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日教組メルマガ〜教育基本法の世論 | |
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□■ 日教組「教育基本法」メールマガジン No,66 2006.12.13 ■□
■ 教育基本法に関する情報をお伝えするメルマガです ■ 12月11日、自民、公明両党は、各界から「十分な議論のないまま拙速な採決に反対 する」 といわれているにもかかわらず、国対委員長らによる会談で、教育基本法改正案 を15日までの今国会会期内に成立させる方針を確認しました。 もう一度世論を確認します。 教育基本法に関する情報をお知らせするためにこのメールマガジンを 発行しています。多くの人に転送してご活用ください。 ※発行は不定期です。 ※転送は歓迎します。 ■ 連絡先 ■ 配信停止、新規購読(購読料無料)、バックナンバーのご希望等 mailto:kihonho@jtu-net.or.jp 迄ご連絡ください。 ■ No.66 目次 ■ □ 教育基本法、教育問題への世論調査 □ 各団体見解・アピール ―――――――――――――――――――――――――――――――― ■□ 教育基本法、教育問題への世論調査 ●11月28日 日経新聞 日本経済新聞社の世論調査 ◇教育基本法改正案について 「今国会成立にこだわるべきではない」55% 「今国会での成立が必要」19% 「教育基本法を改正する必要はない」11% ▽支持政党別 自民支持層 「今国会成立」25% 「今国会にこだわるべきではない」53% 「改正する必要はない」7% 民主支持層 「今国会成立」10% 「こだわるべきではない」74% 「改正する必要はない」13% ▽年代別 「今国会成立」の回答が最も多かったのは20歳代の26%。 最も低かった50歳代は13%。 ●11月27日 朝日新聞 be7 アスパラクラブ2545人 ◇教育基本法を変えると教育はよくなると思いますか? よくなる 4% 悪くなる 28% 変わらない 46% わからない 22% ◇なぜですか ・「よくなる」(複数回答・上位5項目) 道徳心が養われる 72人 伝統やくにを愛する心が養われる67人 過度な個人主義を修正できる 46人 教師の自覚が高まる 45人 教育内容が改善される 34人 ・「悪くなる」(複数回答・上位5項目) 政府に都合のいい徳目ばかり教え込まれる 503人 日の丸・君が代の強制が広がる 426人 伝統や国を愛することの強制になる 417人 教育の制度や内容が改悪される 374人 個人の自由や自発性が損なわれる 331人 ・「変わらない」(複数回答・上位5項目) 教育基本法が教育問題の原因ではない 785人 教育は主に家庭による 471人 教育は主に教員による 430人 教育は主に具体的な制度による 230人 教育は主に予算による 48人 ◇教育基本法の改正はいじめの根絶に役立つ? はい 2% いいえ 77% わからない 21% ◇政府による「やらせ発言」は 国民をバカにしている 1391人 氷山の一角 1304人 悪質 1249人 問題 1150人 不適切 1060人 ●11月14日 読売新聞(1757人からの回答) ◇次の課題の中で、あなたが、安倍内閣に優先的に取り組んでほしいものが あれば、いくつでもあげて下さい。 年金や医療など社会保障制度改革 59,9% 景気・雇用対策 50,8% 北朝鮮問題 42,6% 税制改革・消費税問題 30,0% 教育改革 29,5% 子育て支援など少子化対策 27,1% 中国や韓国などとのアジア外交 20,8% 治安・犯罪対策 20,6% 所得などの格差問題 19,6% 財政再建 18,8% 公務員削減などの行政改革 18,3% 環境対策 14,5% 防衛・安全保障 13,2% 食品安全対策 12,7% 防災など危機管理 9,0% 靖国神社問題 8,1% 憲法改正 6,3% その他、とくにない、答えない 3,4% ●11月13日 NHK、調査対象1635人のうち64%の1042人からの回答。 ◇教育基本法の改正に賛成か反対か 「賛成」 41% 「反対」10% 「どちらともいえない」40% ◇(「賛成」と答えた人に)改正案の成立時期についてどう思うか 「今の国会で成立させるべきだ」33% 「今の国会にこだわらずに時間をかけて議論すべきだ」66%。 ●10月11日 NHK 1184人からの回答。 ◇教育基本法を改正することに賛成か反対か 「賛成」 39% 「反対」 11% 「どちらともいえない」41% ◇(「賛成」と答えた人に)改正案の成立時期についてどう思うか 「今の国会で成立させるべきだ」 30% 「今の国会にこだわらずに時間をかけて議論すべきだ」69%でした。 ●9月28日 朝日新聞 996人の回答 ◇教育基本法の改正はどうするのがよいと思いますか(択一) 今の国会で成立を目指すべきだ 21% 今の国会にこだわらず、議論を続けるべきだ 66% 改正する必要はない 6% ●9月25日 東京大学基礎学力研究開発センター 全国の公立小中学校長(小学校3102校、中学校1646校) ◇政府の教育基本法改正案に賛成である 強くそう思う 1,4% そう思う 32.6% そう思わない 52,7% 全くそう思わない 13,3% ●9月6日 毎日新聞 鳥取版 大学生アンケート 毎日新聞か鳥取県内の大学生400人におこなったアンケート ◇愛国心を感じたことがありますか。 全体 男性 女性 はい 77 71 84 いいえ 22 27 16 <「はい」と答えた方に> ◇どんな時に感じましたか(二つまで選択可)。 a)五輪やサッカーW杯などのスポーツイベントを見た時 71 68 73 b)旅行・留学などで海外滞在した時 15 14 17 c)歴史認識や領土問題など国際摩擦が起きた時 22 26 18 d)学術・文化などの分野で日本人が評価、活躍した時 30 27 33 e)日の丸を見たり君が代を歌った時 6 7 4 f)その他 11 11 10 ◇愛国心は国民に必要だと思いますか。 はい 63 59 66 いいえ 33 37 29 ◇愛国心を教育基本法に規定した場合、日本はどんな国・社会になると思い ますか。 良くなる 9 13 5 悪くなる 41 37 45 変わらない 37 35 39 ◇教育基本法で愛国心を規定することについて、考え方に近いものは。 a)賛成。教育の目的として、国を愛する心を明確に盛り込むことは必要 10 15 3 b)反対。憲法の思想信条の自由など内心の自由を侵す恐れがある 58 52 65 c)分からない 30 30 30 ●5月30日 FNN世論調査 全国の成年男女2000人 ◇教育基本法改正案は今国会で成立させるべきか ・成立させるべきだ 32.2% ・成立させるべきだとは思わない 45.5% ・わからない、どちらとも言えない 22.4% ●社団法人日本PTA全国協議会 「学校と家庭の教育に関する意識調査報告書」(2006年3月)より ◇10 教育基本法改正への考え (1)教育基本法改正への考え 問29 あなたは、教育基本法の改正についてどのようにお考えになりますか。 (○は一つだけ) ★早期に改正したほうがよい 2005年 8.1 2004年 4.9 2003年 7.2 ★答申を踏まえさらに議論した上で改正した方がよい 2005年 22.4 2004年 26.0 2003年 26.1 ★答申を踏まえさらに議論した上で改正すべきか考える 2005年 53.1 2004年 47.6 2003年 49.4 ★改正する必要はない 2005年 6.5 2004年 3.6 2003年 3.9 ★その他 2005年 3.1 2004年 6.3 2003年 2.6 ★無回答 2005年 6.8 2004年 11.5 2003年 10.8 (2005年11月10日〜12月19日調査 配布数4800人、有効回収数3813人) ―――――――――――――――――――――――――――――――― □■各団体見解・アピール ●教育基本法「改正」法案に関する弁護士会会長声明・意見書等 http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/education_statement.html ●三組合共同アピール「教育基本法『改正』案の強行採決に断固抗議する」 京都大学職員組合は11月16日に、同志社大学教職員組合、立命館大学教 職員組合と共に、「教育基本法『改正』案の強行採決に断固抗議する」共同 アピールを発表しました。 〔教育基本法「改正」案の強行採決に断固抗議する〕 11月16日午後、教育基本法「改正」案が自民、公明両党などの賛成によ って、衆議院の教育基本法特別委員会につづき本会議においても強行採決さ れたことに私たちは断固抗議します。 