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LNJ Logo 石川源嗣のコラム : 官営八幡製鉄所の大ストライキ
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東部労組の石川です。

東部労組機関紙2013年1月号のコラム<二言三言>に下記の文章を掲載しました。

官営八幡製鉄所の大ストライキ

 緒形拳主演の名画『復讐するは我にあり』の原作者である佐木隆三が24歳で書
いた処女作『大罷業』を読んだ。罷業(ひぎょう)とはストライキのことで、こ
こでは、「溶鉱炉の火は消えたり」で有名な八幡製鉄所の大ストライキを扱って
いる。

 ロシア革命、米騒動、第1次大戦後の不況を背景に、北九州八幡の官営製鉄所
(現在の新日本製鉄八幡製鉄所)で1920年、製鉄所による職工の重大な収入源で
あった時間外勤務を規制する職工規則の改定に対する反発を契機に、賃金3割増
額、割増金の平等支給、勤務時間短縮などを求めて、2月5日2万数千名の労働者
が決起、ストに突入した。ここに開所以来初めて溶鉱炉の火が止められた。

 その後、製鉄所側が勤務時間短縮などの要求をすべて拒否したため24日、2万
5000人の労働者が再度ストに突入した。しかし製鉄所のロックアウト、弾圧、ス
ト破り、切り崩しで、3月20日争議は終了した。

 しかし争議後、製鉄所は8時間3交代制、約11%の賃上げなど労働者の要求をほ
とんどいれた「職工優遇案」を発表した。これが八幡製鉄所大争議の概略である。

 陸海軍拡張の心臓部である日本最大の軍需工場でのストライキは、川崎・三菱神戸造船所争議に次ぎ戦前の日本で2番目に大規模な争議であり、支配階級を震え
上がらせ、全国の労働者を励ました。

 小説は、ストライキの開始を知らせる鳴りっぱなしの汽笛からはじまる。
 供給人夫から職工になったばかりの20歳の篠原辰吉が主人公。父は日露戦争で戦死し、兄は工場作業中に24時間連続労働で労災死した。

 職場は、職工、職夫、供給組合人夫など重層的職階制、看守・守衛による職場の日常的な監視体制、さらにストになると巡査はサーベルを抜き、憲兵は拳銃を突きつけて各工場に詰める。

 しかし辰吉はストライキに参加することで、少しずつ目覚めていく。
 ひとつは、ストの威力。四百数十本ある煙突群が煙を吐いていない。職工がいなければ製鉄所は動かないのだ。

 古今東西、労働者の闘いにおいてストライキこそが最大最強の武器であることを示している。日本全体でいうと今、未曾有のストライキ件数の激減に直面しているが、規模こそ違え、現在の私たちもデイベンロイや多摩ミルクでストライキの威力をつくづく実感させられている。

 もう一つは、仲間を裏切らないこと。最後に辰吉は命を賭してそれを守る。 
 最近の職場小説や労組小説にはない、荒々しい骨太の労働者魂にふれる小説に出会った思いである。(石)

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石川 源嗣 Ishikawa Genji
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