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働く大学院生10万人、労組にいらっしゃい

[インタビュー]国会前で座り込みに突入したシン・ジョンウク大学院生労組支部長インタビュー

パク・タソル記者 2020.10.19 15:11

2019年、刑事政策研究院による 「大学内暴力および人権侵害実態と改善法案に対する研究」によれば、80.8%の大学院生が自らを「学生労働者または労働者」と認識していた。 大学院生の自己アイデンティティは大きく変化したが、 相変らず法制度は働く大学院生をただの「学生」のままにしている。

大学院生労組は働く大学院生の労働権保障を目標として2018年に発足した。 10月6日、大学院生労組は安全な大学と大学公共性拡大を要求して 国会前で座り込みを始めた。 彼らは続く大学実験室の爆発事故、大学内カプチル(パワハラ)やいじめ、性暴力の問題など、 大学院生の人権問題が発生し続ける理由は、 大学院生の労働者性が否定されているからだと説明する。 昨年、慶北大化学館の実験室で爆発事故が発生して大怪我をした学生研究院も、 勤労契約関係ではなかったために労災保険が適用されなかった。 莫大な治療費をめぐり学校側が支援の中断を明らかにし、 大きな議論になった。

大学院労組はこれに対し、 実験室の安全強化および政府・民間課題参加学生研究院の労災適用、 権力型性暴力根絶のための各種対策などを立法化して、 大学院生の基礎的な安全を確保すべきだと話す。 最優先の要求事項は学生研究院に労災保険を適用しろという要求だ。 大学院生労組の具体的な要求事項を聞くために10月16日午後、 民主労総公共運輸労組全国大学院生労働組合支部(大学院生労組)の シン・ジョンウク支部長と座込場で会って話を交わした。

▲シン・ジョンウク民主労総公共運輸労組全国大学院生労働組合支部(大学院生労組)支部長

6日に座り込みを始めて11日目だ。どんどん寒くなるが座り込みはいつまで続けるか?

立法闘争は定期国会が終るまでする予定だ。 国政監査が終わる10月26日までは、昼に常駐する座り込みを続け、 11月初めからは野宿座り込みに拡大する計画をたてている。

大学院生労組をよく知らない人のために簡略な紹介をお願いする。

助教、学生研究院、学会幹事、講師の完全な労働基本権保障を目的として作った労組だ。 全国で35の大学に所属する大学院生が加入していて、 全体の規模は200人ほどだ。 今年はコロナ19のために現場活動が難しく組合員拡大は停滞しているが、 下半期の立法闘争を契機としてまた活動を活性化しようと思う。

4つの職群に該当する「働く大学院生」は全国的にどれくらいいるのか?

教育部や科学技術部が統計を出していないため正確な数値は分からないが、 およそ8万から10万人と推算している。 全国33万人の大学院生のうち全日制の大学院生が15万人程度だ。 このうち人文社会系列を除けば大部分の理工系列大学院生は実験室生活をしているので 学生研究員と見ることができ、 理工系列の割合を考えると8〜10万人程度と予測できる。

2017年に東国大が助教の賃金を支払わずに法的な争いになり、労働部は一部助教の労働者性を認めた。現在の助教職群は労働者性を確保されているか?

助教も細かい職群に分けられるが、授業助教と呼ばれるTA、研究助教RA、行政助教GAなどがある。 その当時は行政助教の労働者性が鮮明になった。 その後、大学で大学院生助教を労働者として雇用しなければならなくなったが、 他の方式でこれを避けていった。 行政助教に大学院生ではなく1年契約職を採用する方法をとった。 授業助教や研究助教も相変らず奨学金を与え、労働者性を認めない方式で運営されている。 最近、授業助教がコロナの防疫管理まで引き受けて仕事が増え、 あらためて学校に問題提起をしている。 授業助教がオンライン授業を準備し、建物ごとに体温、発熱管理などの業務まで担当するが、 こうした多くの業務にもかかわらず、労働ではないというので問題が生ずるほかはなかった。

19日の科放委国政監査では慶北大爆発事故関連した問題を扱う。慶北大学校が最近不払い治療費を支払う規定を作り、財政委では治療費の支払いを議決したが問題点もあると聞いた。

