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「汚染土の持ち出しなど許さない」〜所沢市で双葉町民が訴える

堀切さとみ

動画(鵜沼発言 14分)

 福島第一原発事故による放射能汚染土壌を再利用する計画が、昨年末から浮上している。新宿御苑と時期を同じくして、その候補地にあげられた埼玉県所沢市。新宿区民同様、所沢市民や市議のほとんどが埼玉新聞やテレビニュースで知ったという。そんなことが許されていいのか。

 2月24日夜、所沢市の小手指公民館には100名の市民が集まった。主催は所沢への福島原発汚染土持ち込みを考える市民の会。『原発事故の除染で生じた土の再利用、ホントにいいの?』と題する満田夏花さんによる学習会を、熱心に聞き入った。

 そもそも集中管理しなければならないはずの汚染土壌を、なぜばらまく必要があるのか。「福島県外で実証実験したあとの土は、また中間貯蔵施設にもどすと環境省は言ってるが、放射能物質を弄んでいる」と満田さん。そればかりでなく、福島の人を愚弄する行為だと私は思う。

 この日、中間貯蔵施設に土地を提供した双葉町民、鵜沼久江さん(写真下)が参加した。「地元のお前たちが責任をとれと言われ、泣く泣く土地を提供した人も大勢いる。私は原発の近くだし、放射能のごみはここで引き受けるしかないと覚悟した。汚染土を置かれたら、もう帰れないですからね。それをあちこちに持ちだすなんて、とんでもないことだ」と声を震わせた。

 所沢市長は、市民の意向を尊重すると言いながら「福島にだけ犠牲を押し付けるわけにはいかない」とも発言している。それについて鵜沼さんは「今日は所沢市長に直にお会いしたかった。そんなに簡単に物事を引き受けるなと。中間貯蔵施設を受け入れたとき、双葉町長はどれだけ賄賂をもらったのかと噂になりました。所沢市長も、汚染土を引き受けるのにどれだけお金をもらったのかと言われますよ」

「30年後には土地を帰すというが、いったん汚染土を置かれたら、その土地に利用価値はない。返されても困る」とキッパリ。「所沢が引き受けたら、汚染土は全国に持って行かれます。私たちはこの土を持って行って欲しいなんて思っていません。どんなことをしても反対してください」と力をこめた。

 会場からは次々と手が上がった。ある男性は「鵜沼さんはなんて強い人だろう。所沢市民は本気で頑張らなきゃだめだ」と泣きながら訴えた。実証実験の予定地は保育園の間近だというのに、市は「決まっていることだから」といってゼロ歳児のことなど考えていないと憤る市議もいた。このような集会に参加するのは初めてだと言う女性は「汚染土が持ち込まれたら、レントゲンによる被ばくの何倍被ばくするのか」と素朴な質問をした。市民の発言は予定時間を超えて続いた。

 「福島を他人事だと思っていたけれど、今回のことではじめて自分事になった」という男性もいた。放射能物質は人々を分断させる。それによって加害責任がうやむやにされる。こんなことは福島だけで沢山だ。その思いを受け止めて、所沢市民の運動はいっそう力を増していくだろう。かつてダイオキシン問題で市民が立ち上がった所沢市。頑張って欲しい。


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