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LNJ Logo 韓国:キム・ジンスク指導委員の復職と快癒のための五体投地(1)
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古い祈り

[ヨンジョンのバカみたいな愛](115)キム・ジンスク指導委員の復職と快癒のための五体投地デモ行進の話(1)

ヨンジョン (ルポ作家) 2020.12.21 13:40

キム・ジンスクの復職は歴史を正しく立て直すこと

「35年前、労働者の正当な権利を主張したのに国家権力機関の介入で生涯解雇者という頸木をかけられて暮らす キム・ジンスク韓進重工業最後の解雇労働者がいます。 よくご存知のように、もう定年がいくらも残っていません。 そして今は苦しい闘病生活をしています。 いくらも残っていない時間、何をするか悩み、 個人的には15日までに解決することを望む気持ちで釜山で1次五体投地をして、 もっと切迫した気持ちで今日と明日、2か所で五体投地をする予定です。」

12月17日、汝矣島産業銀行の前。 韓進重工業解雇労働者キム・ジンスク民主労総釜山地域本部指導委員の復職と快癒を望む五体投地デモ行進を知らせる記者会見が開かれた。 ソ・ヨンソプ神父(コンベントゥアル聖フランチスコ修道会、カトリック正義具現全国司祭団所属)が今回の五体投地の趣旨を説明する。 この日はキム指導委員の復職闘争178日、韓進重工業の前テント座り込み32日、 (ムン・チョルサン金属労組釜山梁山支部長とシム・ジンホ金属労組釜山梁山支部韓進重工業支会長の)ハンスト23日間になる日だ。 零下10度の寒波が予報された日だったが、 暖かい日差しがしばらく寒さを忘れさせる。

▲汝矣島産業銀行前で開かれた記者会見[出処:ヨンジョン]

「神父さんも五体投地をしなければならないあきれる現実です。 全国の多くの仲間がキム・ジンスク同志の快癒と復職のためにとても苦しみ、 切実に、そしてどうすればよいのか地団駄を踏んでいます。 見えない多くの努力と連帯で快癒と復職ができると信じます。 今日この一歩が五体投地でひざを地面につける私たちの気持ちが、 必ずそんな成果をあげると確信します。 キム・ジンスクが韓進重工業の素敵な作業服を着て明るい笑いで正門を通過して、 現場で仲間たちと弁当を食べて笑いながら、 共に時間を送る日のために、最後まで一緒にしましょう。」

11月の末、2次癌手術の一週間前にキム・ジンスク指導委員の全快を祈る三千拝を進めたキム指導委員の古い友人 パク・ムンジン保健医療労組指導委員が五体投地に参加すると決議と期待を語る。 パク・ムンジン指導委員は今年の初めまで、 嶺南大医療院解雇労働者復職を要求して227日間の高空籠城をした。 昨年末、キム・ジンスク指導委員は癌闘病中なのに釜山から パク・ムンジン指導委員が高空籠城をしている嶺南大医療院まで、 一週間徒歩行進をした。

この日は韓進重工業の主債権銀行で、売却の権限を委任された韓進重工業の実質的な使用者といえる汝矣島の産業銀行から出発して、 キム・ジンスク指導委員を解雇して復職を履行しない韓進重工業まで行く。 これまで多くの市民によるキム・ジンスク指導委員の復職要求と 「民主化運動関連者名誉回復および補償審議委員会」の勧告(2009年11月)、 釜山市議会の特別決議(2020年9月)などがあった。 しかし、韓進重工業はキム指導委員の復職が業務上背任に当たると主張して、 復職を履行せずにいる。 韓進グループの故趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長一家の数百億の横領・背任・詐欺、 あらゆるカプチル(パワハラ)と暴力などの問題で韓国社会が沸きかえったのが わずか2年前だったことを考えると苦い笑いが出てくる。

「キム・ジンスク解雇労働者が解雇されるしかなかった状況には、 国家の責任も大きいと考えます。 誤った歴史について国家を代表する人が必ず責任を取り、 この部分に対して真心からの反省と謝罪をするべきです。 それは今の政府がいつも強調する歴史を正しく立て直すことの一部分です。」

ソ・ヨンソプ神父が二日目に青瓦台の責任ある人と面談をして、 必ずこの問題を解決させるという意志も明らかにする。 五体投地の主催側は、金霽南(キム・ジェナム)青瓦台市民社会首席に面談要請文書を送ったという。

キム・ジンスクの復職が正義

「キム・ジンスクの復職が正義です。 その正義を実現する気持ちで五体投地の最初の拝をします。 働いて死なないように、差別されないように、 非正規職撤廃を望む気持ちで二番目の拝をします。 解雇は殺人です。 解雇のない世の中のために、三番目の拝をします。 重大災害企業処罰法制定を望む気持ちで10万の心を集めました。 今国会で重大災害企業処罰法が制定されることを望み、四番目の拝をします。 労働が尊重され、労働が優先される社会を望む気持ちで五番目の拝をします。」