不払いの治療額は3億5000万ウォン程度だ。 そして重傷を負った二人の学生は、退院するまで治療が必要な状況だ。 これから治療費が発生し続け、いつまで治療を受けなければならないのかわからない。 しかし慶北大側の治療費関連規定を見ると、 療養費の支払い期間と支給額を学校の財政を考慮して決めるという条項がある。 また、被害学生を対象として後で治療費を返してもらう「求償」を請求する可能性も開いておいた。 今まで警察、国科捜などの調査で学生には容疑がないことになった。 慶北大側が5月に治療費支払いの中断を決定した時に具体的な容疑を見つからず、 学校側と学生側の過失があるのではないかという趣旨の話をしたことがあるが、 また学生の過失を口実に求償できるという点が憂慮される。 被害者の家族もこの部分を憂慮している。 今はこの事件が注目されているが、時間が過ぎて忘れられた時、 学校側の態度の変化などを察することもできるだろう。

これまで大学院で重大災害が発生した事件はどう処理されたか?

2018年には西江大で爆発事故があり、2017年には梨花女子大でも事故があった。 これらの事件がすべて隠されたと見る。 国立大の慶北大でさえこうした形で不十分な処理をしたのに、 私立大ではさらに激しい責任回避をしただろうと考えられる。 これまで大学院生が事故に遭っても組織的な助力もなかったばかりか、 助けられるような組織もなかった。 大学院生労組は慶北大事故を契機として大学に所属する学生研究員に労災適用を適用するよう労災保険法改正を要求している。 現在措置できる唯一の救済方案と思うからだ。

▲チャムセサン資料写真

予算問題が必然的だが、大学院生労組はこれをどう解くべきだと見るか?

それで高等教育財政交付金の拡大を話している。 交付金拡大があれば大学構成員の処遇を改善できる。 不正私学に財政を与えようというのではない。 目的を指定して交付金をおろせば良い。 登録金無償化、構成員処遇改善、権利改善などの具体的目的をたてるのだ。 予算だけでなくイデオロギーも、働く大学院生の足手まといになっている。 学生と労働者の役割が並行できるという思考の拡張が必要だ。 大学院生だけでなく、学習と労働の境界を分けることが難しい職群が実際にある。 例えば最も近い教授という職群が一例だろう。 この二つの権利を同時に保護する方案で再構成すれば、学内構成員すべてが保護されるはずだ。

法案に関連し課題が多い。高等教育法改正と国家研究開発課題革新法も改正しろと主張しているが、二本の法案改正と大学院生の労働者認定とはどんな関連があるか?

まず高等教育法により、大学院生を明確に労働者だと明示する作業が必要だと思う。 現在の高等教育法では教職員の下位範疇に助教が入っているが、 教職員は労働者なのでこの論理のとおりなら助教も労働者だ。 この法でさらに明確に労働者として認定するべきだと思う。 また国家研究課題革新法は、学生研究員の問題と関連がある。 政府が主導する国家研究開発の1/4程度が大学で遂行されている。 国家研究開発は現在25兆ウォンまで予算が投入されており、 大学は5〜6兆ウォン規模のプロジェクトを受注している。 一般の研究所も非正規職があるだろうが、 基本的に働く人は労働者とセッティングされている。 しかし学生研究員の労働は労働として扱われない。 大学院生本人の研究に役に立つというが、 大学院生が自分がやりたい研究課題を選択することもできない構造だ。 賃金についての部分は人件費にまとめられて 施行令と施行規則にもない制度が作られて運営されている。 国家研究開発課題革新法で研究開発に参加する大学院生の勤労契約を義務化する装置を作らければならない。

大学内の性暴力問題もかなりだ。労組では問題解決のためにどんな活動をしているか?

大学院生を対象として発生する性暴力事件の特徴は、 性的暴力と労働力搾取が結合している点だ。 被害者をプロジェクトから排除するとか、各種の論文指導を怠って数年を浪費させている。 刑事政策研究院は大学内の各種の人権侵害、性暴力問題解決のキーワードが労働権の保障だと強調している。 また労働権そのものが持つ防御権適な性格があるため、 さらに積極的に労働権保障を主張しているのだ。 私人との関係ではない労使関係だけでセクハラ問題が処罰される。 労使関係を明確にすれば問題を明確に提起することができ、 教授などの加害者の処罰をしっかり率いられる。 粗末ではあるが職場内いじめ防止法案もある。 これを活用する土台を作るためには、労働権が先決的に獲得されなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-10-25 17:29:52 / Last modified on 2020-10-25 17:29:53 Copyright: Default

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