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社会化と労働 第236号-2004.08.19

移住労働者運動主体を形成しよう!

─8.17 雇用許可制施行について

社会進歩連帯

雇用許可制:管理と統制、抑圧と搾取のもう一つの名前

「外国人勤労者を体系的に導入、管理して円滑な人材需給及び国民経済の 均衡のとれた発展を図ることを目的とする。」 昨年7月31日に国会を通過して今年の8月17日から施行された 「外国人勤労者の雇用などに関する法律」(雇用許可制、Employment Permit System、EPS) に入っている法律の目的についての規定だ。 この法律の目的は、決して移住労働者の人権と労働権を保護するためではなく、 移住労働者を体系的に管理統制することによって 韓国資本主義のために效率的に活用しようとすることだと明確に語っている。

これまで諸悪の根源だった産業研修制の中で、 移住労働者を労働者ではない研修生の身分に偽装して いちばん下層の低賃金労働として活用し、これに耐えられずに 事業場を離脱する労働者の不法滞留を構造的に助長し、 もう一つの低賃金労働者軍を形成した政策基調の延長線で 雇用許可制が施行されていることを明確に証明している。

雇用許可制によれば、移住労働者を雇用しようとする事業主は、 1か月間内国人の求人の努力をした後、雇用申請をするものとされ、 産業人材公団は政府が人材送出了解覚書を結んだ フィリピン、スリランカ、インドネシア、タイ、モンゴル、ベトナムなどの国家から 労働者を導入、該当事業場に配置することになる。 事業主は最低賃金水準か、それを若干上回る水準を提示しているが、 超過手当て、退職金、四大保険などの費用を合わせると 100万ウォン内外になるはずだという。 政府はまた移住労働者が労働関係法を適用されるようになるので、 人権が伸張すると宣伝している。 しかし雇用許可制は、 もう一つの方法で移住労働者を管理・統制して抑圧・搾取する制度だ。

まず、移住労働者は事業場移動の自由がなくなる。 事業体が休・廃業したり一方的に勤労契約を解約する場合にしか 移動することができないわけだ。 したがって、より良い事業場へ移動した瞬間、その移住労働者は「不法滞留者」になる。

二つ目に、労働三権が保障されない。 表面では労働法が同一に適用されると言うが、 1年単位で契約を更新することになっていて、 事業主があらゆる労働条件を一方的に決定してしまっても泣く泣く 受け入れざるをえない。 契約を拒否すれば契約を廃止され、これは不法滞留者身分になることを意味するからだ。

三つ目に、撤廃されるべき産業研修制度が並行して維持されることで、 構造的な弊害は続く。 さまざまな人権侵害と不正の温床である産業研修制度は、 低賃金労働搾取、未登録不法滞留を構造的に量産する。

四つ目に、既存の未登録移住労働者に対する全面赦免無く 強制的な取り締まり追放だけを強行している。 奴隷のような生活を強要した責任は政府にあるにもかかわらず、 政府は未登録移住労働者を合法化することなく 人間狩りをするように取り締まり追放することしかしない。 しかし政府のこのような取り締まり追放にもかかわらず、 未登録移住労働者は6月末の16万6千人から7月末には17万2千人へと、 むしろ増加している実情だ。

結局、雇用許可制はいままで韓国社会で労働者として暮らしてきた 移住労働者を追い出し、政府と資本の統制の下に「3年単位」で 移住労働者を使い、また追い出すことを繰り返すことにほかならない。

移住労働者労働権争奪は、労働運動の重要な課題

移住労働者の発生は、基本的に資本主義では必然的だ。 生産手段を所有できない労働者は、 自身の労働力を売って生計を維持せざるをえないため、 職がある所に移動する自由、自由に労働する権利は、労働者の生存に必須だ。

国民国家の境界は、支配階級の必要により人為的に形成されたものであり、 労働者階級の要求によるものではない。 世界の資本主義の不均等な発展の結果として、 低開発国家の労働者たちが働き口を探して国境を超えることは 彼らにとっては生存の問題であり、それが当然の彼らの生存権的権利だ。 また、多国籍資本による新自由主義世界化にともなう東アジア経済危機以後、 アジアでの移住労働の拡散はこの地域の民衆の荒廃した生活条件の中で 急激に増加する趨勢にある。

移住労働者の問題を国内労働者の雇用を侵犯する利害関係の対立構図とし思考する限り、 移住労働者問題は永遠に解くことができない頭の痛い問題でしかなく、 労働者の国際連帯の当為性と国内労働者階級の保護という二者の間で 韓国労働者運動は葛藤せざるをえなくなる。

世界経済の好況期と新自由主義構造調整の時期には、 移住労働者の問題が根本的に違っている。 好況期には、資本は単純に国内労働力の不足を補充する移住労働者の役割に 満足していた。 そして移住労働者を流入し、国内の労働者との大きな対立の構図は形成されなかった。 しかし、利潤率の急激な低下で構造的危機に逢着した新自由主義は、 労働階級を分割して労働条件を低下させる。 低賃金移住労働者の流入を通して内国人労働者の労働条件低下を意図し、 国内の労働者と移住労働者の利害関係の衝突を企画する。

