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ゴミ回収運搬は、社会に必ず必要な公共サービス

[連続寄稿]忠北の間接雇用非正規労働者が語る「労働尊重」時代(2)ゴミ回収運搬労働者(公共運輸労組忠北平等支部プルン環境支会)

インタビュー整理|ソン・ジヨン(公共運輸労組忠北地域平等支部) 2018.10.23 13:14

[企画者の言葉]非正規職ない忠北作り運動本部(以下忠北非正規運動本部)は 『非正規職撤廃』を叫んで散ったイ・ヨンソク烈士の遺志を受け継ぎ 毎年10月に非正規職撤廃闘争週間を宣言して非正規職問題を知らせています。

今年の非正規職撤廃闘争週間に忠北非正規運動本部が注目しているのは間接雇用問題です。 雇用形態が作り出す差別は深刻です。 同じ仕事をしても差別は当然と見なされます。 常時的な業務を遂行しても、ぜひ必要な仕事なのに価値が低い仕事と扱われます。 使用者が不法を行っても、処罰は羽毛のように軽い場合がほとんどです。 その上、同じ労働者の間でも、間接雇用労働者の仕事は低賃金・非正規職が当然であるかのように認識されているのが現実です。 これを変えるための非正規労働者たちの闘争が続いていますが、 なかなか変わりません。

キャンドル抗争で誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政府は 「労働尊重、非正規職ゼロ時代」を宣言し、 不平等を解消して正しい社会を作ると約束しました。 民主労総をはじめとする各産別労働組合も低賃金・非正規労働者の労組する権利と差別解消を要求しています。 しかしまさに推進過程を見ると、間接雇用労働者の正規職転換をめぐる議論が多いのです。 正規職転換をすると言いつつ間接雇用が維持される子会社が議論され、 差別をなくすと言いつつ間接雇用労働者の業務のほとんどを低賃金に縛りつけようとしています。 間接雇用・非正規労働者にこうした現実はどう現れているのでしょうか? 忠北非正規運動本部は病院、民願コール センター、ゴミ回収運搬、CCTV管制センターと駐停車状況室など 公共部門の間接雇用労働者と自動車下請労働者に会い、 彼らの声を伝えようと思います。 彼・彼女たちが語る「労働尊重と非正規職ゼロ時代」はどんなものでしょうか?

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[出処:チャムセサン資料写真]

私たちの日常に欠かせない存在だが、目によく見えずに知らなかった人々。 まさにゴミ回収・運搬労働者たちだ。 彼らがいなければ路上にはゴミがあふれ、われわれはゴミをどう処理すればいいのかとあわてるほかはないだろう。 しかし彼らはまるで幽霊のように、良く見えない。 主に深夜の時間帯に働くので、直接出会うことがないからだ。 彼らの人生はどうか? 彼らの労働はどうか? そして彼らにとって労働尊重社会とはどんな意味だろうか? プルン環境分会のピョン・ジェミン分会長にそんな疑問を解消する質問を投げてみた。

冬には防寒服一着、夏にはミネラルウォーター1本が全て

プルン環境所属の労働者たちは、清州市で発生する食物類廃棄物を収集・運ぶ仕事をしている。 清州市には8つの業者がこのような仕事をしていて、100%民間委託業者だ。 働く時間は夜10時から午前5時程まで。 季節と時期によって少しずつ違うが、平均的な業務時間だ。 キムチを漬ける季節や名節のようにゴミがたくさん出る日や、 一日休んで出てくる月曜はさらに長くなる。

労働者が一番大変な時は夏と冬。 1年の半分が苦役だ。 夏は汗で何度入浴するかわからない。 車両のエアコンが効かずに苦労することもある。 会社が出した対策は、ミネラルウォーター1本。 特に今年は猛暑でとても大変だった。 冬は寒さも問題だが、雪が降ればどうしようもない。 最近のように大雪が降れば、労働強度は二倍は高まるようだ。 会社が与えるのは防寒服が全て。 働いて、やりがいを感じる時は、うーん…。 あまり思いつかない。 市民が時々ご苦労さんと話しかけてくれる時、程度だ。

労働環境改善のためには何が必要か? 労働者たちはゴミを回収する方式を変えなければならないと話す。 現在、共用住宅(アパートなど)では食物を1か所に集めて清掃車両が一度に回収する方式だが、 一戸建ての住宅はいちいち家の前に行って、訪問回収をする。 この場合、非効率的で働く時間も長くなるほかはない。 訪問回収ではなく集中回収方式に変われば、効率性も上がり、労働時間も減る。 だが地方自治体は単にゴミの回収量だけで労働強度や労働時間を考えるので、 現場との乖離が大きい。