汝矣島のLGツインタワービルの前、 五体投地参加者の切実な心を集めて、5回の拝をして五体投地を始める。

LGツインタワーの中では集団解雇撤回と雇用継承を要求する清掃労働者 80余人のストライキ座り込みが進められている。 今回の五体投地を総括するハン・ギョンア氏(非正規職ない世の中作りネットワーク執行委員)は、 彼らが中でストライキをしていて出る来られなかったという話を伝える。 清掃労働者たちがここで働きながら、多くの人格的な侮辱を受けてきたが、 労働組合を作って同僚の間に打ち解けて話せるようになってとても幸せだという。 大韓造船公社、社番23733溶接士、キム・ジンスクもまたそんな気持ちで労働組合活動を始め、 民主労組を夢見て声を上げたのだろう。

▲LGツインタワーの前で五拝を上げる五体投地参加者[出処:ヨンジョン]

「一度太鼓を打てば拝をして、また一度打てば起きます。 二回打てば行進をして。 こうすれば10歩1拝で行って、こうすれば20歩1拝、こうすれば30歩1拝で行きます。」

キム・ギョンボン(非正規労働者蟻集クルチャム(蜜の眠り))氏の簡略な五体投地の進行方法紹介に続いて本格的な五体投地が始まる。 ギターを作るコルテック工場で働いて解雇され、13年間復職闘争をしてきたが、 定年を目前にした昨年、名誉復職で闘争を終えた彼は、 あるいはくやしく佗びしい労働者の五体投地の「専門太鼓係」になった。

ギョンボン氏の太鼓の音に合わせて パク・ムンジン指導委員、ソ・ヨンソプ神父、ハン・ソンジュ前公共運輸労組教育室長、 キム・ジノク前希望連帯労組ナヌム連帯局長、4人の五体投地が始まる。 その後からは韓進重工業労働者が横断幕を持って一緒に歩く。

▲五体投地で西江大橋を渡る五体投地参加者[出処:ヨンジョン]

静かに目をとじるばかりでも祈ること

「ど〜ん」
「ど〜ん」
「どんど〜ん」

太鼓の音に合わせて五体投地の参加者が両手をあわせて10歩1拝の行進をする。 地面に額と手をつけて拝をして、また地面を踏んで起きあがって行進し、 また拝を繰り返す。

「時間がいくらも残っていおらず、先日より少し切迫した気持ちでやっているが、 ぜひ復職できれば良いというその他の考えはありません。 それ一つだけを考えていたようです。」 (ソ・ヨンソプ神父)

「鬱憤と怒りと腹立たしさ… 万感が交差します。 キム指導委員が昨年この時期に高空闘争に支援しにきたことも思い出し、 私にできることがないことの悲哀感も感じられて。 私は早く健康を回復しろとよく祈りました。 こんなに苦しいのに、復職闘争までしなければならないとんでもない現実が腹立たしい。 それでも全国の多くの仲間たちが惜しんで苦しむ気勢が、大きな道になるのではないかと期待しています。」 (パク・ムンジン指導委員)

五体投地団に従って歩く。 手をあわせて十歩歩いて止まり、また十歩歩いて止まる。 世の中にただ「キム・ジンスク復職」と「キム・ジンスク快癒」の祈りしかないような午後。 高いビルとアパートの間から時折姿を見せる暖かい日差しがありがたい。

静かに目をとじるばかりでも
祈るのだ

左手で右手を覆うだけでも
両手を胸の前であわせるだけでも
言葉なしで誰かの名前を呼ぶだけでも
夕焼けになる時、歩みを止めるだけでも
花が枯れた場で去る春の日を思い出すだけでも
祈るのだ

食べ物を長くかむだけでも
キャンドル一本を灯すだけでも
松の森をかすめる風の音に耳を傾けるだけでも
赤ん坊と目を合わせるだけでも
自動車に乗らずに歩くだけでも

イ・ムンジェ、〈古い祈り〉より

会社は産業銀行に行け、産業銀行は会社に行け、ピンポンゲーム

五体投地の旅程は順調だけではなかった。 西江大橋を渡っているときに突然警官が写真撮影をしていた取材陣と参加市民に 1mほどの柵を越えて歩道に行くことを要求しながら、もめごとが起きた。 その過程で警察が押して倒れ、 イ・ヘラン監督(女性映像集団ウム)が怪我をしてカメラが壊れる事件が発生した。

危険に見えるのはマスク着用と社会的距離などの防疫規則遵守を遵守しながら五体投地に参加する人ではなかった。 感染予防法により集会参加人員を9人以下に制限するとし、 本人どうし距離をおいたりもせずに集会参加者にぴったりついたり接触して制止する警官のほうが危険に見えた。

