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「われわれはボランティアではなく社会福祉労働者です」

[監視統制、崖っぷちの感情労働者](5)過労死でなければ自殺、社会福祉士

ペク・イルジャ ニュースセル記者 2013.11.19 10:54

1月31日 イ○○龍仁市社会福祉担当公務員自殺
2月26日 カン○○城南市社会福祉担当公務員自殺
3月19日 アン○○蔚山市社会福祉担当公務員自殺
5月15日 キム○○論山市社会福祉担当公務員自殺
10月29日 パク○○楊平郡庁社会福祉担当公務員過労死...

福祉国家を叫ぶ韓国社会で2013年を生きる社会福祉士の姿だ。

4月に労働環境健康研究所が実施した「社会福祉公務員健康実態アンケート調査」 によれば、社会福祉専門担当公務員の37.9%が心理相談が必要な重度の鬱、 高度の鬱であることが明らかになった。回答者の27.5%は自殺の衝動を感じた ことがあると答えた。

社会福祉担当公務員のA氏(女、44歳)は12年間毎日、アルコール中毒者や鬱病、 精神疾患などを抱える人々と向き合う。請願人の怒りとかんしゃくはそのまま 社会福祉担当公務員個人の役割だ。社会福祉業務だけでなく、押し寄せる行政 業務まで、一日を過ごすとへとへとになってしまう。

「初めは助けるという気持ちでこの仕事を始めましたが、彼らのつらい話でも 厳しい声を聞いていると、つらい時が多いです。酔っ払った状態で刀を持って 訪ねてきた人もいたし、激しい鬱病に何時間も哀訴を聞いていると疲れます。 腹が立ったり、いらいらしたり、怖くなっても表情に出すことができませんか ら… 電話で抗議した請願人が「今から行くからその場にじっとしていろ」とい えば、一日中扉ばかり見つめるようになります。いつその請願人が入ってきて 怒鳴られるかわからず、おびえながら一日を送ります。10年間いろいろな人を 相手にしてきたので慣れたみたいですが、人々の悪態は時間が経っても嫌で、 適応できません… 周辺で10年以上社会福祉業務を担当する人たちは怒りの調節 がうまくできないようです。...公務員組織内でも行政職より数も少なく、私た ちの感情労働や業務ストレスについて話しても、他の公務員はよく理解できな いから... 疎外感のようなものも感じます」。

連続した社会福祉担当公務員の死の後、保健福祉部はいくつかの対策を出して、 過度な業務量を減らすために新規人員の採用を約束したが、安全行政部と合意 できなかったという理由で今日明日と延ばしている。保健福祉業務を遂行する 社会福祉担当公務員の所属は安全行政部だ。

政府の対策の後、現場で何が変わったかと聞くと、A氏は「変わった点は、よく わからない。しかし社会福祉担当公務員の死に、保健福祉部や政府の謝罪が一言 もない現実に腹がたつ」と答えた。13年間社会福祉担当業務をしているB氏(女、 49歳)も、政府の改善法案の中には膚に届くものがないと指摘した。

「業務が多く、詳しく調査するのも難しいです。社会福祉サービスには、社会 管理も入り、一対一の家の状態によりサービスを提供するのが一番良いのです が、現在の公的伝達体系ではほとんど不可能です。社会福祉担当者として、さ まざまな行政業務までせずに、本来の業務に忠実に、一人一人を把握して良質 のサービスを提供できる条件になれば、感情労働によるストレスもずいぶん減 るのではないでしょうか。実態調査を越え、良質の福祉サービスを提供できな いこと、それもとてもうんざりします。...人が増えれば業務が減るはずなのに、 むしろ他の職群がしていた業務まで社会福祉担当者が遂行するようになれば... 政府では改善法案を用意すると言って、実態調査もしますが、膚に届く対策 というものはありません」。

[出処:公共輸送労組社会福祉支部]

低賃金長時間労働、高い感情労働

国家人権委員会が11月15日に発表した「社会福祉士人権状況実態調査(2808人の 民間社会福祉施設、学校、公共機関社会福祉士と社会福祉公務員対象に実施)」 の結果によれば、社会福祉士は他の保健福祉分野労働者より低い賃金で長時間 労働に苦しんでいることが明らかになった。

社会福祉士賃金は月平均196万4千ウォンで、賃金労働者平均の80%水準であり、 週平均の労働時間は42.9時間だったが、出勤前や退勤後に約85分、追加で働い ていることを考慮すれば、約50時間程度だった。社会福祉公務員は週49.5時間 に追加勤務を考慮すると週60時間ほど働いていた。

人権委の調査によれば、社会福祉士は多様性を要求する感情労働の程度が非常 に高いことが明らかになった。否定的な感情を隠すと応答(1、2番の質問項目) した割合は82.4%と74.1%で、肯定的な感情を表現しなければならないという 応答(3、4番の質問項目)も88.8%と90.0%と、非常に高かった。

