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労労対立だけが残った文在寅の正規職化

[ワーカーズ・イシュー(3)]文の「二番煎じ」政策が呼んだ労働者間の対立

キム・ハンジュ、パク・タソル、ユン・ジヨン記者 2017.12.27 16:00

文在寅(ムン・ジェイン)の正規職化が非正規職解雇事態に広がっている。 学校非正規職労働者がごっそり正規職転換の対象から除外され、契約満了で解雇されることも茶飯事だ。 子会社の設立による正規職転換という小細工も横行している。 果たして文在寅政府も IMF外国為替危機から20年目に繁殖している非正規職の亡霊を追い出せないのか。 あるいはただ放棄しているか。 雇用状況版を示しながら「成果と実績」を強調した文大統領の正規職化政策は、 歴代政府のそれとどこが違っていて、また同じなのだろうか。

過去の政府の正規職転換、何が全く同じか

盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は2004年5月に「公共部門非正規職対策」を発表し、 正規職化と公務員増員計画を明らかにした。 常時的雇用を担当する非正規職を「常用職化(正規職化)」するという内容だ。 盧武鉉政権は当時、 公共部門非正規職23万4千人(労働部、2003)のうち、 委託集配人、学校栄養士・司書など約5千人を公務員増員計画に入れた。 また、地方自治体の環境美化員、道路保守員、労働部職業相談員など約2万7千人は、 常用職化により正規職に転換するというロードマップを出した。

文在寅政権も 「正規職転換ガイドライン」を通じて常時持続的業務の正規職転換方案を出した。 2018年に9475人の公務員を増員するという計画も、盧武鉉元大統領の政策と似ている。 現在の文在寅政権の公共部門正規職転換過程の最大の議論は、 正規職転換審議委員会の拙速審議と常時業務基準に対する狭い判断だが、 これも盧武鉉の時と似ている。 2006年8月、盧武鉉政権が発表した「公共機関非正規職総合対策」でも 正規職転換審議の手続き、常時業務基準が不備なことが問題であった。 当時、政府が出した公共部門非正規職対策Q&Aによれば 「常時業務を事前に決めずに事後的に判断」するとし、 転換評価手続きに自律的な解釈の余地を残した。 だが評価手続きには9種類の転換対象例外事由を提示したが、 これは正規職転換除外の免罪符として活用され、 むしろ非正規職使用を固着させる結果を生んだ。

李明博(イ・ミョンバク)政権は、企業に正規職転換を誘導する政策を出した。 当時、政府は2009年3月「非正規職雇用安定対策」を発表して正規職転換時に事業主が負担する四大保険料を2年間50%減免すると明らかにした。 文在寅政権の雇用委員会が 「5年ロードマップ」で明らかにした「雇用優秀企業に対して政府の税制・金融支援を拡大」するという計画と類似の政策だ。

朴槿恵(パク・クネ)政権は「13〜15年公共部門非正規職正規職(無期契約職)転換計画」を公開し、 常時・持続業務非正規職6万5711人を「公正な評価」を経て無期契約職に転換すると明らかにした。 2014年12月に公開された「非正規職総合対策(案)」では、 公共部門の非正規職規模を削減する目標を提示した。 しかし総合対策は、派遣・用役など間接雇用労働者を非正規職と見ず、 そのために直接雇用の非正規職をさらに劣悪な間接雇用に追いやった。 一方、公共機関は直接雇用の非正規職を解雇して非正規職削減を実現したという詭弁をならべた。

政府と戦うのも苦しいのに、正規職はどうしろと言うのか

歴代政府はみんな期間制法や派遣法はそのままにして、一部の非正規職だけを選別し、無期契約職化する「二番煎じ」政策から抜け出せなかった。 その結果、労働者間の格差はさらに深刻になり、労労葛藤の谷も深まった。 文在寅政権は特に、 正規職に対しては「譲歩論」を、非正規職に対しては「公正な競争手続き」を強調し、 労労対立がさらに増幅される様相を見せている。

12月14日に国会議員会館で開かれた「文在寅非正規職の正規職化争点と課題」討論会で、 公共運輸労組仁川空港地域支部のオ・スノク主席副支部長が涙を流したのもそのためだ。

彼は「11月23日、仁川空港正規職転換公聴会で正規職はたったひとりの非正規職も受け入れないという立場だった。 公聴会はまるで朝鮮時代の貴族と奴隷を分けるような雰囲気だった」と涙声で話した。 労使・専門家協議会構成の段階から韓国労総は立場を別にし、 協議体構成は1か月もかかった。

民主労総仁川空港地域支部は非正規職労組、韓国労総仁川国際空港公社労組は正規職労組だ。 以前の政権では正規職が管理者としての役割に留まっていたとすれば、 現在は「無賃乗車とは何だ。公正社会公開採用」というシュプレヒコールをあて正規職化反対闘争にまで直接出ている。 仁川空港地域支部のシン・チョル政策企画局長は 「文在寅政権になって推進された正規職転換過程で、 正規職は賃金と処遇に脅かされると考え始めた」とし 「20年間、正規職、非正規職の身分階級社会断面を文在寅政権が示していると見る。 この二極化を解消すべきだという社会的共感があったのに、 現政権は二極化解消で労働者を犠牲にして対立を拡散させている。 いつか起きる労労対立が爆発したと見る」と吐露した。

