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連帯の呼びかけ: 香港のISS清掃労働者に支持を


11月21日以来、香港のISSに雇用されている200人以上の清掃労働者がストラ イキに入っている。 ストライキ中の労働者は、香港労働組合総連合 (HKCTU) 傘下の the Hong Kong Buildings Management & Security Workers General Union に所属している。

ストライキ中の組合員のほとんどは40から55歳の女性で、ISS経営側の退職 金支払い拒否に抗議している。

このストライキは、香港の清掃労働者が20年前に組織されて以来、はじめて の組織化された行動だ。

ISS (International Service Systems) はデンマークに本社を置く多国籍企業で、 世界で最大の清掃請負業者である。 ISSは世界36か国で265,000人を雇用している。これはヨーロッパでの雇用者数 の10倍にあたる。

ストライキの背景

2001年11月30日、ISS (HK) が Mass Transit Railway (MTR) Corporation と結んだ契約が終了する。その結果、MTRの地下鉄駅清掃に従事していた 517人のISS労働者が余剰になる。香港の雇用条例によれば、2年以上継続し て雇用されていた労働者は、退職金の支給を受ける権利がある。517人の 労働者のうち352人が2年以上雇用されているため、退職金の支給を受ける 権利を持っている。

雇用条例の例外として、雇用者が新しく職場を割り当てられた場合、退職金を 支払わなくてよいことになっている。MTRとの契約終了に続き、ISS (HK)は 352人の清掃労働者を12月1日付けで転勤させた。しかし、ISS (HK) の経営側は、故意に現在の職場から遠く離れた場所に転勤させたのである。 遠距離の夜間勤務を強制することにより、労働者は 退職を余儀なくされている。(労働者の大多数が家族を持つ中年の女性であ り、新しい職場を拒否している)。

労働者たちは、ISS (HK) が彼らを解雇する代りに退職させようとしている と非難している。そうすれば、退職金支払いの義務を合法的に回避できるか らだ。異動が通知された後、労働者たちは正式な解雇と 法に定められた退職金の支払いを要求した。 労働者たちは、the Hong Kong Buildings Management & Security Workers General Unionに退職金に関する支援と仲介を依頼してきた。 退職金の支払い総額は、およそ400万香港ドル ($512,000 USドル) と見積もられている。

11月15日、200人の労働者が参席した会議では、一連の抗議行動が決議された。 この会議の後、350人の労働者が異動 (とそれによる不可避な退職) による退職金支給を求めて署名運動をはじめた。 11月18日には、MTRのセントラル駅で抗議行動と座り込みを行なった。 そしてISS (HK) の経営者に、11月21日までに回答しなければ、 ストライキを行なうと通知した。

11月21日に会社側は回答をせず、労働者はストライキに突入し、MTRの セントラル駅にピケを張った。(現在もピケは続いている)

労働者の要求の事情

ISS (HK) 労働者への退職金支払いは、香港の清掃労働者がおかれ ている極端な低賃金と社会保障の不在という点で非常に重要だ。

ISS (HK) 清掃労働者が毎月受け取る平均給与はたった3000香港ドル(384米 ドル)であり、そのうちの何人かは2,800香港ドル (US$359) しか受け取っていない。 しかもこれは、毎日6時間から10時間のフルタイムの賃金である。 この賃金は、香港のブルーカラー労働者の平均賃金を下回るものであり、 香港の社会保障協会が「貧困労働者」と分類する最低賃金グループに 属している。

香港では、貧困の主な原因は失業よりもISSの清掃労働者と同程度の賃金レ ベルの低賃金労働である。これは、国連の経済文化社会的権利委員会の 香港に関する2001年5月の報告に書かれている事実だ。 「貧困労働者」の問題は、香港には最低賃金が存在しないという事実とも 関連している。

さらに、香港には年金や失業保険、およびその他の社会保険もない。 これが、低賃金労働者にとって、退職金の支払いが非常に重要な問題となる 理由である。

「私たちが清掃労働者だからと言って彼は私たちをゴミ扱いしている!」

代表取締役は話し合いを拒否

11月23日金曜日の午後2時30分。労働者たちは ISS (HK) 本社に抗議に行った。

ISS (HK)の代表取締役、グレゴリー・ルークは、労働省の役人が出席しているに もかかわらず、直接労働者代表と組合代表と面会することを拒否した。 彼は労働者たちと同じ部屋に入ることさえ拒んだのである。 ルークは、彼の経営上の地位が高さを理由に、労働者に関する仕事はしなくても よいのだという。そのような彼の態度は労働者の代表を怒らせた。 「私たちが清掃労働者だからと言って彼は私たちをゴミ扱いしている!」

3時間以上後に、ルークは話し合いの席に付こうとせず、 そして午後9時、彼は退社すると告げた。 彼は抗議する労働者を嘲笑し、手を振りながら正面玄関に歩いていった。 労働者の代表がドアと出口をブロックして、退社を阻止した。 ルークは警官に公共秩序条例を適用して彼を建物の外に出し、 労働者を排除するするように告げたが、警官は仲介しなかった。 結局、さらに3時間後の深夜過ぎ、ルークは労働者とではなく、 HKCTUの執行委員長とだけ会談することに同意した。 最終的に、11月26日の月曜日にISS経営陣が話し合いをするという覚え書き に署名し、労働者たちは ISS (HK) の事務所を引き上げたのである。

