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私たちも公共医療実現のために働く病院労働者だ!

[連続寄稿]忠北の間接雇用非正規労働者が語る「労働尊重」時代(1)公共病院の用役労働者たち(医療連帯忠北支部ミンドゥルレ分会)

インタビュー整理|キム・スンジャ(民主労総忠北本部非正規局長) 2018.10.22 15:13

[企画者の言葉]非正規職ない忠北作り運動本部(以下忠北非正規運動本部)は 『非正規職撤廃』を叫んで散ったイ・ヨンソク烈士の遺志を受け継ぎ 毎年10月に非正規職撤廃闘争週間を宣言して非正規職問題を知らせています。

今年の非正規職撤廃闘争週間に忠北非正規運動本部が注目しているのは間接雇用問題です。 雇用形態が作り出す差別は深刻です。 同じ仕事をしても差別は当然と見なされます。 常時的な業務を遂行しても、ぜひ必要な仕事なのに価値が低い仕事と扱われます。 使用者が不法を行っても、処罰は羽毛のように軽い場合がほとんどです。 その上、同じ労働者の間でも、間接雇用労働者の仕事は低賃金・非正規職が当然であるかのように認識されているのが現実です。 これを変えるための非正規労働者たちの闘争が続いていますが、 なかなか変わりません。

キャンドル抗争で誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政府は 「労働尊重、非正規職ゼロ時代」を宣言し、 不平等を解消して正しい社会を作ると約束しました。 民主労総をはじめとする各産別労働組合も低賃金・非正規労働者の労組する権利と差別解消を要求しています。 しかしまさに推進過程を見ると、間接雇用労働者の正規職転換をめぐる議論が多いのです。 正規職転換をすると言いつつ間接雇用が維持される子会社が議論され、 差別をなくすと言いつつ間接雇用労働者の業務のほとんどを低賃金に縛りつけようとしています。 間接雇用・非正規労働者にこうした現実はどう現れているのでしょうか? 忠北非正規運動本部は病院、民願コール センター、ゴミ回収運搬、CCTV管制センターと駐停車状況室など 公共部門の間接雇用労働者と自動車下請労働者に会い、 彼らの声を伝えようと思います。 彼・彼女たちが語る「労働尊重と非正規職ゼロ時代」はどんなものでしょうか?

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▲医療連帯忠北支部ミンドゥルレ分会の組合員[出処:忠北非正規運動本部]

清潔なトイレと長い廊下を見て喜ぶ労働者たち

われわれは清掃を終えたトイレを見るととても気持ちが良い。 長い病院の廊下を清掃して、ふっと振り返ったときにピカピカしていると本当にうれしい。 初めてこの仕事を始めた時、われわれは忠北で一番良い大学病院で働いているという自負心も生まれた。 2000年より前には全員正規職で働いていたというが、 今は63人が用役業者所属で働いている。 労働組合に加入した後には雇用不安と元請使用者の不当な業務指示改善などの 不利益は減っている。

誰が早く出勤しろといったのか?

われわれは普通、午前7時に出勤して午後4時に退勤する。 先日、出勤時間の問題で若干の騒動があった。 私たちは会社が決めた時間より1時間早く出勤する。 あらかじめ清掃をしておけば、外来病棟に来る人にも良くて、 看護師も支障なく業務を始められるからだ。 それで仕事を早く終わらせて休息を取る。 もちろん、退勤時間は他の勤務者と同じだ。 しかし病院が休み時間を問題にした。 あきれた。 病院の円滑な運営のために、進んで1時間ずつ早く出勤したのに 休み時間に文句をつけるとは… 労働組合は勤務時間遵守闘争を行った。 いくらもたたず、病院は大騷ぎになった。 病院は業務に支障があるので30分早く出勤してくれと要請してきた。

「なぜ勤務時間に休むのか? 誰が早く出て来いと言ったか?」

空しかった。 早く出てきてもやさしい言葉は聞けず、むしろ文句を言われるので苦しかった。

正規職職員が出勤する前に清掃をすることで、もっと清潔にすることができるが、 人とぶつかると清掃が遅れる。 それだけ外来業務に支障が生じる。 他人が知らないところで朝の労働を厭わず、 病院の便宜を配慮したことが傷になってしまった。

[出処:忠北非正規運動本部]

