| 中小企業労働者の失業と雇用に関する政策提言(第1次案) | |
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中小企業労働者の失業と雇用に関する政策提言(第1次案) 2002年3月5日 全日本港湾労働組合 全国一般労働組合全国協議会 全日本建設運輸連帯労働組合 はじめに 全日本港湾労働組合、全国一般労働組合全国協議会、全日本建設運輸連帯労働組合の3単産は、中小労働運動の強化をめざし共同闘争をすすめてきました。 �機ッ羮�企業労働者の雇用対策の必要性
(1) 完全失業率は戦後最悪水準を更新しながら推移している。90年代半ばまで2%台にすぎなかったのに、02年1月のそれは5.3%、344万人にのぼっている。そのうち倒産・解雇による失業者は、5年前には54万人だったが、現在は2倍の110万人となった。そして4人に1人が1年以上もの失業状態を強いられているのである。(このほか、総務省の01年8月調査によると、非労働力人口のうち「就業希望者」は568万人もいて、そのうち「適当な仕事がない」を理由にあげる人が216万人にものぼっている。) (2) 今日の失業は、ある特定の産業や特定の地方においてだけでおきているのでなく、すべての産業、すべての地域で同時に発生してる点、そしてかつまた短期に回復せず長期にわたっている点に第1の特徴がある。 (3) この構造調整をすすめるにあたって、大企業は新設された会社法制・倒産法制をフルに活用して、事業・企業の分割・分社化や統合・合併、国内工場の閉鎖・休止と生産拠点の海外移転などの「集中と選択」を一挙にすすめている。 (4) それを象徴するのが、99年にはじまる日産自動車のリストラといってよい。
日産は、国内の自動車生産能力を約3割削減するために、2000年度から3カ年の「ニッサン・リバイバルプラン」を実行した。その内容は、日産本体では国内5工場の閉鎖、販売会社94社のうち2割削減、そしてグループ会社の正社員2万1000人の削減となっているが、しかしこれがプラン全体ではない。部品調達をはじめ、系列の下請取引会社にたいして、納入コスト20%切下げを条件とするハードルを設けて、それまでの1150社を900社にまで絞り込むとした。 (5) 今日の失業問題のもうひとつの特徴は、失業者の退職前後の処遇に著しい格差が生じていることである。大企業と中小企業では同じ失業者でも実態に天地の開きがある。
年 収 格 差(大企業50才を100) 100 68 退 職 金 額 1000人以上 大卒2,505万円 高卒1,971万円 注1 「年収格差」は、大学卒総合職の場合のモデル賃金。大企業は3000人以上、中小企業は500人未満を指す。出所は(財)労働法令協会「2000年モデル賃金の実態」 2.政府の雇用対策の問題点 (1) 政府は、大企業の事業再編と雇用流動化のために必要な規制緩和と法整備は過去5カ年間のうちに、経済産業省主導で急ピッチですすめた。 しかし、産業再編で切り捨てられる労働者や中小企業、地域経済が再生するための法制度の整備は全く手抜き状態のままである。 (2) 労働者を保護するはずの厚生労働省の雇用対策も、90年代後半に一連の労働法制の規制緩和の一環として、「失業を出さない」から「円滑な労働移動の促進」へと変化。01年6月には業種指定の雇用調整助成金を廃止し、大量リストラ支援の改正雇用対策法を成立させた。これにより、30人以上まとまってリストラする企業は、職安所長の認定を得た場合、離職前に労働者に再就職活動のため特別有給休暇を与えた場合、1日4000円の賃金補助を受けられるようになった。 (3) 01年秋の臨時国会では、電機をはじめ大企業の大量リストラと失業率急上昇を受け、9月に「総合雇用対策」を発表し、雇用対策臨時特例法を成立させた。その内容は、�。稗垰唆箸寮�長に期待した新規成長産業で530万人の雇用創出、��公的雇用枠の拡大(3500億円)、�7盈�延長給付の拡充、にとどまった。 (4) 日本の雇用保険はもともと、給付期間・水準が欧米とくらべて著しく貧弱(産業への財政出動による雇用創出の方を重視してきたから)。今日の失業の特徴に照らしてみれば、大胆な国庫投入により、長期間つづく高失業社会に対応し、かつ大企業と中小企業労働者の処遇格差にも留意して新たな雇用保険制度を再確立しないかぎり、構造調整のもとで中小労働者と地域社会ばかりが裸同然で放り出されることになる。 (5) 加えて、労働債権保護の法整備が後回しにされ、そのツケもまた中小労働者や増大する非正規労働者に集中している。 