今の臨時国会では、必要科目の履修漏れや「いじめ」問題による痛ましい 事件の続発、さらにはタウンミーティングでの「やらせ」質問が焦点になり ましたが、教育基本法の「改正」が現在の教育問題の解決にどう結びつくの か、論議を深めるべきです。それにも関わらず、強行採決に踏み切った政府・ 与党の責任は極めて重大です。 私たちは、市民の声を反映した教育制度と教育内容を実現することを強く 求めるとともに、教育基本法「改正」案の廃案を求めるものです。 2006年11月16日 同志社大学教職員組合 執行委員長 出原 政雄 立命館大学教職員組合 執行委員長 木田 融男 京都大学職員組合 中央執行委員長 小田 滋晃 ●日本私立大学教職員組合連合 〔臨時国会開会にあたり教育基本法改正案の廃案を求める声明〕 2006年10月2日 日本私立大学教職員組合連合 (日本私大教連) 中央執行委員会 1.本年4月28日、政府が国会に提出した「教育基本法案」は、5月24日 から「教育基本法に関する特別委員会」(以下、特別委)において実質的な 審議にかけられたものの、同法案の重大性が明らかになるにつれ急速に広が った反対運動と世論により、衆議院を通過できないまま国会会期末を迎え、 6月15日の特別委において継続審議となった。 2.政府案のもつ重大な問題点を改めて要約すれば、第1に、現行教育基本 法の重要な理念である、教育の有する本来の公共性と自主性、国民に対する 直接責任性を否定し、教育への国家的・権力的統制を正当化するものである こと。第2に、「愛国心」に代表される徳目主義的な教育目標を法定化し、 国公私、学校内外の別なく、あらゆる教育の領域と場面においてこれを強制 するものであること。第3に、国家的統制の下、“計画・実施・評価・評価 に基づく財政配分”サイクルを軸に、競争と格差拡大、選別・淘汰をさらに 激化させる教育「改革」を法により正当化・固定化することである。 これらは現行法の理念・性質を根本的に転換するだけでなく、憲法の精神 に反するものであり、断じて容認できるものではない。このような法案を提 出すること自体、その責任が厳に追及されるべきである。 なお、改正案第7条には大学条項が新設されたが、大学も道徳主義的な教 育目標を実行する義務を負わされるとともに、「教育振興基本計画」を軸と する教育行政の統制下に置かれることが明確である。さらには、第7条で「社 会の発展に寄与する」ことが目的として明示されたことで、政府による短期 的かつ偏向した経済政策へ大学の教育研究活動を動員する施策がいっそう 強化されることになろう。教育基本法改正によって、学問の自由と大学の自 治が根底から破壊されることは明白であり、この点からも私たちは改正案を 断じて認めることはできない。 3.先の国会での法案審議における最大の問題は、教育基本法をなぜいま全 面的に改正しなければならないのか、その理由がまったく明らかにならなか ったことである。特別委の前半における論戦の焦点は当然に改正理由に当て られたが、法案立案過程において教育基本法改正推進派がしきりに喧伝して いた、さまざまな教育問題・社会問題があたかも教育基本法に起因するかの ような議論は完全に鳴りを潜め、政府・文科省は、「教育をめぐる諸情勢の 変化の中で教育の根本にさかのぼった改革が求められている」といった極め て抽象的な「公式答弁」を繰り返すばかりで、より具体的・説得的な説明は まったくなされなかった。また多くの委員が、実質的に法案を立案した与党 検討会における議論内容の公開を迫ったが、政府は結局これに応じようとは しなかった。 こうした状況はむしろ、政府が改正理由の本質的な部分を隠蔽しているの ではないかとの疑念を深めさせるものである。教育基本法という重要な法律 を、不明確な理由で改正するなど到底許されることではない。 4.また審議の際立った特徴として、自民、民主の改正推進派により「GHQ によって抑圧された日本の伝統の復活」のための改正という主張が競うよう に展開されたことが挙げられる。すなわち、「GHQの強制によって、(中略) 日本人の精神的バックボーンが抜け落ちていたことを、おくればせながら修 正しようという点にある」、「教育基本法の改正は、憲法の改正と並んで、戦 後体制のゆがみを是正して、失われた日本の伝統と美徳を取り戻す、そうい った改正でなければならない」などといった発言が繰り返された。これらに 対し、小坂文科大臣、安倍官房長官(当時)ら閣僚、政府参考人らは、こう した主張を正面から承認する答弁はさすがに行わなかったものの、「昔の 日本の伝統・美徳を取り戻す」必要については積極的に共感するとの答弁を 繰り返した。 