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ソウル教育長選挙その後、670日... MB 『2次危機』を引き起こすか

[分析]エリート学校設立と競争第一主義のあちこちに『爆発物』内包

教育希望/ 2008年08月01日17時36分

▲コン・ジョンテク当選者選挙サイトに上がっている選挙遊説写真

「670日残っている」。8月26日に仕事を始め、2010年6月30日までのソウル市の コン・ジョンテク教育委員長の任期についての言葉だ。

コン当選者につきつけられた代表性と道徳性

7月30日、ソウル市教育委員長初の直接選挙で当選のシャンペンをあけた現職教 育委員長で新しい当選者のコン・ジョンテク(74)。彼は残るこの1年10か月の期 間、果たしてどんな動きをするのだろうか。

まず彼につきつけられた問題がある。まず代表性の議論だ。ソウル有権者808万 人の中でコン当選者を選んだ人はやっと6.2%の49万9254人でしかない。しかも 約2万2000票という僅差でチュ・ギョンボク候補を破ったコン当選者は、瑞草、 江南、松坡など、いわゆる『江南ファミリー』地域で集中的に得票した。その 偏差は全体の票差より3倍も多い約6万8000票にもなる。これが、彼が全ソウル 市内25区の中で、17区で敗れても勝利した要因だ。したがって『江富者』(江南 の金持ち)が選んだ教育大統領というレッテルは避けられない。

選挙過程で持ち上がった道徳性の議論も彼の前途に待ち構えている。有名人の 名を盗用して虚偽の顧問団を発表したこと、特殊目的高校テウン学院長を選挙 総括本部長に任命したこと、授業を受けさせるべき小中高生を動員して写真を 撮り選挙公報に掲載したこと、釈然としない賞を受けた後「国連傘下の組織に よる教育ノーベル賞」だと偽りの広報したことなどだ。

一部の教育団体が『国連賞虚偽公表』告発を準備

特に『国連賞』についての虚偽の受賞経歴は、一部の教育市民団体が検察に正 式な告発を準備している。選挙法は、虚偽の事実の公表には非常に厳しい規定 があるため、その結果が注目される。選挙と教育の克明な対照点は、まさに 『過程』と『結果』のどちらを重視するかだ。過程を重視する教育と違い、選 挙は結果が過程もすべて吸収する傾向がある。

だから一部の保守新聞が次のようなタイトルをつけられるのだ。

「ソウル市民たち『平等』の代わりに『競争』を選択した」(朝鮮日報31日付A4面)
「全教組教育委員長はだめだというソウル有権者の志」(朝鮮日報31日付社説)
「反全教組の勝利…MB教育政策に『翼』」(文化日報31日付6面)

コン当選者の選挙後の発言もまた、上の題名と同じ文脈だ。

「3〜4年後に小学校で、英語で科学や数学の授業ができるように準備する」(国民日報1日付7面再引用)
「今、高校競争に早く火をつける時だ。」(世界日報1日付9面再引用)
「好まない高校は学級削減や制裁を加える。」(ソウル新聞1日付1面再引用)

コン当選者が出した青写真は、『競争優先主義』、『学歴第一主義』、『エリー ト教育主義』と相対している。これはつまり李明博の教育政策と脈を通じる内 容だ。李大統領自らも31日、「ソウル市教育委員長選挙は新政府の教育政策に 対する国民的支持を確認するもの」と自認した。

エリート名門学校設立ブームと0時間目などは爆発性の問題

コン当選者の任期中、自律型私立高校と国際中学、寄宿型公立高、特殊目的高 校の拡大など、いわゆるエリート名門学校を作る動きを加速するものと見られ る。李明博政権の『高校多様化300』の公約の自立型私立高と寄宿型公立高の設 立は、今年中に国会が法を変えればすぐ来年から新設ブームが起きるだろう。

これにより、コン当選者はエリート教育を好む一部の階層の支持を背負う可能 性が高い。私教育学院と不動産資本だけでなく『学院事業』に飛び込んだ一部 の新聞の歓迎も受けられるものと見られる。

だがこうした名門校の設立が『エリート校設立の代わりに、学校内の優秀性プ ログラムを強調する世界的傾向』に逆らうもうひとつの貴族学校の登場という 批判も荒々しく起こるだろう。反対運動で銃を取る人々は、教育市民団体と一 部の教育学者たちだ。

一斉試験(学力評価、達成度評価)と英語没入教育(英語公教育強化)、0時間目・ 優劣クラス拡大(学校自由化)ドライブもまた強まるだろう。だがこれらの問題 は、中高生の生活と直接ぶつかることなので、状況によっては『第2のキャンド ルデモ』にも広がりかねない爆発性を帯びている。