したがって、国内の労働者を保護すべき主権国家の利害と 移住労働者の人権擁護が衝突するという図式で理解してはならない。 なぜなら移住労働者によって国内の雇用が侵食されて労働条件が低下するのではなく、 資本が人種、性、階層の境界線を利用して 内国人と外国人、男性と女性、正規職と非正規職等として 引き離しながら労働の不安定化を強要するものだ。

したがって、非正規職と正規職が労働者の名前で団結しなければならないように、 移住労働者と韓国労働者も同じだ。 このような観点から移住労働者の全面合法化と労働権争奪は、 韓国の民主労組運動の重要な課題だと言えよう。 移住労働者運動を労働者運動の強力な力として成長させ、 国際的な労働者連帯のための道に進まなければならない。 資本の世界化に対抗して労働者民衆による下からの世界化の方向に 闘争と連帯を形成していかなければならない。

移住労働者運動とその主体形成に連帯しよう!

韓国資本主義の意図は明らかだ。 利潤率の急激な低下にともなう世界資本主義の新自由主義構造調整の中で 不安定労働の拡散と労働柔軟化政策の推進が 生存のためのきわめて不安な代案である。 そのため絶えず労働の分割と階層化を画策して非正規職を量産し、 低価格多段界下請け構造を通して派遣労働と社内下請けという 正常ではない雇用形態を労働大衆に強要している。 このような階層的な不安定労働の最下層に 移住労働者の今日の現実が位置を占めているのだ。

当面の自身の雇用を保証されるため、 非正規職を容認して連帯しない瞬間、 自身の労働まで不安定労働として強要されて戻ってくるように、 移住労働者の労働権争奪のための闘争に無関心なままで無視していれば、 それはまさに労働条件全体の同伴下落として表れるだろう。 移住労働者運動に対する韓国の民主労組運動の連帯が必要な理由もここにある。

これまで取り締まり追放粉砕、未登録移住労働者全面合法化、 産業研修生制度撤廃のために移住労働者は、かろうじて闘争してきた。 明洞聖堂では280日近い座り込みをしてきている。 労働者としての権利を不正当なまま あらゆる人権蹂躙と労働搾取の中で自然に抵抗を表してきたし、 資本と政権の弾圧の中でも自ら労働者であることを宣言して 労働者としての当然の権利を勝ち取るための闘争を持続してきたのである。

そうした闘争の結果として、 政権が出した制度改善の結果がまさに雇用許可制として表れたのである。 しかし雇用許可制は、移住労働者の人権と労働権の改善を目的に作られたものではなく、 移住労働者運動を無力化して移住労働者を效率的に管理・統制するために 作られた法案だ。職業選択の自由と事業場移動の自由も無く、 ひたすら使用者の意思によってのみ自身の労働が許される制度で、 どうして労働者としての地位と権利が保障されるだろうか? 雇用許可制の施行に合せて行われている政府の殺人的な強制取り締まりと追放と、 既に20万人近い不法滞留者の量産は、 雇用許可制が既に失敗していることを反映している。 雇用許可制は、名前を変えただけの産業研修生制度の延長であり、 現在の移住労働者を追い出した後にも継続的な短期循環によって 移住労働者の長期滞在を防ぎ、移住労働者運動が自主的・階級的な 労働運動として発展することを遮ろうとする反労働者的政策だ。 したがってわれわれは移住労働の自由で合法的な権利のための 労働許可制への目標を明確にして闘争を展開しなければならない。

ところが一部の市民団体と移住労働者関連団体で 雇用許可制の事業場変更関連規定及び附則2条の経過規定を改正するような 運動の方向に行こうとしているのは残念なことだ。 これは、ひとつを得るために構造的問題を容認するもので、 移住労働者が運動の主体として成長することを遅らせる 短期的対応だと言わざるをえない。 私達が雇用許可制を部分的に改正する線で雇用許可制を認めた瞬間、 今後、雇用許可制を超えて移住労働者の労働権争奪闘争に進むことが さらに難しくなるだろう。 私たちの運動は、移住労働者運動の主体が移住労働者内部で形成され、 成長するための過程でなければならない。 法改正もまた同じだ。 闘争を通して運動の力量を高める方向の中で配置されなければなるまい。

これまで多くの韓国の活動家が移住労働者の闘争に参加し、 彼らの労働者としての権利を勝ち取るための闘争に献身してきた。 人種と国境を超えた労働者運動の国際連帯の立派な模範だと言えよう。 今はこのような段階を超えて、移住労働者自らが運動の主体として 確かに成長できなければならない。 既に移住労働者は自らの運動の性格と目標に対する認識を明確にして、 韓国移住労働者運動の主体であることを宣言した。 移住労働者運動が成長発展して労働運動の一主体になることができるように、 韓国の労働運動は連帯を惜しんではならないだろう。

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2004-08-21 01:15:36 / Last modified on 2005-09-05 05:17:50 Copyright: Default

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