ウィシュマさん事件 : 名古屋地検による13人の再びの不起訴に強く抗議する！

名古屋地検による、ウィシュマさん死亡当時の名古屋入管局長など１３人の再びの
不起訴に強く抗議する！「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件」国賠訴訟に支援と連帯
を！

「エルクラノの会」＆「入管の民族差別・人権侵害と闘う市民連合・東海」の小野です。

１．2023年9月29日、名古屋入管（出入国在留管理局・名古屋市）の施設に収容中だった
スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん（当時33歳）が2021
年3月6日に死亡した問題で、名古屋地検は、「不起訴不当」と議決した当時の局長ら13人
を、名古屋地検は、名古屋第一検察審査会の2022年12
月の議決を受けて今回再捜査したが、再び不起訴にした。名古屋地検は、「再捜査でもウ
ィシュマさんの具体的な死因や死亡に至る経緯を特定できず、構成要件である予見可能性
や結果回避可能性を認めることができなかった。入管側の対応とウィシュマさんの死亡と
の因果関係が認められなかったため業務上過失致死罪が成立しない」と判断したとしてい
る。名古屋地検は、告訴・告発後に不起訴とし、名古屋第1検察審査会が、2022年12
月、名古屋第一検察審査会は殺人罪などについては成立しないと判断した一方で、「業務
上過失致死罪が成立するかどうか再検討すべきで、不起訴は不当だ」と議決していた。今
回の不起訴で事実上の捜査終結となる。

２．2021年３月6日、名古屋出入国在留管理局の施設でウィシュマさんが収容中に体調不良を訴えて死亡し
た問題では、ウィシュマさんの遺族が入管の当時の局長などを殺人の疑いで告訴していた。
2022年6月17日、名古屋地検は、殺人容疑などで告訴・告発された13
人を不起訴とした。ウィシュマさんの遺族は処分を不服として、名古屋第一検察審査会審
査に起訴を申し立て、名古屋第一検察審査会は、2022年12
月、名古屋入管施設でウィシュマさんの死亡前数日の様子から業務上過失致死罪の成否を
再検討するのが相当と指摘していた。

３．遺族の代理人を務める指宿昭一弁護士は記者会見し、「今回の問題は入管という権力
組織による犯罪だ。権力犯罪をかばい、不問に付した。入管と検察はとても近い組織で、
だからこそ公正な捜査が求められるのに、今回の判断は公正・公平とは思えない。極めて
不当な決定で強く抗議したい。不当な判断を許さず、責任追及のために闘い続ける」と述
べ、「ウィシュマさんのような形で人が亡くなっても、入管は誰も刑事責任を問われない
ということを名古屋地検が宣言したようなものだ。このままでは同様のことがいくらでも
起きてしまう」として、引き続き入管の社会的責任を追及していくと述べた。

４．名古屋入管の幹部らが再び不起訴とされたことを受け、遺族弁護団が２９日夜、東京
都内で記者会見した。ウィシュマさんの妹２人もオンラインで参加して英語で答えた。

◆ウィシュマさんの妹のワヨミさん（３１）は、「どういう理屈で、この事件が犯罪でな
いと言えるのでしょうか。責任ある人々がなぜ処罰されないのか、いまだに理解できませ
ん。入管が責任を果たすことを怠ったために、私たちは姉を亡くしました。このような死
が二度と起きないために、この事件で適切な処罰が与えられるべきです」などとコメント
しています。「責任ある人々がなぜ処罰されないのか理解できない」と憤った。「入管が
責任を果たすことを怠り、姉を亡くした。このような死が二度と起きないため、この事件
で適切な処罰が与えられるべきだ」と訴えた。

◆妹のポールニマさん（29
）は憔悴した様子で、「このような答えが出たことがとても悲しいです。なぜ、これほど
までに非人道的なのですか。ウィシュマの死の責任を取るべきは誰なのですか。私たちは
、こんなにひどい決定を予測していませんでした」「名古屋地検は努力をしたのですか？
」「命を奪われた事件が犯罪として認められず、想像を絶します」と英語で失望を口にし
た。

◆スリランカにいるウィシュマさんの母親は「こんなに長い時間をこんな決定を行うため
に無駄にしたと言うのですか。このような回答を受け取ることを非常に残念に思っていま
す」などとコメントした。

