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韓国:YouTube、魅惑するコンテンツと渇望する視聴者
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YouTube、魅惑するコンテンツと渇望する視聴者

[ワーカーズ]技術文化批評

キム・サンミン(文化研究者) 2018.11.20 10:52

角がちょっと丸い赤い四角の中に小さく白い三角形一つが、先端を右に向けている。 誰でも動画を共有できる動画共有ネットワークのYouTubeのアイコンだ。 この赤い四角形の中の三角は、自然に指タッチやマウスクリックを呼ぶ。 このアイコンにはすでにこれを押し、なにかのコンテンツ(音楽でも動画でも)を再生するという行為が含まれている。 またアイコンを押す行為は、それが連結する新世界に対する期待と熱望を含蓄している。

2005年にペイパル出身の三人のエンジニアが設立し、 2006年に16億5千ドル(約1兆9千億ウォン)でGoogleに売却された後、 これまでYouTubeは名実共に21世紀最高のニューメディアサービスと呼ばれるほど世界の人々から愛されている。 YouTubeは2018年現在、世界のインターネットトラフィックの10%以上を、 モバイルトラフィック全体の70%を占める程、多くの使用者(視聴者)を確保している。 1日に58万時間分のビデオがYouTubeにアップロードされ、 毎年4万6千年という時間をYouTubeの使用者がビデオ コンテンツを視聴するために消費するほど 膨大な余剰時間がYouTubeに吸い込まれていく。

YouTube革命、1人メディアの新世界

「あなたを放送しよう!(Broadcast Yourself!)」という当時のYouTubeのスローガンは、それこそ革命的だった。 「テレビに出られたら本当にうれしい」という人々の夢を難なく実現するのと同じだった。 多くのメディア企業の広報、ミュージックビデオ、映画だけでなく、 全世界の個人が作ってくれる(しばしばUCCあるいはUGCと呼ばれる)ものすごい分量の動画は 世界の人すべてを個人創作者にした。 当初、個人がYouTubeにアップロードした動画は恐らく個人が所蔵する、あるいは家族共有の目的が多かったが、 個人がメディアの創作に直接参加できるという点で、YouTubeはテレビと同じ伝統的なメディアの限界を克服する一助になった。 個人はデジタルメディア環境の中で「生産する消費者」として現われ、 画一化され商業化された文化産業から抜け出す可能性を得るようになった。

今は大学で好きなメディアを聞くと、テレビの代りにYouTubeを視聴するという学生が思ったより多い。 その数も年がたつほど増えている。 YouTubeで視聴できる動画の種類も多様化していて、 自分の趣味や生活、意見や才能を見せる1人放送の数が急速に増加している。 1人世帯と各種の一人族(一人で何かをする、例えば一人ご飯、一人遊び、一人酒などをする人々)が増加している傾向、 モバイルスマートフォンのような1人メディア機器の普遍化は、 1人放送の拡散と密接な関連があるのだろう。 つまりメディアコンテンツの生産と創作、 その消費と享有にも個人の力量で十分な社会・文化的条件が用意されているのだ。

ヘイトを拡散するプラットホーム

YouTubeは本当に魅惑的なメディアプラットホームだ。 それは私たちを笑わせ、泣かせ、慰め、また後悔させる。 YouTubeが視聴者に差し出す感情的な用途は見る人によって違う。 ゲームのストリーミングとビューティー、グルメとK-popコンテンツに心を奪われた若い世代のYouTube世界がある一方、 マインクラフトのゲームやおもちゃのレビュー、サメの家族とポロロに愛を捧げる子供たちのYouTubeの世界が存在する。 だがYouTubeの世の中は、若く幼い世代の専有物ではない。 先端メディア技術とは程遠いと思われる老齢の保守層がいつのまにかYouTubeに集まって、 彼らだけの方式でこの動画プラットホームを専有している。 彼ら自身を放送して、開かれた政治に参加する保守老人たちは、 広範囲な視聴者数と相当な購読者数を確保し、 彼らの世界で驚くべき政治的影響力を行使している。

カカオトークが彼ら世界の境界を越えて、フェイクとヘイトを広げる非常に有益な手段になったように、 YouTubeもまた極端な保守右派とヘイト勢力が気兼ねなく(なぜなら本当にそう信じているから) フェイク・ニュースとヘイトコンテンツを生産し、流布する工場の役割を果たしている。 見ることが信じることだ。 簡単に撮影してアップロードして見せてやれば、 信じる準備ができた人々は喜んで見て信じて共有する。 もちろんこれが保守指向のメディア使用者だけの特徴とはいえない。 いわゆる「合理的疑い」という名で真実を追跡する進歩指向のメディア使用者もそれを避けられない。

私たちを慰めるプラットホームであると同時に、 私たちに嫌悪を植え付けるプラットホーム、 毎時間、絶えず新しく面白いコンテンツで私たちを魅惑して、 わずかだが確実な幸福感を保障するYouTubeの世界は、 私たちの渇きをいやしつつも渇望させる。 他人のグルメ番組を見て少しの間の代理慰労が可能だが、 ますます満たされない精神的・身体的飢餓は、引続きグルメ番組を探させる。 ヘイトを広げるフェイク・ニュースの甘さ、急所を突くサイダーのような痛快さに慣れて、 使用者は画面の右側に果てしなく並ぶ類似の推薦映像にずっと手を伸ばす。

YouTubeにもテレビは生きている

誰もがファクトを叫ぶ状況で、真実は存在しない。 いっそ類似の真実の間でヘイトを抜いて出せば、フェイクは相当部分なくなるだろう。 その点でヘイト表現の禁止や差別禁止を法制化することは、 ある程度フェイク・ニュースの拡散を防ぐための有効な解決法になるかもしれない。 朴槿恵(パク・クネ)の当選がフェイク・ニュースの生産、 少数者や進歩勢力に対するヘイトの拡散の道具として、 ある程度カカオトークの影響があったとすれば、 次の大統領選挙はおそらくYouTubeを中心に(FaceBookも大きな役割をするだろううが) 行われる大々的な類似真実の戦争に勝利したグループに機会が回るのではないかと思う。

最近、子供たちの将来の希望としてYouTubeのコンテンツクリエーターが急浮上しているという話が聞こえる。 生まれるとすぐスマートフォンと友人になって、 真四角のLCDスクリーンになじんだ子供たちは、 YouTubeアイコンのこの赤くて隅が丸い四角形が何を形状化したのか知っているだろうか? YouTubeの「チューブ」はどんな意味でそう呼ばれているのか考えることがあるだろうか? われわれはまだあの時代のテレビから、テレビの古い世代から抜け出せない。[ワーカーズ48号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-11-05 16:19:23 / Last modified on 2018-11-21 07:39:37 Copyright: Default

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