憂慮が強い」とし 「記者が製作拒否をしても、経歴・試用などの記者と、内部の反対側の記者がニュースデスクを作るだろう」と憂慮した。 MBC経営陣が抵抗をむしろ報道局の「DNA」を完全に変える機会に悪用するだろうということだ。

こうした憂慮はMBC記者の間でも同じだ。 D記者は「数十人がクビになっても簡単に補充される構造なので、 人員で何かしようとする試みは受け入れられない」とし 「全員が辞表を出す以外、何もできない」とした。 この記者は「以前は1対9の割合で不当なことに積極的に動いたが、現在は積極的な声をあげる割合が減った。 使用者側の立場を代弁する勢力が多くなり、会社で発生する事案に無関心だったり同僚の懲戒を見ることを恐れ、とても冷笑的になった人も多い」と雰囲気の変化を伝えた。

長期的な戦いのために「動力を残さなければならない」という意見もかなりある。 E記者は「報道闘争はすでに、かなりの部分が大量の懲戒によって不可能になったという事実を知っているが、ストライキをしても『試用記者』のために無意味になった」とし 「それで単にこの時期を耐えるのではなく、私たちが懲戒され、報道局から排除されれば『誰が喜ぶのか』と考えて粘っている。 いつかMBCを正常化するために、恥辱に耐えて残っている」と話した。 この記者は「今、正面から戦えば私たちが得るものはなく、失うものが多い。 結局、われわれは消えるしかない」と述べた。

それでも現在の状況が続けば、MBCをめぐる対外的な環境が変わっても回復できない状態に陥るという指摘がある。 言論改革市民連帯のチュ・ヒェソン事務総長は 「(政権が)MBCをすでに徹底して無力にする意図があり、 報道でも公的な要素が掌握された」とし 「現在のMBC構成員らは無力に残るか、あるいは辞めるか、二つの道を選ぶことを推奨されている」と指摘した。

チュ事務総長はしかし「政権が変わっても一度崩れれば戻すのは容易ではない」とし 「とても難しい状況だということは分かるが、これ以上崩れれば未来はないことを理解しなければならない。 公正放送MBCが捨てられない価値なら、戦いと連帯を考えなければならない」とした。

「すでにMBCを救う『ゴールデンタイム』は過ぎた」という見解もある。 MBCは報道機関として認識されていないということだ。 キム・シゴン前KBS報道局長の「放言」とKBS報道は問題に浮上したが、 まさにMBCの報道と報道局幹部の蔑視発言は、関心も引かない。 これは、セウォル号犠牲者家族の認識でも現れた。 珍島彭木港にいる不明者のある家族は 「MBC幹部がそんな放言をしたとは知らなかった」と話し、 他の不明者家族も「そんなことがあったとは知らなかった」とした。 E記者は「珍島彭木港でジャンバーを着て歩き回れば殴られるかもしれなかったのに、 MBCには何の反応もなかったそうだ」と話した。

労組の悩みも深い。 イ・ソンジュ本部長は「19日、安山で遺族と会った時に『君たちの命を保つためにしているのではないか』という言葉を聞いた時、一番胸が痛かった」とし 「戦うべきだという言葉に100%同意して、『公正放送が第1の勤労条件』だという判決文を見ても、今はストライキをするしかない時期だということはわかる」と話した。

イ本部長は「ストライキの前は、団体交渉と公正放送協議会などの合法的な通路があったが、現在はこれさえなく、組合員への懲戒を全く防御できない」とし 「組合員たちが発言できる通路がすべて詰まっていて、合法的な手続きによるストライキも不法だと言われる状況に置かれている」と話した。 団体協約もない状況で、組合が選べる動きの幅は狭いということだ。

F記者は「記者らは懲戒を恐れるというより、他に人事措置されて代替記者が採用されることの方を心配している。 (声明など)言葉だけで戦うのは限界があり、じっとしていてはいけないと思うが、 MBCに対する世論の関心そのものがないなど、条件がとても悪い。 だがMBC記者らの属性上、一度火を点ければ立ち上がるだろう」と話した。

原文(メディア・オヌル)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作権:この記事の原著作権は、韓国のインターネット新聞メディアオヌルが保有しています。この記事はメディアオヌルの許可を得て翻訳・掲載したものです。本記事および文中の写真・図表の利用や転載などについてのお問い合わせはメディアオヌル宛にご連絡ください。


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