審議のこうした状況は、結果として、教育基本法「改正」の目的における、 現行憲法を敵視する国家主義的側面を浮き彫りにするものである。すなわち、 日本国憲法が謳う「理想」の実現を「教育の力にまつ」とした現行教育基本 法が内在させている準憲法的性格を、今次改正により解体し抹消することを 企図していることは明白である。そもそも、これら戦後憲法・教育基本法体 制の否定、戦前の道徳的価値の復権は、一部勢力の政治的要求でしかなく、 教育の営みの内から発した要請に立脚した議論では決してないのであって、 まさしく教育への「不当な支配」以外の何ものでもない。 5.安倍新首相は、総裁選挙にむけた「政権の基本的方向」において、臨時 国会で教育基本法を改正することを前提とし、「教育の抜本的改革」「『百年 の計』の教育再生スタート」を掲げ、教員免許の更新制など改革を反発があ っても推進すると決意表明し、「教育バウチャー制度」の導入や、大学の入 学時期を9月にずらしてその間を奉仕活動に充てるなど細かな具体案まで提 唱した。そして首相就任後早々に、首相直属の諮問会議として「教育再生会 議」を新設することを決定した。安倍首相は先の特別委に官房長官としてほ とんど出席し、その審議状況が極めて不十分であることを把握していながら、 また東大基礎学力開発研究センターが行った調査で、公立小中高の校長 66.1%が政府案に反対しているなど、広範に広がる改正反対の声、改正の必 要に対する疑問の声を無視して、教育基本法改正を前提とした施策を強権的 に推進する姿勢を示していることを、私たちは強く批判するものである。 6.東京地方裁判所は9月21日、国歌斉唱義務不存在確認等訴訟において、 東京都が教職員に「日の丸・君が代」を強制した通達等について、思想・良 心の自由を侵害し、教育行政による教育の「不当な支配」に当たるものとし て違憲・違法と断じる極めて正当かつ明確な判決を下した。この判決は、政 府が特別委で繰り返した、愛国心を態度として教育目標に入れることは内心 の自由の侵害にならない、法に定めるところによれば何をしても「不当な支 配」に当たらないとする答弁をも否定するものである。 私たち日本私大教連は、国会において、前通常国会での審議経過、広範な 国民世論、そして上記判決を踏まえ、政府案のもつ問題性を徹底的に明らか にし、これを廃案とすることをあらためて強く求めるものである。 以上 ●歴史学研究会委員会 〔教育基本法の「改正」案の廃案を求める声明〕 日本国憲法と教育基本法は、戦後の民主主義の基本理念を示すものとして、 成立後60年近くを経過した現在でも、その輝きを失っていない。戦前の「教 育勅語」に基づいた皇民教育によって「臣民」が育成され、これを基盤とし て戦争が遂行されたことは、教育のもつ重要性と危険性を広く認識させた。 そして教育基本法は、民主主義と平和を基軸とした教育の理念を語るととも に、教育内容に国家が介入することは適切ではないという、戦争の反省をふ まえて制定されたものであった。 ところが、このような教育基本法の理念を改め、具体的な教育内容に踏み 込んで、教育の統制を進めようという企てがなされてきており、教育基本法 は現在大きな危機にさらされている。4月28日、政府は「教育基本法改正 案」を閣議決定して国会に提出したが、この「改正案」は、現行基本法の部 分的修正・加筆ではなく、全面的改訂に近いものであった。通常国会は6月 18日に閉会し、この議事は継続審議となり、10月25日に審議が再開された。 この「改正案」は、以下にみるように大きな問題を抱えており、歴史教育に ついてもその自由を大きく束縛しかねない危険性をもっている。このような 「改正」は到底容認できるものではない。 現行の教育基本法では、教育の方針について「教育の目的は、あらゆる機 会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成す るためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自 他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければ ならない」(第2条)と述べているが、「改正案」ではこれをすべて削除し、 「教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる 目標を達成するよう行われるものとする」としたうえで、具体的な内容(徳 目)を五項目にわたって列記している。