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感情労働、労働と認定して労働者を生かす

[監視統制、崖っぷちの感情労働者](11)感情労働者の現実、感情労働者の権利

イ・ジョンウン 蔚山ジャーナル記者 2013.11.22 16:09

人の感情まで商品になる時代だ。われわれは飛行機に乗る時に、きれいな女性 乗務員の明るい微笑と親切なサービスを期待する。コールセンターに電話すれ ば相談員がやさしい声で親切に説明することを希望する。だがコールセンター の相談員の相談が期待に外れれば悪口を言い、すぐ上の人に変われと大声を出す。 その上、乗務員のサービスが気に入らないと言って、読んでいた雑誌で乗務員 の顔を殴るということもあった。

しかし労働者たちは、どんな状況でも、たとえ顧客が間違ったとしても顧客に 怒ることができない。頬を殴られても、悪態を聞いても、明るい微笑とやさし い声で「申し訳ありません」と言わなければならない。このように自分の本当 の感情を隠したままで、職業上の表情と身振りをすること、これが「感情労働」 だ。感情労働を続けると、顔は笑っていても心は憂鬱な感情的不調和になり、 ストレスを受ける。このストレスをうまく解消できなければ、鬱病などの各種 の精神疾患にかかったり、自殺をすることもある。

民主党の韓明淑(ハン・ミョンスク)議員は10月14日、「デパート職員、コール センター相談員、乗務員などの感情労働者2259人を対象として心理状態を調べ た結果、何と30%が自殺の衝動を経験したことが明らかになった」と発表した。 これは全国民の平均16%より2倍近く高い数値だ。28%は軽度の鬱病を、38%は重症 または高度の鬱病を訴えた。

労働者が工場で冷蔵庫を作りながら笑わなくても、冷蔵庫の販売量には影響は ない。しかし食堂の従業員が、美容師が親切でなければ、人々はその店にもう 行かない。サービス産業が発達し、この分野の従事者の割合が増え、感情労働 (者)もそれだけ増えている。

サムスン電子がもっと冷蔵庫を多く売ろうとすれば、研究所では品質を高める ための研究をする。工場では設備を現代化して労働者に夜も週末も仕事をさせ る。サービスセンターではA/S労働者に制服を売り付けて親切教育をする。製造 業でも、サービス業でも、資本が労働者を搾取して、利益を上げるのは同じだ が、サービス業、特に顧客と直接対面する労働者たちは、企業の顔になって、 何の保護もなく顧客による企業に対する不満をすべて受け止めなければならない。

顧客は自分が王だと思って労働者を見下し、暴言と(性)暴力もはばからない。 労働者を保護すべき会社も、顧客が王だという呪文を繰り返して労働者ではな く顧客の味方をする。むしろ顧客を言い訳にして労働者を監視して評価する。

会社は顧客を装った監視団である「ミステリーショッパー」により販売労働者 を、CCTVで保育教師を、監聴や録音後聴取でコールセンター相談員を監視する。 そして監視の結果と顧客の苦情などで労働者を評価する。評価点数により賃金 が変わるのは普通で、罰として奉仕活動をさせたり、昇進の機会を奪ったり、 縁故がない所に発令したり懲戒をしたり、ひどい場合は解雇する。

しかし労働者たちはぐうの音もあげられない。世界的にサービス部門労働市場 は少数の高所得専門職と多数の非正規職低賃金労働者に両極化する傾向を見せ る。一部を除きほとんどのサービス労働は、特別な機能が要求されない非熟練 労働に置き換えられる。自然に、賃金は低く勤労条件は悪く、労働組合はない。 会社に嫌われればいつクビになるかわからない不安定非正規労働者は、会社に 対抗できない。

感情労働は、労働としての正当な権利を認められない。しかし中央大学社会学 科のキム・ギョンヒ教授は「一部の学者は感情労働も象徴、儀礼、感情の選択 と実践で、複雑性と難易度を必要とするので熟練労働だという立場を取ること もある」と話した。

会社は感情労働に「感性マーケティング」といった名前を付けて、売り上げを 増やすことにだけ関心があり、労働者の感情には関心がない。顧客は良い接待 を当然だと思う。労働者さえ、強要された親切、笑い、犠牲を「労働」と認識 できず、監視と評価と統制は当然甘受すべき勤務条件だと感じている。

ヨーロッパは未来の社会心理的な10の危険要因の一つとして感情労働を選んで いる。感情労働者について、感情を売る代わりに死を買っていると話す。感情 労働者の笑いの後に隠された涙、ストレス、鬱病、自殺衝動などが社会問題に なっているのだ。韓国でも7月1日に裁判所が初めて感情労働者の鬱病に対して 会社の責任を認め、賠償しろという判決をした。

しかし韓国では、感情労働を精神労働、肉体労働と同じ労働と認めて、正当な 権利を取り戻すための動きはまだヨチヨチ歩きも始まっていない水準だ。民主 党の韓明淑(ハン・ミョンスク)議員が5月24日に、感情労働者保護の内容を含む 産業安全保健法と男女雇用平等法改正案を立法発議したが、まだ環境労働委に 係留中だ。

10月31日に労働環境健康研究所が発表した「デパート販売分野の健康実態調査 最終報告書」によれば、デパート販売労働者は顧客ストレスを解決するための 企業次元の役割を問う質問に「過度な業務量を減らす(20.5%)」、「覆面方式の モニターをなくす(19.5%)」、「顧客からの暴力から逃げる権利(16.1%)」と 要求した。

感情労働問題を解決するために、政府はサービス労働、感情労働の性格と特徴 を把握して、勤労条件を改善する努力と、サービス労働の職務ストレスと感情 労働問題を解消する努力を併行しなければならない。

企業は周期的に職務ストレスを調査して、健康診断に精神健康項目を入れて、 感情労働とストレスなどによる健康問題を早期に診断しなければならない。 診断でストレスが高かった労働者は職務を再配置したり循環しなければならない。 ストレス解消プログラムと職員相談センターを運営して、精神科的治療を必要と する労働者に対しては、関連プログラムと連結しなければならない。

韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン研究委員は「現在、会社が行っている 親切教育を単に親切強化を目的とするのではなく、業務過程で発生する顧客と の関係、対立状況への対処、および解決を目的とする感情的不調和を解消しな ければならない」と明らかにした。何よりも適正人員の補充と合理的な交代制 設計などで労働時間を減らし、劣悪な労働環境を改善しなければならない。 (企画連載終わり)

この企画はニュースミン、ニュースセル、メディア忠清、蔚山ジャーナル、チャムセサン、チャムソリの共同企画です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-23 15:21:57 / Last modified on 2013-11-23 15:38:58 Copyright: Default

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