愛知:紳士服のヤマヨシでストライキ決行!――開店時間=労働時間!? 残業代払え!――http://imadegawa.exblog.jp/16224721/■開店前準備や閉店後の掃除も「労働時間」労働組合に加入して残業代の支払いを求めたところ、「全く内容根拠のない残業請求」と決め付けられて「処分措置を取る」と通告され、これまで店長として働いてきた店から本社への配置転換を強行されたとして、愛知県一宮市に本社を置く紳士服販売店・ヤマヨシのNさんが6月28日にストライキを行なった。Nさんを支援する愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオンは、Nさんに対する配置転換の撤回や残業代の支払いなどをヤマヨシに対して求めている。Nさんはこれまでヤマヨシ・東山店で店長として接客・販売の業務に従事し、東山店の売り上げを2倍以上に伸ばすなど業績の向上に貢献してきた。ところがヤマヨシは、Nさんに対して労働基準法にのっとった時間外手当を支払わず、労働基準法に基づく有給休暇も与えてこなかった。有給休暇については就業規則で、「勤続年数3」年で「有給休暇日数3日」を「与える」とか(労働基準法では 勤続2年6ヶ月で12日、3年6ヶ月で14日)、有給休暇は「年内有効とし繰越をしない」と定めるなど(労働基準法では時効は2年)、違法な労務管理を続けてきたのである。■労組加入の店長は残業禁止!? こうした違法な状態を改めるためにNさんは名古屋ふれあいユニオンに加入し、ユニオンは6月1日にヤマヨシに対して時間外労働手当の支払いや有給休暇の法律どおりの付与などの要求を行なった。ところがそれに対してヤマヨシは、団体交渉を7月13日に開催すると労組側に通告しながら、労働組合に何の説明もないまま、ユニオンの頭越しにNさんに対して「一切の残業は禁止します。 ……業務時間以外は店に居ないように」と命令してきたのである。Nさんの契約上の労働時間は11時から20時までであり、ヤマヨシ東山店の開店時間(11時〜20時)とぴたりと重なっている。東山店の店長であるNさんには、開店・閉店の前後にも開店準備や掃除・納品の受付などがあり、「業務時間(筆者注:=11時〜20時)以外は 店に居ない」というのはあまりにも非現実的な話である。■「残業請求」を理由に「処分措置」!Nさんがこうした事情を訴えたところ、ヤマヨシは6月15日にNさんへのメールで「再三の残業禁止の業務命令に従わず 全く内容根拠のない残業請求」をしていると決め付け、「処分措置を取る」と「通告」してきたのだ。残業代の請求は7月14日の団体交渉で話し合って決めることになっている労働組合との協議事項なのである。それを、労組との話し合いを一度も開かないうちに「全く内容根拠のない残業請求」と決め付けて「処分措置を取る」と「通告」するのは一体どういうつもりなのか。労組に入って労働者としての当然の権利を主張したとたんに「業務時間以外は店に居ない」で店長業務を遂行しろと無理難題を強制したこととあわせ、労働組合法で禁じられている不当労働行為であるとしか言いようがない。わが国の労働組合法は第7条で、「労働者が労働組合の組合員であること、 労働組合に加入し、 若しくはこれを結成しようとしたこと 若しくは労働組合の正当な行為をしたことの 故をもつて、 その労働者を解雇し、 その他これに対して不利益な取扱いをすること」を明確に禁止している。また労働組合法は同じ第7条で、「使用者が 雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを 正当な理由がなくて拒」むことを禁じている。その労働組合と団体交渉で話し合うことになっている事柄について、労働組合に断りもなく、団体交渉開催前に直接当人に命令したり交渉したりされたりすると、団体交渉の意味がなくなってしまい、労働組合の意味もなくなってしまう。こうした行為は労働組合を軽視し、その弱体化を招きかねないものであるので、労働組合法第7条で禁じられている「支配介入」の不当労働行為であるとされているのだ。■労組の頭越しに突然の配転命令!さらにヤマヨシは6月21日、山内洋社長と山内淳専務が東山店にやってきて、労働組合には何の連絡も説明もないままNさんに対して、「配属転換になる。 24日から一宮(筆者注:=本社)に出社するように」と通告してきたのである。Nさんはこれまで、東山店の店長として業績の向上に心を砕き、この仕事に誇りを持って業務にあたってきた。