安全装備の問題も大きい。 業者は安全靴と汚染を防止する手袋を支給するが、 一部の業者は費用を節約するために手袋の支給を減らす。 こうした現実を市がきちんと管理・監督しないので 福利厚生費などを着服する業者ができる。

ゴミ回収労働者はみんな慢性疲労に苦しむ。 環境部から仕事を昼の作業に変えろという指針が出た。 だが現場では実行されていない。 「いつも夜間作業ですから。 昼より視野が狭くなり、何かが突然飛び出してくれば危険ですし、 夜間作業自体が生体リズムをめちゃくちゃにします。 昼に寝て夜に働くということは、事実、体を壊します。 夜間労働が寿命も短くすると言います。 しかしわれわれは毎日夜間労働をしているのです。」

夜間作業だけでなく、車両の後に回収員が乗る不法な踏み台も問題になっている。 清州市では、まだ大きな事故が起きていないが、 他の地域では死亡事故もあった。 「ひとつの取っ手では車が凹凸を通ると落ちそうだ」。 それで労働者たちの心配と恐れは大きい。 だが根本的な対策はとにかく踏み台を使えないようにすることではない。 車両の高さがとても高く、乗り降りし続けるので回収員の体には強い無理がかかる。 「ゴミ回収車の構造は、働く労働者を考えて作らなければなりません」。 労働者たちが怪我をせずに働ける方法があるのに変化はいつも難しく遅い。

100%民間委託、入札のたびにやって来る雇用不安

清州市の生ゴミ回収運搬は100%が民間委託だ。 労働者たちが感じる最大の問題は雇用不安だ。 「いつも入札のたびに、業者がなくなって他の職場を探さなければならないとしたらどうしよう、 あるいはあまり人を使わない地域(オソンなどの郊外周辺地域)に行って私や同僚が解雇されればどうしよう」と思う。 差別されると感じる時は、直接雇用された生活廃棄物労働者の話を聞く時だ。 「伝え聞くには、みんな名節には休むことができ、与えられる作業服も違いました」。 生ごみ回収運搬労働者は名節当日(夜間に働くから前日)にしか休めない。 またすべての業者が間接雇用なので月給や労働条件すべてに差があるという。 「各用役業者が市の原価にどのように入札して落札できたのかによって月給が変わります。 また各会社ごとに勤労契約を結ぶので、労働条件が変わらざるをえません。 市はその部分をしっかり管理・監督しているとは思えません」。

同一の労働を遂行しても業者によって労働条件と給与が違うということ。 これを管理監督すべき市は責任を放棄している。 契約条件には業者が勤労基準法を遵守するという条項があるが、 市は勤労基準法を守っているのかを確認する意志がないのだ。

同一の仕事をすれば同一の待遇を受けるのが労働尊重社会!

政府が推進している正規職転換政策について聞いた。 「すぐになると思ったのに、今考えるとさまざまな困難があるようです」と言う。 希望もあるが、憂慮もある。 ゴミの回収・運搬業務に投入されるかなり多くの労働者が高齢だ。 そのため正規職転換後に解雇されるのではないかと思い、むしろ雇用不安を抱えている。 またこの過程で会社の圧迫などを受けないかと恐れる場合もたびたびあるという。

では正規職転換に反対しているのだろうか? 分会長は「ぜひ正規職転換しなければならない」と強調した。 同一の労働をしても同一の労働条件や賃金を保障されない現実がおかしいのであって、 雇用不安問題を解決しなければならないからだ。 「回収・運搬業務は公共サービス領域です。 公共機関や地方自治体が直接管理することで清州市民の周辺生活環境が良くなります。 これは単に効率性の定規で評価してはいけません。 社会の構成員すべてにゴミ回収運搬は公共サービスだという認識がぜひ必要です。 労働者たちの雇用安定も重要です」。 その通り。 ゴミ回収運搬は公共サービスの領域だ。 この社会がきちんと回っていくために、なくてはならない労働がゴミを回収し処理することだ。 正規職転換は単に労働者の雇用安定と処遇改善だけでなく、「労働に対する認識」を変える問題でもある。

文在寅(ムン・ジェイン)政府になって現場の雰囲気が変わったかと聞くと、 まだ労働尊重という政策とスローガンが現場までは入っていないという。 分会長に「あなたが考える労働尊重社会」について尋ねた。 「雇用形態による差別がなくなることです。 すぐ実現するのが難しいのなら、同一の労働をする人が同一の待遇を受ける社会が労働尊重社会ではないでしょうか」。 彼の言葉のように、労働が尊重される社会がはやく到来することを希望する。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-11-04 18:05:52 / Last modified on 2018-11-05 14:53:38 Copyright: Default

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