間接雇用で18年、正規職転換は「雇用安定と差別解消」

2000年、忠北大学校病院労働組合は150日のストライキ闘争で 非正規職の正規職化などを勝ち取る。 これによって全国の国立大病院のうち、非正規職規模が一番少ない模範的な公共医療機関を維持している。 しかし清掃と施設は用役のまま残り、 そうして間接雇用労働者として18年を過ごした。 毎年、用役業者が変更され、雇用不安と低賃金の現実はなかなか良くならなかった。 それで労働組合に加入して、労働組合を通して毎年、少しずつ雇用安定と労働条件を改善していった。

2017年5月、文在寅政府の公共部門非正規職正規職転換政策発表に、われわれすべてが興奮した。 同じ病院のご飯を食べていても用役労働者は異邦人であるかのように取り扱われていたが 「もう私たちも本当の病院の家族になるんだ」と思った。 しかし国立大病院の正規職転換の議論は遅々として進まない。 国立病院はソウル大病院の転換の結果により、子会社転換にするか雇用継承にするかを決めるという。 政府は子会社転換も「正規職」だと恩着せがましくするかもしれないが、 労働者にとっては用役と変わらない。 今まで私たちを疲れさせたのは、間接雇用という雇用形態のためだった。 名ばかり社長といくら交渉してみても、結局病院が決定しなければならない構造、 元請の責任を問おうとしても、いつも法の網からすり抜けていく構造、 それが間接雇用だ。 職務給制度転換も同じだ。 正規職転換は差別をなくすということだが、 別途の職群を作り職務給制度を導入することは、差別を維持することだ。 こうなると正規職転換推進は何の意味もない。 さらに定年問題まである。 清掃労働者の場合、現在の定年は66歳だが、 病院の院務科に編成されるとむしろ定年が早まるのではないかという憂慮と混乱が起きている。 安定した雇用と差別解消を夢見たわれわれは、不安だけが高まっている。

特別なことはない。労働尊重! 生活賃金保障、差別解消が開始だ

今年、最低賃金が大幅に上がったと言って国会も企業も大騒ぎしている。 欺瞞的な算入範囲の拡大により、最低賃金の引き上げはむしろ削減になっている。 われわれは現在、市中労賃単価を適用されている。 今年の最低賃金引き上げの割合と同じ程度に市中労賃単価が上がったわけではない。 引上げ幅は、最低賃金の引き上げ幅よりはるかに低い。 そのため最低賃金の引き上げが膚で感じられない。 物価が上がったことは明確に感じられるが。 小細工ない最低賃金1万ウォンの公約をまず実現することが労働尊重の開始だと考える。

われわれは「全く同じだ」という認識を作らなければならないと考える。 間接雇用労働者も直接雇用労働者も、みんな病院労働者で、同じ体系の中にある労働者と見なければならない。 直接雇用労働者は高い競争率を突破して入社したという自負心がある。 それを非難はできない。 ただその自負心が、非正規職や弱者を非難し、抑圧する矢になってはいけない。

「栄養、衛生、美化、みんな全く同じだ。元気を出せ」。 正規職労組支部長の言葉だ。 「正規職も非正規職もみんな同じ労働者だ。堂々と行動しろ」という意味であろう。

「働いて少しの階段に座ってコーヒー一杯する。 病院が広く、労組の事務室まで行くのは遠いし、 休憩の空間は特にないので階段を椅子にする。 不便ではあるが、ホコリと汗のために看護師室に入るのは自分から敬遠する。 それでも看護師長さんの中には必ず看護師室に呼んで、 看護師と共にお茶を飲み、食事も出してくれる人たちがいる。 汗とホコリでちょっと心苦しいけれど、ありがたい。」

労働尊重、労働組合が先頭に立つ

労働組合がない時は病院の干渉が強かった。 不合理な業務指示も多かった。 しかし労働組合に加入してから、病院が直接干渉をしたり、不当な業務指示はできない。 労働組合があるから変わったのだ。 組合員たちも大いに変わった。 労働組合が不利益から保護していると思う。

労働尊重時代。 われわれは当然の権利を取り戻すだけだと話したい。 正規職と同じように、家族手当、賞与金、福利厚生などを適用されるのは、私たちの権利だ。 そして今まで一番うらやましかったこと、 病院労働者の医療費減免の恩恵だ。 同じ病院の労働者でありながらも認められなかったものが、認められる。 それがわれわれは労働尊重だと考える。 差別が消えた所に「尊重」の木が育つかもしれない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-11-04 18:05:52 / Last modified on 2018-11-05 14:51:53 Copyright: Default

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