感情表現の内面行為は、労働者が進んで心から親切な感情を顧客に表現するた めに、一種の自分の催眠や内面的な努力がかなり必要であることを意味するが、 社会福祉士は82.4%と82.7%(7、8番の質問項目)と高かった。

感情労働の内面行為遂行程度は女性が男性より高く、正規職より非正規職の方 がさまざまな感情労働をさらに多く遂行していることが明らかになった。絶え ず自分の感情を実際の自分の感情とは無関係に調節しなければならない圧迫が 労働者のストレスを誘発するが、こうした感情調節が女性にはさらに多く要求 されていた。また、正規職よりも非正規職の方が多様な感情労働をさらに多く 遂行していることが明らかになり、雇用不安が感情労働と関連していることを 示している。

感情的な疲労に関する調査も、情緒的疲労46.4%、勤務時間の後の疲労感61.4%、 出勤時の疲労感64.5%と高かった。

「絶えず要求を聞き入れようとするのは大変です。しかし私はそれがそのまま 社会福祉士の仕事だと考えています。常に笑わなければならず、常に親切でな ければならない。とにかく苦情があれば処理しなければならず、『分かりました』 と言い、気分が憂鬱でも、胸の内とは違って常に笑って親切でなければならず、 例えば上司に腹が立ついってもそれを利用者に表わしてはならず、常に親切に 対しなければならないというのが社会福祉士の基本的な態度だと学んだというの でしょうか? そのためにそれが当然だという気もしますが、時々苦しくなります」。 (人権委面接調査、男、34歳)

大部分の社会福祉士はC氏のように、自分たちが遂行する感情労働を感情労働と 認識せず「社会福祉士の資質」だと考えた。

[出処:公共輸送労組社会福祉支部]

社会福祉士の労働権保障、労働強度の緩和が至急

感情労働はふつう、サービスを提供する過程で起きる。社会福祉士は、顧客と 対面して彼らにサービスを提供する過程で、物理的な支援だけでなく、人格的 尊重の姿勢を表現することを期待するが、その過程で社会福祉士の感情はその のまま顧客にあらわしてはいけないことになる。

「社会福祉士になる教育を受けた時から犠牲と奉仕が強調されます。民間社会 福祉機関が私有化され、非民主的な運営システムになると、施設長や上級者の 暴言、非人格的な待遇なども多くて... 社会福祉施設のようなところは利用者 から直接の暴力や暴言があっても、常に明るく親切に対しなければなりません。 一般企業では親切教育やスマイル教育のようなことをしますが、社会福祉士は そんな教育は必要ありません。すでに自ら親切と奉仕を内面化し、自己検閲の しくみとして強く作動しているためです」。

公共輸送労組のシン・ヒョンソク社会福祉支部組織局長は、こうした「福祉」 業務の特性上、社会福祉士は「権利を保証されるべき労働者ではなく、犠牲と 献身をする人」と認識されると説明した。業務ストレスや感情労働の遂行は、 ただ個人が耐えなければならない。「我慢して耐え」ることで、さらに立派な 社会福祉士と評価され、個人が克服できなければ無能力だと見られるためだ。

「社会福祉現場の特殊な条件は、労働者に『私はこんなことも我慢して耐えな ければならない』と内面化させてきた部分が多いです。事実、社会福祉現場で 人権侵害と感じるのは、保健医療側と比較すると数値は同じようなものですが、 外部化したり表に出てくる数値はとても低く出てきます。こうした結果は社会 福祉士労働者に強要されるイデオロギーという面が大きいです」。

強力な感情労働を内面化して遂行する社会福祉士たち。彼らの感情労働と疲労 解消のための対策に重要なものは何だろうか。シン・ヒョンソク組織局長は、 十分な休息、適正な労働時間、感情労働の認定など「労働者としての労働権の 保障」と話した。

「各地方自治体で感情労働と感情疲労解消のために教育やプログラム等による 対策を用意しているが、さらに根本的に社会福祉士の基本的な労働権や人権の 対策が用意されなければなりません。過重な労働には、実質的な人員基準を再 設計しなければならず、ほとんどが長時間労働の勤労基準法違反の居住施設の 場合も、予算の確保等により労働強度を下げなければなりません。自分たちの 問題をどう治療すべきかは、社会福祉士たちの方がよく知っているのに、強い 感情労働を行うほかはない構造を放置して、プログラムだけ用意するというの は根本対策ではありません。十分な休息と、感情疲労を再充電できる労働環境 が前提にならなければ、社会福祉士のための教育プログラムや支援プログラム も機能しません」。

過重な業務と社会的な無関心の中で疎外された人々を抱いていく社会福祉士の 死が続いている。この残念な死が社会的な関心と社会福祉士の労働条件改善に つなげなければならないという声に、今こそ政府と社会が耳を傾けるべき時間だ。

[出処:公共輸送労組社会福祉支部]

この企画はニュースミン、ニュースセル、メディア忠清、蔚山ジャーナル、チャムセサン、チャムソリ共同企画です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-19 20:51:15 / Last modified on 2013-11-19 20:55:26 Copyright: Default

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