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新しい農業者に出会えた!〜国際有機農業映画祭に参加して

森 健一(岡山県瀬戸内市在住)

 3月18日、東京・武蔵大学で開催された「国際有機農業映画祭」に参加した。午前に「出稼ぎの時代から」「未来をみつめる農業」の上映があり、午後のシンポジウム、最後が「原発をとめた裁判長」だった。新しい農業者に出会えたと実感した。

 私の地元の瀬戸内市には塩田跡地である錦海湾に「くにうみファンド」という投資会社による初期の大規模ソーラー発電施設がある。一方で傾斜地には無計画なソーラー施設が地肌から落ちて放置されている。質問したかったのは、太陽光発電システムが環境に負荷をかけないか否かの〈分岐点〉はどこにあるのか、掘り下げたいとの思いがあった。

 回答は、二本松営農ソーラー(株)代表の近藤恵氏がソーラーシュアリングから答えていた。実際の施工とブドウ畑への応用は、小原浩靖監督の「原発をとめた裁判長」に描かれている。近藤氏はこの映画祭のあと韓国に向かう。日本は2011年の3・11を「ラストチャンス」のようにして、数十年で再生エネルギーへの移行で抜かれ、周回遅れとなった。

 樋口英明・裁判長の「ガルで比較する樋口理論」のグラフが一目瞭然で頼もしいほどだが、副題である「そして原発をとめる農家たち」で若い農業者の実践やシンポジウムのなかでの興味深い発言があった。有機農法による畑もホウレン草はセシウムなどを吸着していて出荷できなかったが、地中から立つ長ネギは「検出なし」だった。粘土質で細菌、微生物などで地球の大地にも放射性物質に対して免疫力があるとの意と捉えた。

 私もUターンして自家菜園から土に接しようとしたが、苗木からの梅だけが豊作で稲わらや放し飼いの鶏や牛糞などでつくる培養土を作れていない。コロナ禍にあっても自然免疫力こそがカギと考えてきたから大地にも原発事故への回復力があるとの視点は大切だ。

 当日、宿でNHKの福島事故の再現ドキュメントを観た。2011年の3・11は、日本のあらゆるシステムを再生させる反面教師たる人災であった。午後のシンポジウム(写真)では4人の若い世代で非農家出のパネラーが食と農にかけた社会観を語っていて、この社会が再起する道筋が見えてきた。近藤氏は基督教独立学園で学び、入社式では中村哲医師の著と内村鑑三『デンマルク国のこと』を紹介している。

 現代日本が3・11を経ても原発再稼働にひた走りで再生、再起できない構造的理由は、国会で実質審議もされない数百兆円の特別会計(資源・エネルギー特別会計の「原子力ムラ」ほか)にあると見立て、私は次のテキストにしている最中である。                           


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