コン当選者が言い放った学校選択制拡大と学校別成績公開などは高校平準化 『補完策か』、『廃止策か』をめぐり教育界の保革勢力の間での激突が起きる ものと見られる。

上のような問題は、李明博政権を『第2の危機』に追い込む原因になりかねない。 今年のはじめに『英語没入教育』と『自律私立高拡大』等に意欲を示したコン 教育委員長をめぐり、教科部までが「あまり先走っている」という不機嫌な声 をあげた理由が、まさにこれだ。

コン当選者が公約した教員評価制の推進もまた教員団体の反発を和らげなけれ ばならないという困難がある。彼を反対した全教組はもちろん、彼を支持した 韓国教総も反対の態度を示していたからだ。

現政権が用意する教員評価制の方案は、市道教育委員長が評価の方式と内容を 選択する形だという。コン当選者は父兄の『非適格教師退出』要求を教員評価 制と連結し、自身の位置づけを広げる方向で強行策を展開する可能性が高い。

闘牛に追いやられる子供たち、永遠の傷になることも…

「コン教育委員長は上の兄と同じように徳が多い方だ。人事問題だけはどこの 教育委員長よりも清潔な方だ。」

コン当選者を近くで見ていた核心側近(ソウル市教育庁中堅官吏)の話だ。だが 彼は小中高学生の『上の兄』になるのは難しそうだ。

コン当選者の修士学位指導教授で、前ソウル市教育委員長だったリュ・インジョ ン建国大大学院教授(前高麗大教育大学院長)は最近次のように話した。

「子供たちを運動場に追い出して闘牛をさせ、大人たちが楽しむ『児童虐待教 育』にソウル市教育庁が率先してきた。だがこの時代に、遅れた知識中心の学 力伸長没入教育は、必ず元の位置に戻るだろう。」

コン当選者の任期は1年10か月だ。彼はこの期間に韓国教育に『笑い』を与える のか、『泣き』を与えるのだろうか?

ユ教授の指摘のとおり、ソウルの教育はコン当選者任期が終わる670日後、新し い活路を見出すことになる。だが二時間の『闘牛』に追いやられた子供たちの 苦痛はぬぐえない傷として永遠に残されるかも知れない。

[取材手帳]私教育を捕まえる猫が公教育強化?

「私教育費を減らすには、公教育の活性化、学校教育の正常化だけが答だ。江 南の放課後学校のようなものが代表的な模範事例だ。」(韓国経済1日付A10面再引用)

7月31日、こうして当選一声をあげたソウル市コン・ジョンテク教育委員長当選 者の言葉が正しいのなら、解放以後60年間、韓国の公教育はむしろ退歩してき たという事実を証明しなければならない。この期間中に私教育費は幾何級数的 に増えてきたためだ。

しかも『江南放課後学校が私教育費削減の模範』とは。これもまた最近4年間に 江南地域が江北地域より私教育費が低いという事実を証明しなければならない。 だが現実は正反対だ。

誰もが知るように、コン教育委員長の私教育削減の秘法は『公教育強化』だ。 公教育が強化されれば学校教育に失望し、学院に向かった学生たちの方向を元 に戻せるという発想だ。したがって水準が高い公教育のためには、自立型私立 高、特殊目的高校、国際中などのさまざまな学校が必要だという。

この言葉が正しければ、私教育『モールパン』投資で『育まれた』エリートに 水準が高いエリート教育をしてきた既存の自立型私立高と外国語高校の在学生 の私教育参加率が高くてはならない。果たしてそうか。これもまた正反対だ。

2006年の国政監査資料を見れば、ソウル地域の6つの外国語高校1年生の私教育 参加率は86.4%だった。これは、ソウルの高校生の私教育率72%(2003年韓国教育 開発院)より非常に高い。自立高の学生の学院課外の割合が高いのもすでに教科 部の資料で確認されている。

このように学校を多様化し、公教育を強化し、それにより私教育を捉えるとい うコン教育委員長の公約は、口先だけの言葉になる可能性が高い。

なぜか? 私教育費の原因そのものが、つまりエリート名門中高であり、名門大 学だという事実を努めて無視していたためだ。しかも、学閥主義が世界でも例 を見ないほど幅をきかす韓国の事情を見過ごしているという点も、その理由の 一つだ。

「エリート学校でエリート階層が再生産される構造を断ち切らない限り、天井 知らずに沸き上がる私教育費を抑えることは不可能だ」という教育学者の言葉 にコン当選者も一回ぐらいは耳を貸すべき時だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-08-02 08:02:09 / Last modified on 2008-08-02 08:02:10 Copyright: Default

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