3.政策提言の基本視点 以上の現状分析をふまえてみると、中小企業労働者の置かれた実態にふさわしい雇用対策は何一つ実行されていないに等しいといわざるをえない。 中小企業労働者にたいする雇用対策は、以下の基本観点をもとに立案されるべきである。 第1に、大企業の事業再編にともなって生ずる中小企業の経営危機や倒産、そして中小企業労働者や非正規雇用労働者の雇用問題については、大企業が責任を負うべきである。 第2に、取引価格のダンピングや下請委託契約に関する一般競争入札方式の導入など、中小企業の経営と下請労働者の雇用を脅かす大企業の不当なダンピングを規制することが必要である。 第3に、中小企業労働者および非正規雇用労働者の労働債権保護に必要な法整備を急ぐべきである。 第4に、雇用保険会計への国庫投入を前提としつつ、大量リストラを行う大企業からは雇用保険料を上積み徴収する一方、より困難な中小企業労働者に手厚い給付を実現できるよう、雇用保険の制度的枠組みを抜本的に拡充・見直しすべきである。 第5に、雇用創出のために、労働組合が行う事業を育成、助成すべきである。 �供ツ鷂世閥饌療�要求 前述の各基本観点にもとづく政策提言と具体的要求は次のとおりである。
(提言その1) 大企業の倒産や事業再編にともなう中小企業と労働者の権利保護 大企業の倒産や事業再編にともなって、専属性や依存性の高い下請中小企業で連鎖的な倒産と失業がおこるのを防ぐために、また、万が一そうした事態が生じた場合、大企業が中小企業の経営維持と労働者の権利保全のために一定の責任を負うしくみを新たにつくること。 (1) 大企業の倒産や事業再編(会社分割・分社/事業統合/工場閉鎖・休止や海外移転など)にともなって、専属性または依存度の高い系列下請中小企業で経営の維持と雇用の確保が困難になった場合、大企業にたいして系列下請中小企業の転業または廃業のための資金貸付あるいは担保提供を義務づけること。 (2) 系列下請・中小企業がやむなく会社清算に至る場合、未払賃金、解雇予告手当および退職金のそれぞれ全額が労働者に支払われるよう指導・監督すること。 (3) 当該企業の資産や国の立替払い制度で労働債権の全額が保全されない場合は、大企業が立替払いすること。 (提言その2) 事業再編にともなう自治体への協力について。地域経済の空洞化に対処するために、大企業が海外に生産拠点を移して国内工場を閉鎖する場合、自治体に対して、新たな雇用創出を目的にした一定の拠出金を支払うこと、また工場従業員の再就職対策に協力することを義務づけること。
(提言その3) 建設業やトラック運送事業、さらには自治体の下請委託業務(ビルメン事業)では、規制緩和政策にもとづいて一般競争入札方式の採用が増えているが、これら労働集約型産業においては、過剰な価格ダンピング競争が、中小企業の経営や労働者の雇用条件を侵害しないようにするための最低規制が必要である。 (1) 建設業における「入札契約適正化法」にもとづく、低入札価格調査制度を改正し、ダンピングによる労働条件切り下げを防ぐ実効性をもたせること。 (2) トラック運送事業においては、下請運送事業主の労働法令違反の是正について、荷主および元請運送事業主にも連帯責任を負わせること。 (3) 下請法(下請代金支払遅延等防止法)および建設業法を改正し、独占禁止法にもとづく大企業の優越的地位濫用禁止法制が、製造業以外のすべての下請役務提供にたいして及ぶようにすること。 (4) ILO94号条約にもとづき公契約法制を創設すること。公契約における総合評価方式の導入の促進をはかり、さらに公正労働基準を達成した制度として民間契約にも導入をはかること。 (5) 石油ローリー業など、他の代替業務を行うことが不可能な業種においては一般競争入札方式による下請業者選別を禁止すること。
(提言その4) 大企業の再編を促進するための法整備ばかりが専攻しているが、倒産時の労働債権保護は、いまだに明治・大正年代の法制でしか行われていない。この現状を変えるため、労働債権保護法制の整備を前倒しで実施すること。 (1) 賃確法を改正し、立替払の金額・対象範囲を拡充すること。 (2) 労働債権の優先順位を引き上げ、原則として公租公課および担保権に優先するようにすること。 (3) 建築職人など個人事業主性をもつ契約労働者については、請負代金や委託料のうち賃金相当部分または一定金額を労働債権として取り扱うようにすること。 (4) 民事再生から破産に移行した際の労働債権保護規定を整備すること。 (5) 未払い賃金の差押・執行手続を簡素化するために、民事執行法を改正すること。 (提言その5) 労働債権保護法制に実効性を確保するために、民事再生法・会社更生法の見直しや売掛金担保融資制度の運用に際して、規制ルールを設けること。 (1) 固定資産の証券化、売掛債権の債権譲渡、さらには売掛金を担保とする融資制度新設などによって、労働債権の優先性が形骸化している。この現状をふまえて、労働債権を保全する目的で、債権譲渡やDIP制度(民事再生法、会社更生法などにより企業再建を行う場合、再建のため申立後に融資した資金については、最優先で全額弁済を可能にする制度の新設)によって、労働債権が後まわしにされぬように規制条項を設けること。
(提言その6) 大量リストラ企業からの雇用保険料の上積み徴収 大企業の大量リストラによって雇用保険会計の悪化の度合いが早まっている現状に照らして、一定規模のリストラを行う企業からは雇用保険料を上積み徴収する制度を新たに設けるなどして、雇用保険会計を安定させること。 (1) 30人以上の人員削減を実施する事業主(雇用対策法にもとづき公共職業安定所長に「再就職援助計画」の認定を求める事業主)から、一般の雇用保険料に加えて「特別賦課金」を徴収する制度を新設し、前項の中小企業労働者向け失業給付上積み分の財源とすること。 (2) 雇用保険料の料率に賃金累進制度を導入すること。 (提言その7) グループ会社間での移動助成金利用の禁止 大企業では企業グループ内部での転籍合理化が広がっているが、このグループ内部の人事異動にすぎない再就職のために労働力移動助成金を利用することは禁止すべきである。 (1) 親会社をいったん離職したのち子会社に再就職する、といったかたちで企業グループ間や系列会社間において離職=再就職を行う場合は、雇用安定事業にもとづく、すべての助成金・奨励金の利用を禁止すること。 (提言その8) より困難な失業者への手厚い保護の実現。 中小企業労働者であって、倒産・人員整理等による非自発的離職者にたいしては、一般の失業給付に加えて、「特別加算金」を支給する制度を新たに設けること。 また、パート労働者をはじめ非正規雇用労働者も、働いた時間に応じて保険給付が受けられるように制度を改正すること。 (1) 次の要件を満たす離職者には、失業給付の給付日数を、原則として倍加したうえ、一般の失業給付以外に「特別加算金」を支給する制度を新設すること(「特別加算金」の金額は日額10%程度の上積み金額とする)。 (2) 日雇労働者の失業給付要件を緩和すること。 また、健康保険の印紙切れ対策を改善し、被保険者として一定期間の利用実績がある者については継続利用できるようにすること。 (3) 60才定年退職者は、「非自発的離職」として取り扱うようにすること。 (4) すべての労働者が社会労働保険が適用されるようにする。( 仕事のある時だけ雇用関係が成する登録型雇用=オンコールワーカー=の現状に鑑み、社会労働保険の適用基準を統一し、労働時間に応じて保険給付が受けられるよう制度の抜本的改正を検討すること。) (提言その9) 国庫の大胆な投入による雇用保険制度の再確立。 (提言その10) 職業訓練制度の見直しや年令差別禁止立法など中小労働者向けの再就職支援制度の新設。 (1) 採用に関する年令制限禁止法を速やかに制定すること。 (2) 職業訓練制度の受講者選定システムを改正し、中小労働者労働者の優先枠を設けること。
(提言その11) 地方自治体は雇用創出に積極的に取り組み、労働組合をはじめNPO,企業組合、労働者生産協同組合など労働者がおこなう事業体の活用をはかること。 (1) 地方自治体は、雇用創出効果の高いといわれる地域密着型、生活関連型の事業の育成に力を入れること。 (2) 緊急地域雇用創出特別交付金」の交付対象事業への就労は、失業者を優先させること。 (3) 緊急地域雇用創出特別交付金」の交付にあたっては、労働者がおこなう事業体への交付を優先し、事業の委託にあたっては、一般競争入札としないこと。 (提言その12) 労働者がおこなう事業体の育成を図り、税制の優遇措置をおこなうこと。 (1) 労働者がおこなう事業体への融資のおよび税制上の優遇措置をおこなうこと。 (2) 「労働者協同組合法(仮称)」を制定すること。 以 上 一部資料を省略しています Created byStaff. Created on 2002-03-07 22:59:30 / Last modified on 2005-09-05 02:58:45 Copyright: Default | |