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精神障害の犯罪針小棒大…「精神障害者は殺人魔」?

セヌリ党の鄭龍基議員、精神障害者に予備犯罪者の烙印

カル・ホンシク記者 2015.10.06 11:31

▲鄭龍基議員の国政監査報道資料。精神障害犯罪の深刻性を強調し、題名の下の要約に「精神障害殺人魔」のような表現を使った。

国政監査の期間にセヌリ党の鄭容基(チョン・ヨンギ)議員(国会安全行政委員会所属)が精神障害による犯罪の問題が深刻だという報道資料を配布した。 しかしこれについて精神障害による犯罪を針小棒大にし、 精神障害者や精神疾患者に「予備犯罪者」の烙印をおすものだという批判が提起されている。

鄭議員は10月1日、警察庁から受け取った資料を基礎に 「精神障害犯罪者が3年間に1万7421人」という題名の報道資料を配布した。 この資料には、精神障害犯罪者は2012年に5298人、2013年に5858人、2014年に6265人に増加した。 警察庁、検察庁は精神障害犯罪を精神異常、精神薄弱、その他の精神障害などの状態で行う犯罪だと規定している。

鄭議員は2014年基準、精神障害犯罪の犯行動機として「その他」が2636人で、42.1%に達するという点を上げて、 精神障害犯罪者は動機がないか偶発的に犯行を行っていると指摘した。 「犯行動機そのものがない無動機犯罪や精神的な気質により犯罪を犯すとその他に分類される」という。 続いて偶発的動機が33.4%、2091人でそれに続いた。

また鄭議員はこの3年間で188人の精神障害殺人犯罪者のうち94人(50.0%)が動機がないか、精神的気質のために、 64件(34.0%)が偶発的に殺人を行ったと説明した。 その上、鄭議員はこうした内容について、報道資料上段の要約の部分に「精神障害殺人魔」という刺激的な表現を使った。

全国民の犯罪率と比較しても精神障害犯罪率の方が低い!

しかし全体の犯罪統計と比較すると、鄭議員のこうした指摘は一部の精神障害犯罪の深刻性を誇張したものと言える。 実際に2013年の警察犯罪統計を見れば、全体犯罪発生件数は185万7276件で、精神障害犯罪は全体件数の0.3%に過ぎなかった。

精神疾患有経験者の精神障害犯罪率もきわめて低かった。 2011年の保健福祉部の精神保健実態調査を見れば、 18歳以上の人口のうち精神疾患を経験した人は14.4%で、約520万人と推定される。 これと較べると、精神障害犯罪者5858人はたった0.1%程度でしかない。 しかし2013年基準、全国民の5114万1463人の犯罪率は3.6%で特に高かった。

具体的な項目別に見れば、殺人犯罪者377人のうち精神疾患がある人は21人で5.6%を占めるが、 精神疾患がない人は187人で49.6%だった。 強姦や性暴力事件も精神疾患者は0.8%だったが、精神疾患がない人は46.6%と特に高かった。 暴力犯罪も35.7%が精神疾患がない人、35.6%が飲酒者によるものだが、 このうち精神障害犯罪は0.5%でごく少数だった。

また大検察庁の「2014年犯罪分析」の資料を見れば、 全体犯罪者のうち偶発的に犯罪を行ったケースが12.9%、 動機が分からないケースが40.7%だった。 鄭議員の指摘と違い、犯行の偶発性が精神障害犯罪だけの特性ではないわけだ。

韓国精神障害者連帯のパク・ミソン事務局長は 「統計上でも一般人よりも精神障害犯罪率が低いだけでなく、 精神障害者の犯罪性がないということは精神科の医師も認めている」とし 「もちろん、精神障害者が幻聴や妄想による思い違いが発生し、 他人に害を及すことはあるが、 こうしたことは精神病院でもめずらしい」と反論した。

パク事務局長は「(精神障害者が)動機や理由もなく過激な犯行をすると言うのは、 まるで一部を全体だというによに糊塗するもの」とし 「すでに社会が『精神障害者は犯罪者』という等式を敷いているのに、 こうした統計を提示することにより社会の誤った考え方を深める」と批判した。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-10-07 15:17:27 / Last modified on 2015-10-07 15:17:29 Copyright: Default

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