五体投地行進の間、麻浦駅と孝昌公園駅で短い休息を取り、 韓進重工業の労働者が準備した暖かい水とチョコバー、 チョコパイなどの間食を食べた。

▲竜山区元暁路を通る五体投地参加者[出処:ヨンジョン]

「ピンポンゲームしている。 会社は産業銀行に行け、産業銀行では会社に行け。 人命がかかっているので... 韓進は名ばかり社長で、実所有者の産業銀行が解決しなければいけません。」

麻浦駅から太鼓を叩くキム・ビョンチョル副支会長(金属労組韓進重工業支会)が、 内容を尋ねる警官に話す。 韓進重工業の労働者は4日間の休暇を出して上京し、 青瓦台で野宿座り込みをしてこの日、五体投地日程に参加している。

「本当に心が痛い。 私たちはできないことをしているからとても心が痛み、 五体投地する人たちに申し訳ありません。」

キム・ジンスク指導委員よりも1年遅く韓進重工業に入社して、 キム指導委員と同じ部署で溶接仕事をしていたナム・ジュヒョン氏は、 来年が定年だといった。

「現場で代議員をしながら弁当問題の改善活動するのを見ました。 35年の間、復職できないのは本当に残念です。 私たちが共にがんばらなければならないのに、 これまで自分たちのことだけを考えていたようで...」

キム・ジンスク指導委員が入社した頃に生まれたというチョ・ギムン氏は、 2006年に入社してからキム指導委員の演説をたくさん聞き、 会社で見ることもたびたびあったという。

「(韓進重工業に)名ばかり社長が座っているので、 まだ決断できないようです。 定年まで数日残っていますが、その前にしっかり解決して復職して、 他の人たちと共に定年退職してほしい。」

4千、4万、40万、400万の応援が感じられました

午後4時。南営駅に到着して最後の休息を取る。 南営駅を出発した五体投地行進の参加者が 五歩一拝でこの日の最後の目的地である韓進重工業ソウル本社に向かって行く。

「労働者が主人なる世の中のために最初の拝をします。 非正規職を撤廃して差別のない世の中のために二番目の拝をします。 解雇は殺人です。解雇ない世の中のために三番目の拝をします。 働いて死なないように、重大災害企業処罰法制定のために四番目の拝をします。 キム・ジンスクが私たちの希望で、私たちの正義です。 キム・ジンスクの復職がまさに平和です。 その平和のために、五番目の拝をします。」

韓進重工業本社前に到着して、最後の五拝をして、 参加者どうしが互いに挨拶を交わしながら、初日の日程を終える。 午後5時、いつのまにか太陽が見えない。

「私たちが労働組合を作った時、組合員たちの教育にもよく来て、 闘争をよく支援してくれました。 ずいぶん会うこともありましたし。 定年が残り少ないのに、このままそのままではだめです。 どんなことでもしなければという思いが大きかったのです。 ぜひ復職してほしいですね。 復職すれば健康ももっと早く回復できそうです。 復職と快癒を祈る気持ちで一緒に五体投地をして、 また追加でできることをわれわれ組合員たちと共に、どんなことでもするという考えです。」 (キム・ジノク前希望連帯労組ナヌム連帯局長)

「今日、神父さんとパク・ムンジン同志がすることになって、一緒にする時間が与えられて感謝するばかりです。 私の体重は44kgで、つらくはありませんでした。 今日は4人でしましたが、孤独でなく、大きな響きになりました。 4千、4万、40万、400万の応援が感じられました。 その気持ちがあると考えます。 そして、とても強固で力強くできたようです。 はやく復職して完治して、健康に現場に戻り、 労働者たちと抱きあって自分の足で出勤し、自分の足で歩いて出て来る日。 それが人の一生の思いでしょう。 それを韓進が責任持って解かなければと思います。」 (ハン・ソンジュ前公共運輸労組教育室長)

▲ソウル市龍山区、漢江大路韓進重工業ソウル本社前で最後の五拝を上げる五体投地参加者[出処:ヨンジョン]

島と島の間を二つの目で繋いてやるだけでも
三日月の暗い部分をながめるだけでも
われわれは祈るのだ
海にたどりついた川の発源地を想像するだけでも
流れ星の前をもっと注目するだけでも
私は決して一人ではないという事実を受け入れるだけでも
私の死はいつも私の人生と同行しているという
平凡な真理を認めるだけでも

祈るのだ
頭を上げて、空を敬い
ゆっくり息を吸い込むだけでも

イ・ムンジェ、〈古い祈り〉より

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-12-31 17:20:23 / Last modified on 2020-12-31 21:48:25 Copyright: Default

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