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著名な「女性運動家」はなぜ「職場内いじめ」の加害者になったのか

[ワーカーズ・イシュー(2)]公共研究機関で「女性政策」を研究する「女性労働者」の内部事情

パク・タソル、ユン・ジヨン記者 2018.04.30 12:58

はじめに

2018年、女性であり、非正規職労働者なら、 2016年基準女性の経済活動参加率は男性と比べて21%ほど低い。 女性たちが経歴断絶の原因として一番多くあげるのは「勤労条件」だ。 女性の賃金は男性の64.1%程度だ。 女性労働者のうち非正規職の割合は41.0%で、男性より15%ほど高い。 女性労働者は半分(50.1%)が時間制労働をしている。 これも男性より25%ほど高い。 家事労働時間は男性より9倍多く、子供の面倒を見る時間は男性より5倍多い。

しばしば社会生活、あるいは職場生活といえば、男性中心の位階的組織文化を思い出す。 そこで各種の性差別とセクハラに耐え抜く女性労働者の職場生活は、 ドラマのおなじみの素材だ。 果たして女性のため、女性中心の、女性親和的な職場があったのか。 よく探すと、いくつかの公共機関が目に映る。 その上、女性政策を研究する機関もある。 性平等政策を研究、教育してコンサルティングも実施する所だという。 地方自治体が出演した公共機関であるのに加えて院長とセンター長などの管理者は、地域の著名な女性運動家出身だという。 ここなら権威的男性文化、女性労働を副次的なものとして扱う業務差別と非正規職から抜け出せるのではないだろうか。

だが最近思いもしなかった話が聞こえてくる。 さる2月、忠南女性政策開発院で職場内いじめの問題が起きた。 職場内いじめを受けた女性労働者が気絶して病院に運ばれた事件だった。 被害者が属する労働組合はこの事件を組織内階層関係により発生した威力の行使と見た。 事務処理の過程で発生した問題を職級が低い職員に押し付け、暴言と脅迫を加えたという。 「性平等」を主要キャッチフレーズにして、忠清南道が出資する研究機関の忠南女性政策開発院。 そこで果たしてどんなことが起きたのか。

「命令です」末端職員に経緯書集める

さる2月22日の午後。 忠南女性政策開発院セミナー室で行政チームの職員A氏が発作を起こして倒れた。 当時その場面を目撃した同僚の陳述によれば、A氏はセミナー室の床に倒れ、頭を打ち付けて泣き叫んでいた。 同僚の通報で出動した119救急隊員がA氏に話しかけたが変わらず、 「とてもつらい。なぜ私だけが苦しまなければならないか」、 「なぜ私だけそんなことをするのか」、「とても恐ろしくてくやしい」といった言葉を放言のように放った。

事件が発生する直前の3日間、A氏は人生最悪の時間を送った。 上司の暴言と脅迫で極度のストレスに苦しんだ。 発端は外部コンサルタントの賃金不払い問題の責任を誰に問うのかということだった。

忠南女性政策開発院は、女性家族部の委託を受けて性別影響分析センターを運営している。 性別影響分析センターは政策樹立の過程が女性に与える影響を分析、評価する。 開発院所属の研究員2人以上がセンター長と構成人員として兼職し、 契約職専門担当研究員1人を採用する構造だ。 忠南性別影響分析センターは昨年の予算のうち10%に該当する内部戻入金を策定せず、 これを理由に外部コンサルタント5人のコンサルティング手当てを支払わなかった。 こうした場合は通常、不払い賃金を先に返済しなければならないが、 開発院は道議会行政監査を意識して不払い賃金を今年の事業費に入れて処理しようとした。 忠南女性政策開発院のB研究員は 「今年内部研究員の業務実績を賃金を受け取れないコンサルタントの実績にして、 来年末に不払い賃金を支払うとコンサルタントに告げた」とし 「外部コンサルタントがセンター長と関係が歪むと活動半径が狭まり、うわさも経つので ほとんどそれを受け入れたが、そのうち1人が問題提起したことで問題が大きくなった」と説明した。

その後2月20日、開発院のホ某院長と行政チーム長、センター長は、事件に関する議論および計画書を作成した。 その後院長はA氏を呼んで経緯書を要求した。 責任者のセンター長と専門担当研究員、そしてA氏の三人が経緯書を作成しなければならないということだった。 A氏は意思決定権者で責任者の行政チーム長ではない自分に経緯書を要求することに納得できなかった。 A氏が経緯書作成について確答をしなかったため、院長は扉を閉めた後で強い語調で暴言をした。 B研究員の説明とA氏の記録を総合してみれば、院長は「命令だ。命令に反すればどうなるのか分かるか」と叫んだ。 また何日か後にはセンター長がA氏に「院長が執拗なので先生をどうするかわからない」、 「これは厳然な不服従だ。履行しなければさらに大きな懲戒があるかも知れない」と脅迫性の発言をしたという。 A氏はこのような状況を労働組合に共有した。 すると22日、センター長と専門担当研究員がA氏を呼び出し、 センター長は「黙ってはいない。名誉毀損で告訴する」と公開謝罪を要求して語調を高めた。 その後一人でセミナー室に行ったA氏は気絶して、大田市儒城腺病院応急室に運ばれた。 労組は該当事件を「院長-センター長-専門担当研究院-行政チーム職員」と続く職場内の階層関係で最も弱い行政チーム職員に威力が加えられた 「職場内いじめおよび弾圧事件」と規定した。