５．名古屋出入国在留管理局は「捜査当局における判断、決定については回答する立場に
ありませんので、コメントは差し控えさせていただきます」とした。

６．なお、2023年9月27日には、名古屋地検に対して、「入管の民族差別・人権侵害と闘
う市民連合」として、8月30
日に続いて、遺族のウィシュマさんの妹のワヨミさんとポールニマさんと通訳、「START
」の学生2名と小野の6
名で、起訴を求める署名２万２０００筆余を提出した。署名提出当日は、名古屋地検前で
起訴を求める集会と記者会見を開き、ワヨミさんとポールニマさん、指宿昭一弁護士が名
古屋地検に起訴を求めるアピールを行った。

７．今回、多くの市民の声を無視し、名古屋地検は最終の不起訴決定を下した。今回の不
起訴で事実上の捜査終結となり、「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件」の刑事裁判は終
了となる。私たちは、名古屋地検の最終の不起訴決定に満腔の怒りを込めて名古屋地検の
不起訴決定に抗議する。

８．2023年9月27日午後には、名古屋地裁で、ウィシュマ・サンダマリさん（当時33）を
巡る国賠訴訟の第9回口頭弁論が行われた。今回の法廷では、
被告・国側は入管側の対応に問題がなかったとする医師野村政壽氏（久留米大学内科学講
座内分泌代謝内科部門主任教授・久留米大学病院院長）の意見書を提出した。

①「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件」国賠訴訟では、収容中のウィシュマさんの体調
悪化が深刻化するなか、入管側が適切に対応したかどうかが争点となっている。原告側は
「私、死ぬ」「息、難しい」と訴えるウィシュマさんに対し、入管側が適切な医療行為を
施さなかったと主張していた。一方、被告・国の意見書で医師、野村政壽氏（久留米大学
内科学講座内分泌代謝内科部門主任教授・久留米大学病院院長）は、直前の診察で異常が
なかったことなどを根拠にこれらの発言は「看守の注目を集めるため」だったとし、ウィ
シュマさんが深刻な状況ではなかったとの見方を示した。

②ウィシュマさんの妹のワヨミさん（31
）は意見陳述で被告・国側の提出した「意見書」に対し、「姉は大げさに苦しんでみせた
ということなのか。こんなことを医者がいうなんて本当にありえるのか。なぜこんなひど
い言われ方をしなければならないのでしょうか」「もし、看守の注目を集めるために大げ
さに言ったのであれば、なぜ、そのあとすぐに姉ウィシュマは死ななければならなかった
のでしょうか」「裁判簡易お願い致します。どうか、苦しんで亡くなったウィシュマの遺
体に、せめて、『真実と正義の花』を手向けてあげてください。亡くなった姉の尊厳がこ
れ以上傷つけられないように、どうか、真実をすべて明らかにして、そして、正しい裁き
を私たちに下さい」と訴えた。

③妹のポールニマさんは、「医者の書いた意見書に怒りを抑えられません。医師は、ほん
とうに、姉のビデオをみたのでしょうか?IGAKUNO
」専門家である医師が、国の求めに応じて、専門家としての良心を捨てて、このような意
見書を書いたのだとしたら、許されないことです。この意見書はあまりにもひどいもので
す。この意見書に真実はありません」と怒りの意陳述を行った。

④法廷では、被告・国側提出の「入管側の対応に問題がなかった」とする医師野村政壽氏
の「意見書」は、ウィシュマさんのいのちと尊厳、ウィシュマさん遺族の尊厳を再び傷つ
ける「2次加害」だと空野弁護団長の厳しい発言があった。

⑤また、原告側弁護士が、「入管収容中のビデオを息子に見せた」と意見陳述したことに
対して、「そのことは、準備書面に書いてないことだ」として意見陳述の撤回を求めた被
告・国側代理人に対し、国側の意見に沿った被告・国側提出の「入管側の対応に問題がな
かった」とする医師野村政壽氏のウィシュマさんのいのちと尊厳、ウィシュマさん遺族の
尊厳を再び傷つける被告・国側提出の「意見書」の惨さとともに、被告・国側代理人の法
廷内での発言・態度に多くの怒りの声が上がった。

