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韓国:『三不政策』を越えて『入試撤廃』に
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『三不政策』を越えて『入試撤廃』に

[進歩論評]新自由主義が引き起こした教育不平等に対抗せよ

カン・ネヒ(進歩戦略会議)/ 2007年04月06日11時30分

進歩戦略会議(準)は韓国社会主要戦略アジェンダに対する進歩的政策生産を目 標で集まった研究者、活動家の戦略ネットワークだ。社会運動の統合的活動が 可能なように運動と運動を繋ぎ、地域、部門、現場で運動企画を刺激、促進す る役割を標榜している。進歩戦略会議(準)会員が主な事案について発表する 「進歩論評」を民衆言論チャムセサンに掲載する。- [編集者 注]

大学本試験、高校等級化、寄与入学を禁止する『三不政策』への保守陣営の攻 勢がばかにできない。ソウル大のチャン・ホワン長期発展委員長が「三不政策 が大学発展と大学の競争力確保に暗礁」だと言い、私立大総長協議会長である 西江大のソン・ビョンド総長がすばやくその言葉を受けて『三不政策』の廃止 を要求したのが去る3月21日と22日だ。その後は保守勢力の跋扈このものだっ た。チャン・ホワン教授、ソン・ビョンド総長の言葉を高麗大でも繰り返すよ うに、李明博、朴槿恵、チョン・ウンチャンなど、大統領選挙候補と嘱望され る保守的政治家たちが三不政策を貶める発言をして、ハンナラ党は論評で、三 不は『不信』、『不便』、『不満』の政策だと皮肉り、保守言論もあれこれ言 いながら三不政策をなくせと追い詰めた。3月30日、イ・チァンム総長がソウ ル大総長としては初めて「海外有数大学の中で内申中心に選抜する所はない、 この時代に合う特別な人材を殺す制度」と三不政策を批判、同日ソウル大のキ ム・ヨンジョン入学管理本部長が大学の自律性のためには三不政策のような規 制はなくすのが正しいという立場を発表したのもこういう保守的な雰囲気に力 を得たためだ。

もちろん別の流れもあった。三不政策の廃止要求が出てくるとすぐ、22日に盧 武鉉大統領は「三不政策を廃棄して画一的な入試教育にすべての学生を追い遣 ると、公教育を崩壊させ、塾などの費用負担と過度な学業負担に追いやること にならないか」と廃止を要求する大学を批判した。教育部も三不政策維持とい う従来の立場を確認した。さらに3月27日には全教組、全国教授労組、民教協、 民主労総、共にする教育市民の会、正しい教育父兄会、文化連帯など教育運動 および社会運動団体が記者会見を行い、三不政策はようやく命脈を維持してい る韓国公教育のしんばり棒だと言って廃止を主張する保守勢力に強く反発する 姿勢を示した。

『三不政策』とは、大学本試験、高校等級制、寄与入学制という3種類の制度 を受け入れ『不可』と規定する政策だ。三不政策は、27日に記者会見を行った 団体が主張するように、消えつつある韓国公教育のしんばり棒であり、「教育 機会公平性保障のマジノ線」だ。『大学本試験』がよみがえればどんなことが 起きるだろうか? 唯一大学本試験に執着するソウル大は自然大系列と工大系列 の学生の学力低下を理由に本試験の復元を要求している。しかしソウル大を始 めとする名門大学が入学試験を直接主管すると、中高等学校はこれらの大学の 入試傾向にしばられた教育をするほかはない。学生たちは『高麗大クラス』、 『ソウル大クラス』、『延世大クラス』、『梨花女子大クラス』等に、または 成績で優劣クラスに分けられて、小さい頃から『一流』と『三流』の区分、さ らに社会的不平等を当然視する教育を受けるようになる。

高校等級制が導入されればまたどうなるだろうか? 高等学校の差別化により先 輩たちの進学成績が良い学校は、後輩が恩恵を受けられるようにしようという のがその制度の目的だ。現実として高校間で実力差があるからそれを認めよう ということだ。しかし、こうなると進学成績が良くない学校に通う学生は先輩 を間違えた罪で不利益を受けることになる。27日の記者会見文が明らかにした ように、高校の等級制は『新興連座制』として克服の対象であり、高校間の序 列をむしろ固定させようとする不純な意図を持っている。

高校等級制と本試験制度が結びつくと、恐ろしい結果が予想される。大学での 本試験は、基本的に小中等教育の序列を作り出すことで、中等学校本試験、そ して小学校の本試験まで招くだろう。これは単純な予想ではなく過去の歴史が 証明するところでもある。大学、高等学校、中学校、小学校が個別的に本試験 を直接主管した時期があった。ソウル大、京畿高、京畿中、トクス初等につな がる韓国教育の『仙骨』制度が作動した時、その時には恐ろしいことに5、6才 にしかならない子供たちにも入試課外が強要された。高校等級制と本試験が結 びつけば、そんな恐ろしいことがまた起きないと誰が保障するだろうか? それ でなくともすでに幼稚園過程の児童も私教育市場に追いやられている。

『寄与入学制』とは、これに加えて『持てる者』にさらに他の特典を与えよう とする。本試験と高校等級制が実施されれば私教育の盛行は火を見るより明ら かだ。だが寄与入学制は、こうした私教育の風潮を越えて、努力や能力ではな く経済力による教育の私有化を許す。貧しい人々が急増している新自由主義時 代に高額の私教育を受けられるのは、それ自体が特典だ。ところが寄与入学制 はさらに一段高めて、金持ちの子弟に学歴を買う機会まで提供する。『持てる 者』に教育の私的所有を許すのだ。『名門大学』が活用する公算が高いこの制 度が導入されると『一流大学』の卒業証書も金さえあれば買えるようになる。 財産だけでなく学歴まで世襲される世の中になるのだ。

