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〔解説〕アメリカの大統領選挙はバイデン候補の勝利が確定し、政権の平和的な移行も始まりつつある。それに大きく貢献したのは史上最高の郵便投票であった。そしてそれを可能にしたのは郵政組合員たちである。その物語をレイバーノーツ誌12月号が伝えている。ちなみにアメリカの郵政事業はまだ国営事業である。(レイバーネット日本国際部 山崎精一)
*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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郵政労働者が大統領選挙を救った!

ジェーン・スローター(2020年11月20日)


*「郵便局を救え! 選挙を救え」

 2020年大統領選挙での郵便投票がうまくいったのは、すべての投票用紙が確実に届くように並々ならぬ努力を惜しまなかった郵便労働者の組合員たちのおかげである。COVID19による大打撃を受け、さらにルイス・デジョイ新郵政長官の意図的な妨害にもかかわらず、郵政労働者はその仕事をやり抜いた。

 今回の選挙では、これまでで最高の6,500万を超える人々が郵便投票を行なった。郵政事業はこの数ヶ月間、人員不足で営業してきた。8月の時点で40,000人の郵便職員がCOVID19にり患して隔離を余儀なくされていた。デトロイト近郊の郵便労働組合(APWU)の480-481地域ローカルの委員長ロスコー・ウッズは、組合員の30パーセントが休業中だと語る。

 郵便労働者はどのようにしてこの巨大な偉業を成し遂げることができたのだろうか? APWUデトロイト・ローカルのキース・コムズ委員長は、「仲間のほとんどはすごい誇りをもって働いていました。」と語る。「投票用紙を届ける、という任務を完了できたことを本当に喜んでいます。郵便投票は不正に行われている、というトランプの話は間違っていることを国民に見せたかったのです。」

 ウッズ委員長が代表する郵政労働者はミシガン州ポンティアックにある地域で一番大きい地域区分局で働いている。通常の日には数百万通の郵便物を処理している。どのようにして投票用紙がその目まぐるしい流れの中で行方不明にならないようにしたのだろうか?

 郵便物は、封筒を読み取る巨大な区分機によって、毎時36,000通ずつ区分される。選挙が始まる前に、区分機が郵便投票在中封筒だけを選別するように設定して、選別された郵便投票封筒を別の場所で手作業で仕分けした。経験豊富な事務職員は、郡選挙管理事務所専用郵便番号がつけられた封筒を手作業で区分した。そこからトラックで郡選挙管理事務所に発送された。

 労働者たちはさらに徹底した。「マスキーゴンに行くべき郵便投票在中封筒がフリントに届いたとしましょう」とウッズは語る。「仲間たちは、中間地点で待ち合わせてその封筒を手渡していました(訳注 : 両市は200キロほど隔たっている)。私は投票が閉じる午後8時の15分前に局長に会って郵便投票の状況確認をしました。局長は郡選挙管理事務所に10票を届けるために担当者を派遣したところでした。」「必要なことは何でもしました。組合員たちは難局を切り抜けました。民主主義を機能させる仕事に参加できるのは貴重なことです。」

 デジョイ郵政長官はトランプの資金提供者であり、物流会社で首切りをやってきた人間で、就任以来郵政労働者に攻撃を掛けてきていた。何百台もの郵便物区分機が撤去され、超過勤務をすることが許されず、内務労働者たちは引受した郵便を一部は区分せず、翌日に残すように命令された。郵政労組や国民からの反発を受けて、デジョイ長官は8月18日に事業削減を選挙後まで延期すると発言せざるを得なくなった。しかし、一時停止をしただけであることを明らかにしていた。

 皆さんの予想に反して、デジョイとその攻撃は、新政権になっても直ちに一掃されるわけではない。長官を雇い、解雇する権限があるのは、郵政理事会だからだ。残念ながら、現在の6人のメンバーはほとんどが反労働者的であり、民営化賛成派だ。バイデン新大統領がすぐに埋めることができる空席が3つあるが、どのような任命も上院の承認を得なければならない。

 国民の注目を浴びることに慣れていない現在の理事会メンバーに圧力を掛けるのが有望な戦略である。ニューオーリンズの活動家たちは、手始めに10月から、ある郵政理事会のメンバーの家の近くで「悪党退治のバーベキュー」大会を開催した。他に理事が住んでいるのはニューヨーク、ロサンゼルス、ケンタッキー州東部、パームビーチ、ワシントンD.C.なので、同様の取り組みをどうぞ。

(ジェーン・スローターはレイバーノーツの元編集長。この記事は The Detroit Socialist に最初に掲載された。)


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