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「無防備地域宣言が平和を築く」〜レイバーネットTVで小西誠さん

アーカイブ録画(89分)*特集は25分から

 レイバーネットTVも、スペースたんぽぽに移転して4回目を迎えた。会場の準備も次第に慣れてきた。今回のキャスターは山口正紀さんと見雪恵美さんだった。トップは、2つの非正規格差の注目の労働裁判からはじまった多彩な動画ニュース。

 つぎは、現地取材から帰ったばかりの湯本雅典さん(『選挙が生まれる』他の映像作家)による沖縄辺野古の今が動画と共に紹介される。なんと、辺野古の工事は大幅遅れだという。それはもちろん大がかりな市民による阻止行動の影響もあるが、地質調査が遅れ、やっと最近全部が終わったばかりという。そのため2015年から本格埋め立の計画が、2018年8月17日つまり3年遅れで始まる予定になったのだ。

 その原因は、水深30mという一番深い地点が、地質検査をしようにもズブズブと沈むほどの軟弱地盤だったから。その対策はされないまま、何しろ「土砂投入」という事実をつくりたいらしい。他にも活断層が滑走路の下を走っていることも分かったり、ここに埋め立てて飛行場作っていいの?と思ってしまう事実が披露された。湯本さんは、今後も継続的に沖縄問題を追うということなので、次の報告も待たれる。

 そんなリアルなお話の後、今回の特集「沖縄・南西諸島ですすむ大軍拡」が、はじまる。お話は、元反戦自衛官で軍事ジャーナリストの小西誠さん。沖縄本島の特に辺野古や高江などとは違い、ほとんど報道されず、したがってあまり知られていない与那国島から奄美を含む南西諸島で進む自衛隊基地拡大の意味することを、詳しくうかがう。既に基地が新設・拡大計画が実行中。陸対空ミサイル基地もあり、当然自衛官の増強も計画されている。

 お話を伺うと、驚くことが多かった。大きな驚きは、安倍首相は北朝鮮の脅威をあおり軍拡にいそしんできたわけだが、それは隠れ蓑に過ぎないこと。小西さんは、北朝鮮は刺身の“つま”に過ぎないという。本命の刺身は中国。九州から台湾に続く南西諸島は、天然の要塞である。だからここにミサイルを並べ、レーダー基地を拡充し、敵の来襲に備えるのだと。その光景は、中国側から見ると明らかに「脅威」である。しかし、実は島しょ防衛は世界的に成功した例はない。日本側もこのことは織り込み済みで、敵がミサイルで狙い撃ちをしてきたら自衛官も一般人も標的になると自衛隊側は認識しているという。

 もう一つ大事なことは、この南西諸島が攻められた場合、一気に全国が戦場になること。また、日本の防衛は日本がしろというのがアメリカのスタンスなので、米軍はグァムなどの後方に退くのだ。

 この路線は東西冷戦が終わった1997年の日米ガイドラインの見直しからはじまったのだが、2012年の民主党政権時に新たな見直しがあり、その線に沿っている。そこで立憲民主党の枝野幸男氏が石垣に来た時に質問すると、ミサイルを配備されることは知らなかったという。これは文民統制が完全に崩れていることを意味している。それは驚きを通り越して、恐ろしいことだ。

 最後に小西さんは大事なことを提案した。それは「他国から攻められないためには、無防備地域宣言をすること。実は沖縄も1944年まで軍隊の駐留はなかった。日本軍が来たから米軍が攻めてきたともいえる」と。今まで無防備だった島を含めて、大幅な軍拡は明らかに平和とは逆の、戦争への道を歩んでいることなのだ。九条の精神がいま試されている。

 特集が終わって、最後は、替え歌「お坊ちゃま(桃太郎)」(笑い茸作)を村上理恵子さんとジョニーHさんが歌った。(笠原眞弓)

*写真撮影=小林未来


Created by staff01. Last modified on 2018-06-22 12:10:36 Copyright: Default

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