仁川空港正規職転換の委託研究をしたファン・ソヌン教授によれば、 仁川空港年間売上は2兆ウォン、営業利益は1兆3千億ウォンだ。 現在公社の人件費は4千億ウォンに過ぎない。 仁川空港非正規職1万人をすべて直接雇用するために必要な財源は456億〜1096億ウォン程度に過ぎない。 それでも労使政協議会は、労労対立を口実として子会社案(正規職転換率約20%)と保安防災公社案(正規職転換率約52%)を押し通している。

[出処:青瓦台]

労労対立の中で消えた政府の責任

政府は去る7月に「公共部門正規職転換ガイドライン」を発表した。 労組の集計によれば、「教師および講師のうち特性上、転換が難しい」 期間制教師、英会話専門講師、初等スポーツ講師など約7万人をまるごと正規職転換対象から除外した。 政府が事実上、正規教員、任用試験準備生の反対の世論に押されたという指摘が続いた。 実際に、教育部門の正規職労働者は政府の対策が発表された後に「公共部門正規職転換反対」に積極的に動いた。 インターネットコミュニティで動いた反対世論は、現場で組織され始めた。 韓国教総は去る8月に期間制教師の正規職化に反対する10万署名運動を繰り広げる一方、 全国教職員労働組合の組合員は全教組が期間制教師正規職化に反対する立場を出さなければ労組を脱退すると脅した。

全教組のイ・ミンスク教育宣伝室長は 「一部の幹部は全教組が非正規職の正規職化に賛成すれば、組合員が1万から2万人も経ると言って正規職転換反対の立場を圧迫した」とし 「6月30日に学校非正規職が前面に立った社会的ゼネストに全教組が支持する立場を明らかにすると、 組合脱退の問い合わせが絶えなかった。 文在寅政権の前は、労労対立は鋭くなかった。 政府が正規職転換政策を「執行」するのでなく、世論戦ばかりをしたため、労労対立が爆発的に起きた」と伝えた。

2016年12月、朴槿恵(パク・クネ)政権の時の「教育公務職法」撤回に続いて、 文在寅(ムン・ジェイン)政府になっても学校非正規職の正規職転換が組織された正規職化反対世論で崩れた。 2017年12月、教育部の学校非正規職正規職転換率は2%、教育庁は10%内外だ。 学校非正規職当事者であった公共運輸労組教育公務職本部に所属する組合員たちは、再び挫折した。 教育公務職本部のペ・ドンサン政策局長は 「文在寅政府の非正規職ゼロ時代は事実上『正規職転換ゼロ』だった」とし 「政府は現場の対立だけを呼んで後に隠れ、 教育分野の正規職転換反対世論に乗った状況だ。 政府が本当に意志があったのなら、使用者として直接労組と交渉する方式で正規職化を推進するべきだった」と批判した。

全国期間制教師連合会のパク・ヘソン代表も 「学校現場の労労対立は政府が作ったも同然だ」とし 「期間制教師に対する任用試験準備生の反対は、 政府の誤った教員受給政策のためだが、 教育部が直接『教師は青年選好雇用と正規職転換から排除した』と話したことが労労対立をあおった」と伝えた。

民間部門も労労対立動き公共部門の様相に追従

韓国GMでは12月8日に正規職労組が非正規職を解雇する 「インソーシング(非正規職担当業務を正規職工程に移転)」に合意するということがあった。 韓国GMは年末になると契約満了による非正規職解雇問題が相次いだが、 労組が非正規職解雇に合意したことはなかった。

会社は労使合意という名分を得て、 グローバルGMの韓国物量の縮小による人員削減の礎石も用意した。 また韓国GMは、不法派遣問題で子会社設立という「小細工」による正規職化を試みることも簡単になった。 労労対立が会社に翼をつけてやったわけだ。

韓国GM昌原非正規職支会のチン・ファン事務長は 「2018年2月に予定されている不法派遣訴訟で韓国GMが敗訴すれば、 直ちに正規職転換に動くべきなのに、 公共部門の正規職転換様相によって『小細工』を働かせる可能性が高まった」とし 「仁川空港と同じように子会社雇用、新規採用を圧迫する可能性が高い。 公共部門でなされた正規職化が民間部門では『最大値』になるだろう。 今回現れた労労対立は、こうした正規職化の小細工に力を与えている」と伝えた。

SKブロードバンドは「ホームアンサービス」という子会社の設立で労労対立を呼んだ。 2016年12月、SKブロードバンドの不法個人請負が表面化すると、 会社は2017年3月に全員正規職転換を約束した。 しかしSKブロードバンドは労働者約5千人のうち4600人だけを子会社で雇用した。 労働者の意見は子会社転換-未転換と交錯した。 それでも子会社に雇用された労働者の処遇は良くなったわけではない。 むしろ下請で支払われた各種の手当てがなくなり、賃金が低下した。 子会社が導入した新しい評価制と実績強要も労働者たちを圧迫している。

労働者間の対立なしで正規職転換を実現した事例もある。 公共運輸労組医療連帯本部ソウル大病院分会の組合員約1800人のほとんどは正規職だ。 非正規職組合員は約150人だ。 去る12月、正規職の組合員は人員補充と正規職転換などを掲げて二回のストライキを行った。 その結果、12月13日にソウル大病院本院非正規職581人の正規職転換と、 28日にはソウル大ポラメ病院91人の正規職転換を引き出した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-01-04 10:51:40 / Last modified on 2018-01-04 10:51:41 Copyright: Default

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