⑥遺族側弁護団の指宿昭一弁護士は、記者会見で、「詐病で人は死なない。どんなに理屈
をねじまげてでも入管の責任を否定したいという思いがこの意見書にもにじんでいる」と
強く批判した。児玉弁護士や弁護団の他の弁護士や支援者からも、被告・国側提出の「意
見書」の惨さとともに、被告・国側代理人の法廷内での発言・態度に厳しい批判の声が上
がった。

９．9月27
日の裁判後の支援集会では、「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件」後も、多くの収容者
が厳しい状況にあることが報告された、東京の難民支援の「ＢＯＮＤ」の学生からは、牛
久収容所では、空の見えない、通風も採光もない部屋に閉じ込められた収容者が、
10㎏も体重が減り、以前と人が変わったと思われるほど衰弱したとの報告があった。名古
屋の「START
」の学生からは、名護屋入管では、ウィシュマさんが入管で死亡した時と変わらない、そ
れよりも悪くなっている状況が続いている、20
名以上が抗議のハンストを行っているとの報告があった。

１０．支援集会では、ウィシュマさんの妹のワヨミさんとポールニマさんが、「これまで
の裁判支援、署名活動などに心からお礼を伝えます。2
年間の裁判で日本の皆さんの私たちへの支援が言葉にできないほどありがたかった。皆さ
んの力で、諦めずに裁判に勝つまで闘い続けたい。皆さんが頑張れば、私たちも頑張るこ
とができます。いつもほんとうにありがとうございます」と述べ、参加者は、二人に熱い
連帯の拍手を送った。

「ウィシュマさん名古屋入管死亡事件」国賠訴訟は、次回11月27日午後、名古屋地裁で、
第10回口頭弁論が行われ、その後も、2024年1月、3月、5
月と隔月で行われる。ぜひ、全国からの裁判支援、ご遺族支援をお願いします。

◆ご案内
名古屋開催｜10月8日（日曜）
公共訴訟で声をあげるということ
<https://call4.us4.list-manage.com/track/click?u=ad469a8e61abf0a6e345a0069&id=06
34f086d6&e=21ae66cd9e>

名古屋イベント
<https://call4.us4.list-manage.com/track/click?u=ad469a8e61abf0a6e345a0069&id=74
1d53420c&e=21ae66cd9e>
は10月8日に開催予定です。ご予約開始しました。
名古屋イベントは、「公共訴訟で声をあげるということ 〜それぞれのストーリー〜」
をテーマに、CALL4に掲載されている東海地方で提訴された公共訴訟の当事者のお話を聞
き、公共訴訟の可能性について考え、軽食をつまみながらみんなで交流できる場をご用意
しました。ぜひ、お友だちお誘い合わせの上、気軽にご参加ください！

お申し込みはこちら
<https://call4.us4.list-manage.com/track/click?u=ad469a8e61abf0a6e345a0069&id=99
ae6f41b9&e=21ae66cd9e>
から。
※プログラムは17:00まで。その後はフリータイムで自由に退出可能です。

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〈イベント詳細〉
日時：10/8(日)14:30-17:30予定（14:00開場予定）
場所：リリーバンケット（伏見駅より徒歩1分）
参加方法：事前予約制
<https://call4.us4.list-manage.com/track/click?u=ad469a8e61abf0a6e345a0069&id=11
34d021ac&e=21ae66cd9e>
（チケットは無料/先着順/入退場自由）

〈プログラム＆ゲスト予定（敬称略）〉
*■イントロダクション*
谷口太規（CALL4代表/弁護士）

*■ケースプレゼンテーション*
♦︎ウィシュマさん名古屋入管死亡事件 ワヨミさん・ポールニマさん（原告）、指宿昭
一（弁護士）、駒井知会（弁護士）
♦︎オペなしで！戸籍上も「俺」になりたい裁判 鈴木げん（原告）、本多広高（弁護士
）
♦︎結婚の自由をすべての人に訴訟（同性婚訴訟） 水谷陽子（弁護士）
♦︎公安警察による市民運動の監視を許さない。市民の「もの言う」自由を守るための訴
訟 近藤ゆり子（原告）
♦︎市民との約束を無視して進む「新焼却炉建設」を止める訴訟 江本浩二（原告）
♦︎「同性パートナーにも犯罪被害の遺族給付金を」訴訟 堀江哲史（弁護士）

*■ブースセッション＆交流パーティ*
フードやドリンクを提供予定！

お元気で。再見。