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LNJ Logo テントひろばは”パブリックフォーラム(公共空間)”ー第5回口頭弁論
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↑ 脱原発テント明け渡し裁判に抗議する人々(東京地裁前 10日午後1時)

 2月10日午後2時から東京地裁103号法定で経産省前テント裁判第5回口頭弁論が開かれた。裁判に先立って午後1時から地裁前で抗議集会が開かれた。午後1時半には傍聴人が200名を越えたために、抽選で90名が傍聴した。

↑ 意見陳述を行ったテント裁判被告・正清太一さん(10日の報告集会で)

↑ 意見陳述を行ったテント裁判被告・渕上太郎さん(10日の報告集会で)

 裁判の冒頭、被告人2人、正清太一さんと渕上太郎さんが意見陳述を行った。正清さんは、最近も東電が放射能汚染水の漏洩を発表し続けているように、原発事故は未だ終息しておらず、テント広場は全国の脱原発の声を伝える場所として厳しい状況の中で880日を超えて維持されてきた。裁判所は国の不当な撤去の訴えを即刻棄却すべきだ。渕上さんは、この裁判で問われているのはテントが国有地の不法占拠かどうかではない。福島事故の多大な被害が続く中で原発を再稼働させる国の新エネルギー基本計画を国民が容認できるか否かである。政府は原発廃止を求める高まる世論を真摯に受け入れるべきである。  続いて、4人の弁護士が準備書面に沿って発言した。弁護団長の河合弘之さんは以下の2点を主張した。国は福島原発の事故に関わる緊急事態の解消に全力を注ぐべきであって、本件訴訟は訴権の濫用である。そして、政府は世界一の安全基準というが、世界中の誰もそれを認めていない。田中規制委員長は「規制基準」であって、「安全基準」ではないと述べている。原発再稼働の正当性はない。国が再稼働反対の声を抑える根拠はない。

↑ 原告・経産省に土地占有の実態を証拠を求めた吉田哲也弁護人(10日の報告集会で)

 続いて、吉田哲也弁護人は経産省の訴えのでたらめさを暴露して、訴訟の無効を明らかにした。テントは被告2人の占有とされているが、実際は第2テント(福島の女性たち)と第3テント(平和と民主主義を守る全国交流会)を含む三つのテントがそれぞれ多数の原発反対の人々が共用している。原告・経産省はその実態を示す証拠を何一つ提出していない。被告側は経産省が設置している監視カメラの映像を証拠提出すべきだと「文書提出申し立て」を行った。  そして、被告側は経産省前の土地占有権限の根拠を憲法26条の表現の自由にあることを主張した。先のニューヨークのウォール街の公園占拠(オキュパイ)運動の実例を上げて、原発事故という人権侵害の極限の事態に対して国への抗議の意思を表現するための手段として「代替不可能な」公共空間「パブリックフォーラム」を占有する権利は憲法が保証する権利だと主張するものだ。  傍聴席から拍手とともに「異議なし」、「訴訟を取り下げろ」などのヤジが法定中に広がった。村上裁判長は「傍聴者の発言は退廷させる」と注意したが、抗議の声は収まらなかった。裁判長は「閉廷」の宣言もせずに逃げるように法定を出て行って、第5回裁判は終了した。

「私たちは福島方言で『しびらんこっく』(しつこく)やります」(黒田節子さん)

↑ 裁判後開かれた報告集会(参議院会館講堂)

裁判後の参院議員会館講堂で報告集会が行われ、200人を超える人々がテントを守ろうと参加した。最初に被告・正清さんと渕上さんが被告人意見の要点を説明した。つづいて、吉田哲也弁護人が今日の裁判を説明。その中で新年に入って1月10日、23日、30日と3回にわたって経産省に改めて三つのテントがそれぞれ土地使用の許可申請を行ったが、経産省は様々な理由をつけて受け取りを拒否していると報告した。今回の訴訟が国による反原発運動への典型的なスラップ(恫喝・発言封じ)訴訟であると糾弾した。

↑ 原発はいらない福島の女たちの黒田節子さん(10日午後 参議院会館)

 続いて原発はいらない福島の女たちの黒田節子さんが発言に立った。まず都知事選で頑張った人たちが一つになれなかったことを残念に思うが、両派の皆さんにご苦労さんを言い、流すべきは流し、経験を共有して今後も共に頑張ろうと激励した。そして、「私たちの福島はいま日々緩慢な死を迎えている。避難、除染、汚染労働、4号炉の再地震の恐怖などあまりに多くの問題を抱え、頭はぐしゃぐしゃになっている。医師たちが発表するグラフの解析に怒りを感じる。私たちが何をすればいいのかをはっきり示して欲しい。しかし、そんな中でも私たちは福島方言で『しびらんこっく』(しつこく)やります」と彼女は結んだ。

↑ 伊方原発50km県内住民の会の堀秀樹さん(10日午後 参議院会館)

 伊方原発50km県内住民の会の堀秀樹さんは、今の伊方は事故前の福島の状況と同じだと切り出した。東京の20万人の反原発デモを「別世界」のことと感じた。福島の次は伊方だと思う。私たちは”原発は安全”に騙された。原発事故は天災ではなく、人災だ。すぐ傍の阪神大震災のような地震によって伊方原発で事故が起これば、「瀬戸内海は死の海に変わる」と悲痛な訴えを行った。最後に「願い」の替え歌を一人アカペラで朗々と歌った。  河合弁護団長は今日の法廷を被告側が土地占有の正当性を2回に分けて論証する巧みな戦術と説明。その上で話題を都知事選に変えて、反原発陣営が細川さんと宇都宮さんの2つに割れたが、私は細川・小泉両元首相など新自由主義者でさえ反原発を掲げざるを得なくなっていると考える。これからは保守も革新も一緒に反原発を目指す第2段階を闘おうと訴えた。

↑ 再稼働阻止全国ネットの柳田真さん(10日午後 参議院会館)

 最後の立ったたんぽぽ舎共同代表の柳田真さんは広がる再稼働阻止全国ネットの3.16川内原発1万人集会をはじめとする今後の闘争スケジュールを紹介した。そして、今回の都知事選は原発が政治の最大課題に引き上げられたことを証明したと述べた。「原発再稼働阻止」、「土地明け渡し裁判を取り下げろ」などのシュプレヒコールを全員で行って散会した。

次回の公判は4月23日。

<報告・写真 報道部・高幣真公>


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