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MBCは記者のサンドイッチを覚えているか

[寄稿]不正と恥部に対処するBBCとMBCの姿勢

キム・セオク(PDジャーナル記者) 2012.11.16 11:21

あらかじめ言っておくが、この文はうらやましさに関する話だ。それも他人の 不幸に対するうらやましさだ。

最近、英国を揺るがした波紋がある。英国の公営放送BBCに関することだ。 2011年に84歳で死んだ有名DJ、ジミー・サビルが生前に数十年間、強姦を含む 児童性犯罪を行い、その事実をBBCが隠してきたという疑いが出てきた。ジミー・ サビルは1960年代からBBCで働き、国民MCの隊列に上り、英国王室からナイトの 称号を受けた人物だ。

10月3日、英国の民営放送ITVは、ジミー・サビルの性犯罪事実を報道する告発 番組を放送したが、放送直後に捜査に着手した警察によれば、一週間後で300人 を越える被害者の申告を受け付けたという。おそらく、最大規模の児童性犯罪 事件だと言っても過言ではないほどだ。

死後も愛された国民MCの恐ろしい二つの顔への怒りがBBCへ向かうのは、まさに BBCがジミー・サビルの醜悪さを知っていたのにITVが放送するまで事実を隠して いたためだ。

事実、BBCのニュースナイトの製作スタッフは、昨年10月にジミー・サビルの性 犯罪の事実を暴露する取材に突入した。同年12月にはほとんど製作を完了して いた。だが当時、編集長だったピーター・リッポンは『完成度』を理由に放送 を認めず、それ以上の取材も妨害した。こうした中、BBCはジミー・サビルを 追慕する番組を放送した。

BBCは10月22日、ピーター・リッポンを解任して自社の有名探査番組、パノラマ で、一連の情況を詳しく伝えた。ジミー・サビルについてのニュースナイトの 取材内容と共に、なぜ放送中止になったのか、取材と放送を妨害したBBCの高位 関係者に対する批判もそっくり入れた。そして現在、ジョージ・エントウィスル BBC社長を含む前・現職幹部など約10人が警察と国会の調査を受けている。

全世界が羨み、最も信頼される公営放送のBBCにとって、今回の事件は骨身にし みるものだ。あるいは最悪の危機を迎えているかもしれない。だがこれを収拾 するBBCの姿を見て、別の理由で、しかし信頼に致命打を受けているという点で はよく似た韓国の公営放送の姿を思い出し、すぐに羨ましさでため息が出てく るのを防げない。そうだ。MBCのことだ。

MB(李明博)政府以後、MBCへの信頼はジェットコースターに乗っている。MB政権 の序盤までは、政府など権力の誤った動きを躊躇なく批判する公営放送の姿で 『マ・ボンチュン』という愛称で呼ばれ、愛されたMBCは、2012年現在、信頼は 半分を越えて『3分の1』になる状況に置かれた。最近発行された「時事IN」 266号によれば、「時事IN」が4年間続けている言論信頼度調査でMBCは2010年 には18%の信頼度を示していたが、今年は6.9%まで墜落した。

さらに高い道徳性と信頼を要求されている公営放送の社長ではなくても、袋叩 きにされる背任と女性問題など各種の疑惑と議論にもかかわらず、金在哲(キム・ ジェチョル)MBC社長はその責任を取るどころか100人以上の記者・PDをサンドイッチ 作り教室に追いやったり、解雇するなどの奇行を続けている。

公営放送としての言論の問題ではなく、深刻な労働弾圧という指摘で、国会は 国政監査にキム社長を呼んだが、急造の臭い海外出張を言い訳にしただけだ。 公営放送MBCの株式を売却して、セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)大統領候補を助 ける計画をたてたという疑いも出てきたが、キム社長はこの対する責任も部下 の『オーバー』のせいにした。

墓に足を突っ込んだ公営放送のアイデンティティをよみ返らせるために自社の 見苦しい部分を大衆の前に引き出すBBCと、信頼の危機の前でもどんな苦言も聞 かず、航空マイレージを貯めてばかりイル社長を持つMBCの現実を比較してしま うのは、どうしようもない事だ。そう考えても、他人の不幸にからむ状況まで 羨まなければならない現実に複雑な思いがあるのも当然のことだ。

後からでも、こんな複雑な息苦しさを減らすために、もう金在哲社長が存在し ない未来のある日、MBCの「PD手帳」で公正放送を主張して現業から追い出された ジャーナリストが、どんな気持ちでサンドイッチを作って暮らしたのか、そして その時間に彼らを追い出した、一時は先輩だった人々が、公営放送MBCに何を したのか、必ず扱ってほしい。(出処=金属労働者)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-11-16 23:18:21 / Last modified on 2012-11-16 23:18:22 Copyright: Default

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