![]() |
木下昌明の映画批評『ある精肉店のはなし』 | ||||||
Menu
おしらせ
■反原発及びメディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project ■戦争法反対関連 総がかり行動・市民連合 ●「太田昌国のコラム」第79回(2023/5/10) ●〔週刊 本の発見〕第301回(2023/6/1) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2023/1/12) ●川柳「笑い茸」NO.142(2023/5/30) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第85回 (2023/3/27) ●韓国サンケン関連情報
|
●纐纈あや監督『ある精肉店のはなし』 労働の輝き放つ“ごっつい手”――日本の原風景伝える精肉店
纐纈監督の今作『ある精肉店のはなし』は、大阪の貝塚市にある小さな精肉店を舞台に、家族で牛を育て、屠畜し、販売するまでの労働を生き生きと描いているドキュメンタリーだ。そこでも被差別部落の歴史の一面がとらえられているが、それも暮らしの体験のな かに描かれていた。 映画は、その一家、北出家で飼っていた一頭を屠畜するところからはじまる。牛の皮を剥ぎ、内臓を取り出し、電動ノコで二つに切断する、その枝肉を1週間寝かせるということは知らなかった。 映画の中で、牛は2度解体されるが、さまざまなナイフさばきの鮮やかなこと。まるで彫刻家のようだ。内臓の加工作業をみていると、あれを食べたいこれを食べたいと不思議にも食欲がわいてくる。 北出家は、江戸時代から続く7代目。長男夫婦と長女、次男の50代、60代の4人が家業を担っている。カメラは、労働する人間の魅力を、彼らの“ごっつい手”の動きから引き出している。これが実にいい。 長男は語る。「差別社会を変えるということは大変やけど、それより自分らの生き方の姿勢が変わってきた。これが解放運動なわけよ」と。 皮をなめし、太鼓作りなどを学校でも教えている次男は「人間はいろんな生き物に支えられて生きている、そういう考えをちょっとでもいいから伝えたい」と語る。 87歳の老母を含む4世代家族の団欒からは大家族のよさが伝わり、ここから日本の原風景がみえてくる。 祭りがあり結婚式があり、そして屠畜場の閉鎖もあって、四季の移り変わりの中に時代の変化もとらえられている。さわやかな一本だ。(『サンデー毎日』2013年12月8日号) *11月29日より東京・ポレポレ東中野、12月7日より大阪・第七藝術劇場で公開。 Created by staff01. Last modified on 2013-12-02 08:26:41 Copyright: Default |