それを、労働組合に加入し、労働組合の正当な行為として残業代の請求という労働者として実に当然の行為を行なうことで店長業務を取り上げられて一宮本社に「配属転換」されてしまうのは、あきらかな不利益取り扱いであり、これも労働組合法第7条で禁じられた不利益取り扱いであろう。名古屋ふれあいユニオンはこの配置転換に強く抗議してその撤回を求めるとともに、さしあたっては団体交渉の開催まではこの配置転換を凍結するか、7月13日開催予定の団体交渉の日程を早めることを提案した。これに対してヤマヨシ側は、東山店店長であったNさんの突然の本社への配置転換について、「当、N社員については 既に昨年11月に業務上の事情により 配転換(筆者注:原文のまま)を予定しておりました。/ 貴組合に入会の理由にての 移動(筆者注:原文のまま)では全くありません。/ 当社春日井店長の移動(筆者注:原文のまま)も 行っております」と言い、労組側の提案には回答を拒否。当のNさんは、「配置転換の話は 6月21日に山内洋社長と山内淳専務が 東山店にやってきて、 いきなり通告されるまで言われたことがない」と証言している。それどころかNさんは、この場で会社側から、「辞令は3日前に出ることもある。 出た以上は行ってもらわなければならない」などと言われたというのである。6月24日の3日前まで本人が聞いたこともなかった配置転換が、実は「昨年11月」から「予定」されていたなどという言い分が、一体どこの世界で通用するというのであろうか。■「配転凍結」提案拒否され、ストライキにヤマヨシ側は「当方としては7月13日の第一回団体交渉に向けて 真摯な話し合いの為の用意をしていたところ、 貴組合より団交前の時期に 争議行為を開始する旨通知を受けましたことを 大変遺憾に思っております」と主張している。しかし名古屋ふれあいユニオンは、6月22日にヤマヨシに送った「争議行為予告通知」の中で、Nさんへの突然の配置転換を受けて、「さしあたっては団体交渉の開催までは この配置転換を凍結するよう要求」している。また、「7月13日開催予定の団体交渉の開催は、 早めていただいてもかまいません」とも提案しているのである。にもかかわらずヤマヨシ側がこうした労組の提案に一切耳を貸そうとしなかったために、労組側も6月28日のストライキに及ばざるをえなかったというのが実情なのである。「それをさも、 自分たちが誠実に対応しているかのように描き出し、 被害者面をするのはあまりにあつかましい。 そもそも、 『昨年11月』から『予定』されていながら 今の今まで実行されてこなかった配置転換を、 Nさんが労働組合に加入し、 正当な要求を掲げた途端に 強行しなければならない理由が さっぱり理解できない」と名古屋ふれあいユニオンは憤っている。■「会社はめちゃくちゃ。負けられない」Nさんは予告どおり、6月28日に「配転先」であるヤマヨシ一宮本店でストライキを決行。午後3時40分からはユニオンや地域の仲間約20名がヤマヨシ本店前に結集し、激励・申し入れ行動を行なった。ヤマヨシ側は労組の申し入れに対し、Nさんの労組加入通知後、団体交渉開催前に東山店店長であったNさんを、労組に断りもなく一宮本店に配置転換したことについて、「人事権は会社の権利だ」などと主張。「残業がきついというから 楽な店(筆者注:一宮本店)に行かせてやった」と恩着せがましく強弁した。申し入れ行動に参加した女性ユニオン名古屋執行委員長の坂喜代子さんは、「こういう経営者を絶対に許してはいけない。 力をあわせてがんばりましょう」と発言して行動参加者を激励。その他、愛知連帯ユニオンや全日建連帯関西生コン支部・オールナショナルユニオン・笹島日雇労働組合からも支援の演説が本店前で行なわれた。当該労働者のNさんも、「暑い中、 これほどの人たちに集まってもらって 本当にありがとうございました。 会社のやり方はむちゃくちゃで、 言っていることもころころ変わる。 こんな会社に負けるわけにはいかない」と決意を語った。なお会社側は、Nさんに対する時間外手当の支払いについては「ご請求内容に対し 事実関係を含め精査中にて 団交の場でお話いたします」と回答。開店前・閉店後の開店準備・掃除・納品の受け取りなどを無視しての「残業禁止」命令についても、「この件についても団交時の議題とします」、労働基準法に基づかない年次有給休暇に関する就業規則については、「この度の指摘を受け、 就業規則の見直し、改定の準備をしております」と回答している。酒井徹電子メール:sakaitooru1983@excite.co.jpホームページ:『酒井徹の日々改善』http://imadegawa.exblog.jp/