社会の不平等をさらに助長する大学本試験、高校等級制、寄与入学制を受け入 れることを要求する勢力は、もちろん保守勢力だ。韓国大学の頂点に立つソウ ル大と一部の名門私立大学、これらを支持する大統領選挙走者、そして『朝鮮、 中央、東亜日報』だ。しかし『三不政策』をめぐって形成された『戦線』に対 する誤解があってはいけない。『三不政策』を擁護したが、盧武鉉政府はその 政策の真の擁護者ではない。1995年に金泳三政府が樹立した『5・31教育改革 案』では新自由主義精神、換言すれば「勝者に全てのものをやる」という教育 に対する徹底した市場主義観点を忠実に遂行してきたのが盧武鉉政府だ。本試 験と高校等級制と寄与入学制は、基本的に大学間、高校間の競争をあおる。三 不政策は、この三つの制度を『不可』と規定し、教育機会の公平性を守ろうと することで、盧武鉉政府はこれまで教育の平等を踏みにじる政策を一貫して繰 り広げてきた。一部の大学が特別目的高校などに加算点を付与してきた慣行を 見てソウル大が本試験受け入れの立場を明らかにしても、何の制裁も加えない ことで、三不政策の実質的無力化を許してきたのも盧武鉉政府の教育部だ。盧 武鉉政権は今、公教育瓦解の責任を回避しようと三不政策を肩を持っているが、 その政策の廃止を主張する保守勢力の跋扈を引き起こした責任は免じられない。

最近の議論を見ると保守勢力の勢いが強く、一部の個人が三不政策廃止要求を 欺瞞と腕力で押し通そうという形勢だ。3月21日のソウル大のチャン・ホワン 発展委員長の発言も一方的だった。ソウル新聞の報道によれば、当初の発表と は違って彼の発表は委員会構成員の中で十分な議論や同意手続きも経ていなかっ たという。「三不政策は大学の成長と競争力確保に暗礁のような存在だという 点に、委員71人すべてが同意した」と明らかにされたのとは違い、そのような 同意手続きはなかったという。韓国私立大学総長協議会会長団の『三不政策』 廃止もまた、一部の上位圏大学の主張を一部の保守マスコミ各社が膨らませて 出てきたもので、ほとんどの大学の意思とは無関係だという指摘がある。「海 外有数大学のうち内申中心に選抜する所がない」だというソウル大のイ・チァ ンム総長の発言も事実ではない。これらの点は、これまで黙っていた保守勢力 が盧武鉉政府が実施してきた新自由主義教育政策の『成果』に力づけられ、 露骨に公教育の骨格を維持してきた大学入試政策の枠組みを破ろうとし、 この流れを一部の保守的な人々が主導していることを見せる。

どうすればいいのか? 三不政策は当然守らなければならない。本試験、高校等 級制、寄与入学制は韓国の教育を私的所有に転換させ、教育による社会的不平 等を深化させるのは明らかだ。問題はいかに三不政策を守るかということだ。 今の情勢でそれを守るのは容易ではないだろう。教育運動陣営が望むと望まざ ると、三不政策廃止は社会的な争点になった。李明博、朴槿恵、チョン・ウン チャンなどの保守的大統領選挙走者が廃止を主張したのを見れば、2007年の大 統領選挙でも三不政策は主要な選挙争点になる公算が高い。この過程で三不政 策をいかに守るか?

教育運動陣営は新しい戦略を駆使してこれまでの守勢的運動から抜け出さなけ ればならないだろう。守勢的な運動というのは、保守勢力が攻勢的に作り出し た争点に対して反応だけする運動を示す。これまで韓国の教育運動は、1989年 に全教組が『正しい教育』のスローガンで代案的教育を提示して以来、韓国教 育の方向を進歩的に変える代案を説得力もって提示したことはほとんどない。 三不政策だけをみても、保守勢力の攻撃が始まった後、始めて対応をしただけ だ。それでもなぜ何の代案もなかったのだろうか。国家と資本の攻撃を受けた 後にそれに対応してあたふたと代案を模索するのが教育運動の姿勢だったのも 事実だ。こうした運動から抜け出さなければならない。

まず私たちの相手が誰なのかを把握する必要がある。すでに話した通り、教育 の不平等を助長するのは保守勢力だけではない。韓国社会の不平等を助長する 主な源泉は新自由主義勢力であり、この勢力はハンナラ党だけでなく、改革を 標榜する盧武鉉政権とこれを支持する自由主義勢力を含む。彼らは互いに競争 し、誹謗するかもしれない。だが新自由主義という一つの戦線ではかたまって いる。教育運動はこの戦線を押し倒す戦略が必要で、これは三不政策に関して も同じだ。

三不政策を救おうとすれば、三不政策を越える必要がある。事実、三不政策は 一部の大学と教育部の入試政策で部分的にはすでに解体されている。したがっ て、三不政策の精神という『教育機会の公平性』、ひいては教育の平等と社会 化を達成するには、三不政策『守護』を越えるスローガンが必要だ。『入試撤 廃』がそれだ。韓国の小中等教育は今、入試の奴隷になっており、大学は入試 を輪に序列化が形成されている。大学の序列化と入試の奴隷になった小中等教 育を正すには、入試を撤廃し、一方では小中等教育を入試地獄から解放し、 他方では一部の名門大学だけが君臨する大学の構図を変えなければならない。 こうした変化をもたらそうとすれば、今、三不政策を越える代案が要求される。 その代案の一つが『入試撤廃』だ。

[進歩戦略会議(準) 07.04.06]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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