そしてその最後の第五項に「伝統と 文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他 国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という一文 が配される。これは「我が国や郷土を愛する」という、人々の心の内面にま で一定の方向づけを強要するものであり、他国を尊重するという後段部分が 配されているからといって看過できるものではない。また愛国心とともに郷 土愛を併置したことによって、愛国心の強制のニュアンスを弱めているよう にもみえるが、これも重大な問題をはらむ。かつての「教育勅語」の時代に おいても郷土愛の涵養が叫ばれたが、これは郷土愛によって国家を相対化す るというものではなく、「愛郷心は愛国心の基盤をなす」という発想によっ て遂行されたものであった。こうした過去の実態を考えるならば、国と郷土 を愛することを徳目の一つとして掲げることは大きな問題を含むといわざ るをえない。 また、これらの「国や郷土を愛する」ことをふくむさまざまな「徳目」は、 それぞれについての「態度を養う」という形で教育方針が示され、その達成 度が計られることになる。つまり、このような教育目標は、家庭教育・義務 教育・学校教育の場において、さらには大学・私立学校などでも設定され、 親や教員は目的達成のために努力しなければならないという構図になって いる。特に教員に関する部分では、「法律に定める学校の教員は、全体の奉 仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならな い」(第6条)と現行法にあるものを、「全体の奉仕者」という文言を削除し て「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研 究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と改められてい る。これとあわせて「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対 し直接に責任を負って行われるべきものである」という条文(第10条)も 「国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきものである」の部分が 「この法律及び他の法律の定めることにより行われるべきものである」へと 変えられている。教員は政府の奉仕者ではなく「全体の奉仕者」であって、 教育は「国民全体に対して責任を負って」行われるべきであるという現行法 の理念は「改正案」では全く消失し、教育は「この法律及び他の法律の定め るところ」によって行われ、教員もこの法律に定められた徳目を教えること を「自己の崇高な使命」として自覚せよ、という形になっているのである。 つまり「改正案」においては先にあげた五項目の「徳目」の達成こそが教員 の使命であり、法律上の目的達成のために尽力せざるをえなくなる。「改正 案」を通して見ると、政府が教育を道具としてとらえていることは明らかで あり、そこから外れる真理や真実を語ることを抑圧していく恐れがある。 さらに、「改正案」の末尾には、「政府は、教育の振興に関する施策の総合的 かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な 方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、こ れを国会に報告するとともに、公表しなければならない」(第17条)という 形で、教育の内容を政府が統制し、そのための施策を講じることが明示され ているのである。 そもそも教育は個々の「われわれ」の自由な工夫と努力によってなされる もので、その内容は法律によってしばられるべきではない。また自分で思考 し判断する、「ものを考える」力をつけることが教育の目標であり、国家が 個人に対して特定の「態度」を養わせようとするというのは教育目標として はふさわしくない。思考を鍛えるという課題を歴史教育も負っており、こと に「国を愛する」ことを強要した教育が何をもたらしたのか、歴史研究や歴 史教育に携わるものとして深く省みないわけにはゆかない。