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LNJ Logo インドネシア 素晴らしい脱原発の出会い〜「原発メーカー訴訟」の会ツアー報告
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 原発製造メーカーの責任を問う、世界の市民による1万人訴訟の共同告訴人を募る旅に同行して、私は1月10日〜17日にかけてインドネシアへ行ってきました。今回は、旅を主導した崔勝久さん(「原発メーカー訴訟」の会・事務局長)の手記を紹介します。
                レイバーネットTV・寺島栄宏

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インドネシアの旅 素晴らしい脱原発の出会い

      崔 勝久 「原発メーカー訴訟」の会事務局長                           2014年1月23日

 インドネシアで原発建設を阻止した村で、日本人を含む現地の人々との村民集会と、全国から集ったインドネシア活動家が一同に会し討論と交流をする経験しました。村民の方はメーカー訴訟の原告を1万人集めると発言していました。インドネシアは共同体が生きています。               今回のインドネシアでの集会が可能になったのは、佐伯奈津子さん(インドネシア民主化支援ネットワーク)のご協力がなければとても実現しませんでした。私の依頼に応えてわずか1週間で、インドネシアの各地の活動家との話し合い、地域住民との対話の場が実現されました。ここに改めて佐伯さんに感謝申し上げます。

 私はインドネシアにも30年前くらいに何度か訪れたのですが、非常に変わっていました。ジャカルタ市内だけでなく、飛行機で2時間くらいの村に行き、そこで50くらいの全国の活動家が集まり、1泊2日の話し合いの場をもったのですが、その村も学校が多く、教育が行き届いている印象でした。宿泊施設は回教徒のリーダーで、春に国会議員に立候補するという地方の名士です。

  

バロン村の村民集会

 写真(↓)はムリア原発建設予定地ジュパラ県バロン村にて撮ったものです。

 この村で原発建設を阻止した経験を、全国14箇所の原発建設候補地での戦いにつなげていこうとの強い意志を感じました。実は2年前の東京でのAsia Forumのお会いしている方でした。

  *ムリア原発建設予定地ジュパラ県バロン村での村民集会
   全村民が集まった多彩な参加者

 インドネシアの代表はイスラムの指導者でもあり、まさに地元住民と一緒になって考え、行動を共にしてきた人のようでした。原発に対する恐怖感を国民は持ち続け、政治家の言うことは幾らいいことを言っても信じないそうです。

 大きいプロジェクトには大金が動き、政治家は賄賂、汚職でいい目をするのだろうと見ぬいています。彼ら指導者のすごいところは、原発の反対運動と並行して村民の生活そのものを見直すことをやろうとしていることです。

 ウラマーというイスラムの指導者たちは、原発を「ハラム」(イスラム教で禁止事項)と採決したというのです。原発のプラスもあるが、マイナスもあり、総じてマイナスの方が多い、「益」より「正義」を優先させ住民の生活に立脚した立場に立ちきろうとしているということでしょう。

 私たちを受け入れてくれたヌルディアン・アミンさんは、イスラム教の指導者であっても、カトリック、仏教界の人たちとも手を組み、一緒になって歩もうとする凄いオーガナーザだと感じました。

  

原発反対の全国活動者会議

 上の写真の人物は元原子力庁のメンバーで反核的な立場であるということから解雇されたIwanさんです。肺がんであることを告白していました。

 博士号を持つは筑波大学で原子物理学の学位を取り、現在は大学の講師ですがFoEやグリーンピース、イスラムの指導者への講義をしている原子力KIAI(指導者)です。インドネシアの高木仁三郎のような方です。

 彼の講演で判ったことですが、インドネシアでもメーカーの責任を問われず、メーカーを保護する法があることが確認されました。1997年の原子力法改訂によって、以下の事項が新たに規定されたそうです。「原子力 施設の事故による損害が生じた場合、プラントの運転者または所有者に対して最高9000億ルピア(当時の換算ルートで約450億円)の損害賠償責任を課すと謳われています。

 インドネシアのエネルギー委員会は代表が大統領で、エネルギー大臣も加わっています。今のところ、「原発は最後の手段」とエネルギー政策に記されているのですが、その「最後の」という文言を削除しようという動きが出てきているそうです。

 2015年には商業用ではない実験用の原発建設が進められているとのことでした。Iwanさんは、原子力庁が広報活動をしてもよいとは原子力基本法には書かれてないにもかかわらず、彼らは大々的に原発のメリットを宣伝していて法律違反だと強調していました。国家原子力庁は非商業用の原子力に限定すべきであり、商業用の原発建設は法的根拠がないということでした。  

  *インドネシアの全国の活動家の会議が実現

 この学習会にはインドネシア中から50名ほどが参加したのですが、5名の軍服を着た人、村の警察官も「参加」しました。なんと活動家が参加者名簿を回して、彼らに名前を書かせていたのが自然に行われておりユニークでした。

 Iwan氏は肺がん治療のために肉食を一切せず、アメリカの抗がん剤を飲みまながら放射線治療も受けないそうですが、この数ヶ月でガンが小さくなってきていると写真を見せてくれました。氏のますますの活躍を祈ってやみません。

 この集会における議事進行も大変に民主的で、参加者の意見をしっかりと聞くという態度で一貫していました。このような人たちとの交流はますます必要になるでしょう。              

最後に

 今回の原発メーカー訴訟は、全世界において原発メーカーを保護するという同じ趣旨の法をもっていることを明らかにします。

 このことを知ることは、各国での反原発の運動の質をさらに深めることになるでしょう。私がアピールした原発メーカー訴訟の原告になる件では、ごく一部のクリスチャンの反対がありましたが、圧倒的多数の賛成を得ました。

 彼らの話では1万人ぐらいという意気込みでした。ある地域の重鎮と思われる人は、自分ひとりで1000人集めると言ってました!


 日本は再稼働反対で天然ガスを使用することは当然と思っているようですが、実はその天然ガスを大量に日本に輸出するインドネシアは電気が不足しており、それを口実に原発建設の宣伝し日本、韓国が手を挙げています。

 しかしインドネシアは日本に天然ガスを輸出せず、自国で使えば電気不足も解消されると現地で聞きました。日本国内だけを見ていたのでは世界の実態は見えませんね。

資料

・【原発メーカーの責任を問う】朝日新聞  http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2012111300003.html

・「【憲法14条の平等原則で原発メーカーにも製造物責任を問う 〜原発輸出問題を考える集会】 IWJ動画 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107561

・【「原発メーカー訴訟」の会について】HP http://ermite.just-size.net/makersosho/soshonokai.html

・【原告団&サポーター募集中!】 http://ermite.just-size.net/makersosho/company.html


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