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MeToo運動と加害者学校

[ワーカーズ]バンダの質問

バンダ(フェミニスト) 2018.03.06 12:27

性暴力被害者自助の会で、時として女性たちは驚く。 加害者が違うだけで、自分が体験した被害内容と加害者の対応などがとても似ているからだ。 だからどこかに「加害者学校」があるのだろうと、自嘲的な冗談を言ったりもする。 最近もソ・ジヒョン検事のMeToo運動(#Me Too)で公開されたアン・テグン元検事の性暴力疑惑事件について、ある記者がこう話した。 その記者はイ・ジナン元検事による性暴力被害者でもあるが、 「アン・テグン元検事とイ・ジナン元検事の行為は驚くほど似」ていて、 「細かい行動まで似ていて鳥肌が立つほど」だったという。 加害者学校は本当にあるのではないだろうか。

[出処:サゲ]

#ちっぽけな男なることと男性性

職場内性暴力を根絶するために女性団体の努力で作られた職場内性暴力予防義務教育。 その講義をする人の話を聞くと「ちっぽけな男になる」講座だという皮肉を1回は聞くという。 不平の内容は主にこうだ。 「新入女子職員を男性上司の横に座らせようとするな。 会食でブルースを踊ろうと女子の同僚を抱く時、その同僚の気持ちを想像してみろ。 会食で男たちだけで性売買店に行って同質感を形成する文化から抜け出せ」。 しかし少なからぬ男たちがこうした内容を「ちっぽけな男になること」と受け止め、 男性性を薄める行為だと感じるというのだ。 いったい彼らにとって男性性とは何だろうか。

企業に通う男の知人が言う。 会食の時にやむを得ずルームサロンには行って「女性ヘルパー」のサービスは断ろうと努力するが、 それでは「神父のようにふるまうな」、「ついてるものがついていないんじゃないか」、「本当に男か」といった圧迫に苦しむという。 「女性を思い通りにして所有する行為」は自分が男性であることを立証する重要な態度だという意味だ。 業務空間の事務室でも女性の同僚への欲望を表わして接近を試みることは 「男性的いたずら」や男性らしさの延長に置かれる。 韓国社会では、男性は常に女性を欲望し、征服することが男性らしいことだ。 そんな強い男性性を立証しなければ、女性に格下げされる。

最近、イ・ヒョギョン議員がMeToo運動に参加した話を見よう。 会食でイ・ヒョギョン議員のところに同僚の男性議員が近付いてきてズボンをおろしたという。 威嚇、不快、恐怖を感じただろう。 しかし、その行動はおそらく「意地悪なこと」程度ですまそうとしたのではないか。 しかしもし会食や男性議員の前で女性議員がズボンをおろしていれば、どうだっただろうか。 目の保養になって、写真に撮られて、脅迫の道具になったり、集団性暴力被害にあったりしなければならなかったかもしれない。 脱ぐという行為は同じだが、男性のからだと女性のからだに対するこの猛烈な非対称性を作った文化に対し、問題を提起しなければならない。

#日常の実践としての性暴力

性暴力は、加害者の絶対多数が男性、被害者のほとんどが女性であるという点で、 明確に性別化された暴力であることを立証する。 特に、性暴力の加害者のほとんどが男性であるという点で、 性暴力は「男性問題」だといえる。 しかし女性たちは小さい時から一生、こんな話を聞く。 「夜遅く出歩くな、そんな服を着てはいけない、女の方が気を付けなければならない」。 そして性暴力の被害者になった時、よく聞く話。 「いったいどんな対応したのか!」(ソ・ジヒョン検事は自分が悪いのではないことに気付くまで8年かかったという。) ここまでくれば、性暴力被害を受けないように果てしなく注意して、 被害者になった時は自分を恨むのが「女性の性役割」の一つでないかと思う。

これに反して男性たちからは、せいぜい 「女性を保護しなければならない、強姦してはいけない」程度の話を聞く。 ところで男性は女性を保護もしないのだが、保護も問題だ。 保護は統制のもうひとつの言葉であり、保護されるということは、弱く、強者の道徳性に依存して自身を守る存在だという意味だ。 つまり女性は男性から「保護」されるべき存在と規定されるが、それではいったいどうして平等でありえるのか。 そして強姦をしないという言葉は重要だが、問題は何が強姦なのか、わからないという点だ。
その上、男性たちは女性のからだに接近する行為を「男性の性役割」と感じているのではないかと思う。 だから女性が男性の一方的な接近を拒否する権利を行使した時に怒る。 職場内性暴力の被害者が問題を提起すると、加害男性は恨みを抱いて陰湿な攻撃したり、 人事の不利益を与えることがよくある。 もちろん、性暴力は職場だけでなく、すべての空間で起きる普遍的な女性の経験に属する。 最近注目されたサイバー性暴力を見れば、男性たちは盗撮された女性のからだを共有・売買することにより、 不特定多数の女性に接近し征服する快感を享受する。 そして恋愛中に女性が別れようと言って男の接近を拒否すれば、 ストーキング、殴打、殺害したりもする(申告された統計だけで3日に1人がデート暴力で死亡)。 女性が自分のからだに対する主権を行使した瞬間、男性たちは怒って報復を加えるのだ。

#男性性にメスを

フェミニストとして生きようと努力する男性も加害者にならないために気を付けているが、容易ではないと告白する。 私は彼らの吐露を理解できるような気がする。 彼らも男性として成長し、男性性の証明は日常に続くためだ。 この社会の普遍的な男性性は、権力、勇気、冒険などで構成されるが、 その中で女性は重要な要素だ。 男性の権力は如何に多くの女性と性関係を持ち、所有するのかにより誇示され、 女性のからだに対する「勇気」や「冒険」は言うまでもない。

長い間フェミニストたちは話してきた。 性暴力は偶発的な事件ではなく、現在の性別規範と位階的な権力差が存在する限り、 日常の延長に登場する「自然」かつ必然的な事件だと。 これまでのように加害者をすぐに懲戒して終わらせる方式は、 長い運動の努力で社会的に表面化した性暴力をまた構造の問題ではなく、 個人間の問題に縮小させる。 何年もの激しいフェミニズム的な熱望、そしていつよりも大衆的に進められる性暴力被害者の「スピークアウト」(現在のMeToo運動)が、 いよいよ歴史的な変化をもたらすようだ。 始めて男性性にメスを入れて性別規範を解体・再構成することにより、 性暴力から安全な社会に移行する変化である。[ワーカーズ40号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-03-08 21:46:42 / Last modified on 2018-04-26 08:11:53 Copyright: Default

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