愛国心の涵養を 求め、国家や政府による教育内容の統制を正当化する「教育基本法改正案」 の廃案を強く望むものである。 2006年10月27日 歴史学研究会委員会 ●大学評価学会理事 〔教育基本法「改正」案の臨時国会での再審議に対する声明〕 継続審議となった政府提出の教育基本法「改正」案の再審議が今臨時国会に おいて始まろうとしています。大学評価学会は、大学評価が教育・研究のあ り方と深い関わりを有し、21世紀の学問の成否・帰趨を決する重要な課題で あることから、あるべき大学評価について広く学際的に検討していくことを 目的として設立されました。当然のことながら、教育基本法は、「教育の憲 法」と言うべきものであり、今後の大学のあり方およびその評価に対して大 きな影響を及ぼすことは確実です。本「改正」案に対し大学評価学会は重大 な関心を抱くものです。 私たちは、「改正」案に示された条項が国民の教育 権と基本的人権にとって極めて深刻な問題を有していると考えます。特に 「改正」案の第二条に「教育の目標」を新たに規定し具体的な徳目5項目を 上げている点は、評価の観点からも重大な問題を生じさせるおそれがあると 考えます。国家主導の特定の伝統・文化観からの評価が実施されるようにな れば、国民の教育権、基本的人権、さらに学問の自由を揺るがす事態に発展 することが危惧されます。また、「改正」案の第十六条(教育行政)では、国家 が「教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない」として おり、現教育基本法第十条が教育行政の役割を「諸条件の整備確立」と限定 づけるとともに教育は「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきも のである」という内容から大きく逸脱しています。このことは国家による教 育統制への道を開くものと言えます。 そして、私たちは、こうした内容に 踏み込んで議論することの必要性を指摘する以前に、その大前提として、「教 育の憲法」というべき教育基本法を「改正」するにあたっての提案経過に看 過できない重大な問題があると考えます。政府提出の教育基本法「改正」案 は、部分的な「改正」提案では全くなく、教育の基本的な考え方あるいは理 念を根本的に改編する提案と言えます。現教育基本法を廃棄し新教育基本法 を制定するという新法提案と言っても過言ではありません。にもかかわらず、 7月に終了した通常国会の「改正」案審議は内容的にも時間的に極めて不十 分なままでした。何よりも問題なのは、こうした性格を有した「改正」(= 新制定)提案にあたって国民各層における広範で十分な議論、また教育関係 者における十分な検討が行われていないということです。教育は、政治に翻 弄されてはならないし、その手段であってもなりません。本「改正」案をめ ぐる提案・審議の経過 そのものをみると、この「改正」案の提案それ自体が、政治からの教育への 「不当な介入」にあたるという疑念を払拭することはできません。 以上の 点から、大学評価学会理事は、政府が本「改正」案を速やかに取り下げ、教 育基本法改正の必要性の有無や教育の課題について、あらためて国民各層、 教育関係者における議論を十分におこなえるよう努めることを強く要請す るものです。 2006年10月15日 大学評価学会理事 **************************************** 発行 日本教職員組合 教文局 〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2 日本教育会館6F TEL 03-3265-2174 FAX 03-3230-0172 日教組ホームページ http://www.jtu-net.or.jp/ メールマガジンバックナンバー http://www.jtu-net.or.jp/ncer/kihonho/ 日教組「教育基本法」メールマガジン ・配信停止のご連絡 ・新規購読(購読料無料)のご希望 ・ご意見、ご質問 その他、各種お問い合わせは下記迄。 mailto:kihonho@jtu-net.or.jp *************************************** Created 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