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フランス : 5月26日に反マクロン大規模デモ〜「大衆の波」が広がる

    辻 俊子(フランス在住)


 *marée populaire (大衆の波)を掲げるトラック

 デモは予告されていて、3週間あった準備期間の進み具合からも楽しみにしていたデモだった。主要な労働組合、市民運動、政党等が共同参加を表明し、初めての統一デモが実現したが、この間参加団体数は約80と増えていた。また、5月5日のデモはパリのみで行われ、100台以上のバスや車の相乗りで地方から多くの参加があったのに比べ、5月26日は当初から地方各地でのデモが呼びかけられていた。


 *デモの先頭に立つ郊外の若者達とパレスチナ連帯グループ

 「フランス・アンスミーズ(屈服しないフランス)」のサイトではデモ予定地が増え続けるのが確認され、一番近いデモは何処かと検索できた。午前中に始まるデモもあり、それぞれ自主的に組織されたのである。街のあちこちには「平等、社会正義と連帯の為に!」を掲げたポスターが見られた。

 デモの3日前、5月23日には、国鉄職員達を対象に4組合が合同で自主投票を実施し、投票率61,15%、国鉄改革案への反対94,97%という結果が出た。国鉄職員は4月3日から週2日のストを継続しており、スト参加者が減って来ているとの報道が多くなって来ていただけに、気持ちがすっきりする結果だった。


 *学生たち

 国鉄のスト参加者へのインターネットカンパも、一億4千800万円に達した。教育、医療を始めとする公共機関へ、次々と経費と人員削減法案を通す政府に対して、国鉄職員達は公務員の代表としてストを継続している、との理解があるからこそ集まった連帯カンパである。

 5月26日の当日は朝から好天に恵まれた。デモの出発点では準備に勤しむ人々の傍らで、音楽と踊りも始ってお祭り気分を醸し出し、各組合の色取り取りの気球が青空を飾っていた。デモ隊の先頭には、パリ郊外の移民2世達、パレスチナ連帯NPO、大学入学資格の変更に反対する学生達等が立ち、組合、政治団体の隊列が続いた。老若男女が集い、約3kmの歩行者天国を思い思いに自由に歩くパリらしいデモの午後だった。国鉄職員へのカンパもこの1日で145万円が集まったそうだ。


 *Make France great againと書いたプラカードと組合の気球

 パリでの参加者は主催者発表で8万人、警察発表で2万1千人、全国では主催者側は約180箇所で約28万人の参加者があったと発表した。政府は、5月5日のパリでの参加者数4万人と比較して、小規模なデモだったとコメントした。多くのメディアはデモが終わって数日経っても、パリでの参加者数のみを話題にしている。

 フランス・アンスミーズ側は、この画期的統一デモは全国で約180箇所で行われた事を強調し、マルセイユで6万5千人、ツールーズ2万人、リール1万人と発表している。

 フランス・アンスミーズの国会議員の一人、フランソワ・リュファンは参加者数が期待を下回ったと認めた上で、現政権の政策を不当だと思う人々の数と、デモへの参加者数の間には確かに隔たりがある、無関心も敵であり、人々の諦め感とどう闘えるかが今後の課題だ、と問題提起をしている。

 代表のジャン=リュック・メランションは、パリ以外の参加者は存在していないのか、と報道機関に反論し、各地で組合、市民、政党が話し合い、一緒に準備をして実現させたデモであり、ここ数十年初めての実り多き結果をもたらしたと総括できる、この経験は継続される、と語った。

 マクロン政権が誕生して一年になるが、先月末の世論調査では国民の59%がマクロン政権の国内政策に反対しており、賛成は40%である。今回の「大衆の波」デモが津波の規模にはならなかったとしても、全国に生まれた大小の波は、満ち潮を運ぶ準備をし始めたと言えるのではないだろうか。


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