著名な女性運動家の軍隊式組織運営

忠南女性政策開発院のホ某前院長は地域で知られる著名な女性運動家だ。 富川女性労働者の会の理事、大田女民会事務局長および共同代表、 韓国女性団体連合地域委員会委員長および聖公会大NGO大学院実践女性学専攻主任教授を歴任した人物だ。 イム某センター長も、大田女民会理事などをしていた。 だが開発院所属の研究員は彼らが誰よりも反労働的、権威主義的組織運営の先頭に立ったと声を高めた。

B研究員は「月例会議をすれば院長は『これは命令です』という話をしたりした。 軍隊式文化、組織の位階秩序をはっきりさせなければ組織が運営できないという とても基礎的な組織管理の思考を持っていた」とし 「女性労働団体活動をしながら女性労働の問題を職場内性暴力、セクハラとしか認知できなくなっているという気がした。 院長は1年単位の契約職助手を指して『あの子の仕事はコーヒーを入れることだ』という発言をすることもした」と説明した。 またB氏は「コンサルタントが不払い賃金問題を提起した直後、センター長が院長に『Aは職務能力が顕著に低く、この組織に合わないので頭にくる』という否定的な話を聞いた」とし 「組織内で責任者を探さなければならない状況で、責任をなすりつけられる一番弱い輪、犠牲が必要だったことという気がする」と明らかにした。

事件発生後の3月、ホ某院長は個人的な問題を理由として辞任した。 辞任の直前、行政チーム長が内部イントラ網に書き込んだ院長の謝罪文には 「さる2月22日、A職員が院内で発作を起こして病院に運ばれたのは非常に残念だと思う」とし 「院内で発生したことについてA職員と職員の皆さんに不便な状況を続けた点に対して心から謝罪を申し上げる」という短い立場が含まれていた。 労働組合は開発院側に加害者の懲戒と役職解任および謝罪などを要求した。 これに関連して開発院側の関係者は「人事委員会で諮問を受けた結果、会計問題に対する職務範囲は明確だが、職場内いじめの諮問は難しいという意見が出てきた」とし 「(懲戒委開催に関連しては)申し上げられない」と明らかにした。

過去にも人権侵害事件議論、2年契約職研究員は「正規職転換」から排除

事実、忠南女性政策開発院では過去にも似た労働弾圧、人権侵害事件があった。 2010年から2013年までミン某院長が組織を運営していた時期だ。 ミン前院長は忠北女性民友会共同代表、清州女性の電話会長、清州性暴力相談所所長などの女性人権団体をはじめ、忠北道女性政策官を歴任した有名人だ。 都鍾煥(ト・ジョンファン)現文化体育観光部長官の妻として知られてもいる。 ミン院長は当時、月例会議で1年契約職の研究員に 「私は3年契約で、あなた方は1年契約職」という発言で問題になった。 B研究員は「月例会の時に規律を立てると研究員にそのような発言をした。 12月、年末にいつクビになるかわからないという威嚇と感じた」と説明した。 このような発言に問題意識を感じた4人の研究員が会議室に集まると、当時の行政室長はこれを不法集会と見なして「反省文を書かなければ懲戒する」と脅迫した。

これを不当だと感じた研究員の辞職も発生した。 彼らのうち乳ガン診断を受けて病暇を出した研究員は、最下位の勤務評点を受けた。 該当研究員は人権委に陳情したが無嫌疑処理になった。 ミン院長の謝罪も結局なかった。 人権侵害の論議がおきると、安熙正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事はマスコミとのインタビューで 「そんなに深刻だとは知らなかった。深刻に検討する」と明らかにしたが、その後何の措置もなされなかった。 これに関連してミン院長は、忠清南道議会行政事務監査に出席して 「私たちすべてが非正規職だという趣旨で、私は3年で皆さんは1年だと話した」と釈明した。 2013年にミン院長は退任の辞で 「誰よりも安熙正道知事に感謝する」とし 「いつも声援して下り、支持してくれたし、 私に対する良くない情報提供がある時も私を強く信じてくれた点に対してまた一度感謝申し上げる」と伝えた。

安熙正前道知事はこれまで 「性平等」を主要政策課題として強調してきた。 公共機関の全職員の人権マインドを育てるとして、すべての職員を対象に 「人権感受性向上教育」を実施した。 そればかりか公共部門非正規職正規職転換の先頭に立って推進したことでも有名だ。 だが「性平等忠南」で女性政策を研究するここの女性労働者たちの身分は相変らず2年契約の非正規職だ。 研究員12人は2年契約職、4人の助手は1年契約職だ。 B研究員は「ホ院長は昨年末、正規職転換の面談で、1年契約職助手に『採用して見ると8時間働く程の業務量もなく、業務熟練度も低い。 解雇をするなら一か月前に事前予告しなければならないが、その期間が過ぎたので2018年まで契約する』と話した」と明らかにした。

忠南女性政策開発院は忠清南道が出資する研究機関で、文在寅(ムン・ジェイン)政府の公共部門正規職転換2段階機関に含まれる。 だがこの機関は昨年11月、忠清南道に提出した正規職転換対象者リストに研究員12人全員を排除した。 総額人件費制により定員内人員に入るので、解約が簡単に発生しないという理由だ。 だが忠南女性政策開発院は昨年まで2年連続最下位勤務評点を受ければ契約を解約する低成果者解雇制度を運営してきた。 機関の関係者は「2年ごとに評価して、再採用契約書を書くが、雇用されなかったことは殆どない」とし 「ただし職員の意見をまとめて、下半期に2年ごとに再採用する規定をなくす方案を議論するものと見られる」と明らかにした。〈ワーカーズ42号〉

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-05-14 21:39:49 / Last modified on 2018-05-14 21:39:52 Copyright: Default

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