ISSはウェブサイト (http://www.iss-group.com) で、良好な雇用関係と 労働基準をうたっている。そこには「経営陣と雇用者の平等で開かれた対話」 の文句がある。そしてまた、このようにも書かれている。 「われわれの雇用者がそれぞれの地域で、そして国境を超えて団結する自由 が、わたしたちの基本方針です。」 ISSはまた、1999年に署名された「国連人権国際協約」の署名者でもある。

ISS (HK) の代表取締役が、ISSの事務所に9時間も労働者がいたにもかかわ らず対話を拒否し続け、いかなる話し合いも拒否したことは、 ISSの「経営陣と雇用者の平等で開かれた対話」がウソであることを 明白に示すものだ。

11月26日、労働者の代表、組合の代表、そして100人の労働者が約束の 午後2時30分、ISS (HK) の事務所を訪れた。しかし、ISS側は警備業者に 建物内に労働者を入れないように手配していた。 そのため、HKCTU書記長のリー・チュクヤンとHKCTU執行委員長のエリザベス・ タンを含むたった20人しか中に入ることができなかった。 その他の労働者は建物の外に残され、ガードマンと警官に取り囲まれていた。

5時間たっても、ISSの経営陣は労働者の要求を拒否し続けていた。 話し合いからは何の結果も得られなかった。 そして労働者の代表は建物内のロビーにとどまり、労働者は徹夜で建物の外に 陣取っている。

ISS (HK) の主張

ISS (HK) の人的資源担当役員は、この労働者の異動は退職の強要を意図した ものではなく、単に退職金受給権のある労働者が遠い地域に異動になっただ けだと主張する。

経営陣は、MTRとの契約終了の影響を受けるすべての労働者に、 継続的に仕事を与えるという。 退職金受給権を持つ労働者は、たった352人しかいないが、 退職金受給権を持たない (雇用期間が2年未満) のその他の165人の労働者は 異動の対象とならず、11月30日以後の身分は未定である。

経営陣は、異動は長期的には労働者の利益になると言うが、 会社は労働者が送られる職場を開設していない。 組合が得た情報によれば、150人の労働者のうち40人以上が西九竜センター で働くという。しかし、現在、そこに職を得たのはたった8人だ。 その他の20人はKCRモンコック駅に異動することになっているが、 そこで職を得た労働者はたった4人である。 このことはつまり、会社側は本当に仕事の欠員を持っているのではなく、 この異動が長距離の異動と不便な時間帯により労働者が退職に追い込まれる ことを予想したものだろう。

さらに別の懸念は、労働者の異動先で雇用期間2年未満の労働者が解雇され る可能性があることだ。10年以上、ISS (HK) で働いている労働者によれば、 定年の60歳になって退職金をもらって退職した人を知らないという。 彼らの同僚は、60を迎える前に異動になり、退職に追い込まれるという。

会社側は、組合の要求に同意して退職金を支払うことになれば、 会社のコスト増大につながり、これらのコストは会社の顧客に転嫁される ことになるという。 ISS (HK) 代表取締役のグレゴリー・ルークはさらに、会社の年間予算には 退職金の支払いのような補償コストは含まれていないと付け加えた。

組合は、会社側は退職手当てを含む予想されるコストを年間予算に組み込む べきだと応答した。さらに重要なことは、会社は7000人の労働者の誰にも退 職金支払いの基準を用意しておらず、会社が言う「社会的な責任」 を果たせないと主張する。

顧客へのコストの転嫁という考え方も疑問がある。 MTRとの契約では、MTRは清掃業務に従事する労働者一人あたり平均 8,000香港ドルを支払うことになっているが、ISS (HK) は一人あたり3,000香港ドルしか支払っていない。 明らかに、退職金やその他の補償に当てられる余裕はあるはずだ。

闘争は続く

ISS (HK) 事務所での徹夜の座り込みが続いている。 そしてMTRのセントラル駅でのピケが再開される予定だ。 これらの行動は、HKCTUの分会と地域・社会団体によって支援されている。

これに加え、労働者の代表はHKCTU書記長のリー・チュクヤンとともに デンマークに飛んで、 コペンハーゲンのISS本社の外で抗議行動を行なうことになっている。

ISS (HK) のストライキ中の労働者を支援するために、以下の宛先に抗議の 手紙を送ってください:

    Eric Rylberg, CEO
    Martin Christensen, Vice President Human Resources
    Jan Vistisen, Managing Director International, Overseas
    ISS A./S
    Bredgade 30
    DK-1260 Copenhagen K
    Denmark
    Fax: +45 38 17 00 11

    Gregory Rooke
    Chief Executive Director
    ISS Servisystem (HK) Ltd
    9/F Stelux House
    698 Prince Edward Road East
    San Po Kong, Kowloon
    Fax: +852 2621 5260

また、コピーと連帯の手紙を以下に送ってください:

    Hong Kong Buildings Management & Security Workers General Union
    HKCTU
    19/F Wing Wong Commercial Building
    557-559 Nathan Road
    Yau Ma Tei, Kowloon
    Hong Kong
    Fax: +852 2770 7388
    Email: hkctu@hkctu.org.hk

In solidarity,

Elizabeth Tang

Chief Executive

Hong Kong Confederation of Trade Unions (HKCTU)

November 26, 2001 10pm

日本語訳文責:安田

原文は Gerard Greenfield による投稿(英文)。

訳者注: なお、ISSは日本では三井物産と提携し、 物産ISSホールディング株式会社 (東京都渋谷区千駄ヶ谷五丁目27番7号) を通じてビルメンテナンス事業を行っている。


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