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8年の暴力、ユソン労働者はなぜ怒りに勝てなかったのか

[寄稿]残忍な「脈絡」が削除されたユソン企業暴行事件

ト・ソンデ(ユソン企業牙山支会長) 2018.11.29 14:39

去る11月22日、ユソン企業で発生した芳しからぬ事件に関連して、 被害当事者に深い遺憾を示す。 早い快癒を望み、今後二度とあってはならないことだと考える。 だが今回の事件と関連して、はっきり確認するべき問題がある。

まずマスコミはユソン企業労組がこの事態を企画したかのように報道しているが、これは全く事実ではない。 当日、キム○○理事が牙山工場にくるという事実を労組と組合員は全く知らなかった。 偶然にキム○○理事が工場に来たことを目撃した組合員が怒って起きた偶発的な事件だ。

われわれはこの8年間、使用者側の暴力と弾圧の中で生きてきた。 われわれはこの状況を解決してくれと号泣しながら叫んだ。 しかし政府も、警察も、労働部も、労組破壊事態による組合員の苦痛を無視してきた。 これまで、労組破壊で同僚まで失った。 すべての事実がはっきりしたのに現場は正常化できなかった。 組合員たちの精神健康は悪化の一路を辿った。 それでもこのような文脈は削除して、刺激的で扇情的に単一の事件だけを報道するのはあまりにもくやしい。 なぜ労働者たちが自分の怒りに勝てなかったのかも共に見るべきではないのか。

なぜ組合員たちは怒りに勝てなかったのだろうか

事実、今回の事件はすでに予想されていた。 2011年、会社が昼間連続2交代制合意案を全面破棄し、ユソン企業労組破壊が始まった。 時を合わせて、李明博(イ・ミョンバク)元大統領はラジオ放送で 「年俸7000万ウォンを受け取る貴族労組員がストライキをするという残念なことが行われてしまった」という内容の 創造コンサルティングが作成した演説文を読んだ。 これを皮切りに青瓦台、自動車工業協会、経済人総連、国家情報院、労働部本部、労働支庁、警察庁などが一つになって、労組破壊に熱を上げた。

▲2011年に始まった会社と公権力などの労組破壊暴力[出処:メディア忠清]

労組破壊の背後には現代自動車があった。 現代車のチェ○ヒョン理事はユソン企業の昼間連続2交代制が現代自動車の労使関係に与える影響を考慮して、 ユソン企業に常駐して労組破壊を陣頭指揮した。 職場を閉鎖して労組破壊専門コンサルティング業者の創造コンサルティングと契約を結び、 500人の用役ならず者を何か月も動員して労組員に無差別に暴行を加えた。 無免許の用役ならず者が運転する自動車が歩道を襲い、労組員13人を轢いても警察は単純交通事故として処理した。 用役ならず者によって毎日20人、30人の組合員が負傷して病院に運ばれても 警察は労組員の検挙だけに血眼になっていた。 常に標的は労組員に向かっていた。 用役暴力に頭蓋骨が割られ頬骨が陥没しても、会社も、国家も、マスコミも文1行書かなかった。

団体協約に反して34人を解雇し、数百人を出勤停止させ、月給を払わなくても誰も関心を持たなかった。 管理職社員を動員して金属労組員だけを対象に観察日誌を作成し、懲戒し、刑事告訴し、賃金を削減しても、 労働部をはじめ誰も関心を傾けなかった。 牙山工場長と嶺東工場長は用役ならず者と創造コンサルティングで労組破壊を指示した人々だった。 工場の正門から作業現場までCCTVを並べて組合員を監視し、その上、隠しカメラを設置して、裸体を撮影しても彼らはすべて無嫌疑であった。

苛虐的労務管理とともに、使用者側は自分たちが作った御用労組員を確保するために熱を上げた。 会社は御用労組に引き込むために組織的に酒をおごり、食事をおごり、カラオケに酒宴まで提供した。 それでもこれは労働者の告訴、告発などの法律的ないじめに較べれば本当に礼儀正しいものだった。 これまで会社は金属労組員を対象に1300件を越える告訴、告発を乱発した。 その上、ある労組員は60件以上、告訴された。 労組で争議行為をすれば会社では詰問組、威圧組、撮影組を動員していざこざを誘発した。 そのうちにもめごとになるとオーバーに倒れてみせ、それで告訴する方式を繰り返した。 使用者側の告訴、告発に対しては迅速に捜査が着手され、裁判まで一瀉千里に進められた。 労組員が貸し切りバスで裁判に参加することまであった。

▲2011年会社が雇用した用役が労働者に深刻な暴力を加えた。[出処:メディア忠清]

▲2011年会社が雇用した用役が労働者に深刻な暴力を加えた。[出処:メディア忠清]

観察日誌に基づいて賃金を削減し、賃金カットの理由を尋ねる組合員に席に戻って働けとばかり繰り返した。 繰り返し理由を尋ねる組合員たちには命令不服従の警告状を送り、 自分を監禁したというとんでもない理由でまた告訴するなど、 賃金カットと告訴、告発が日常化された。 組合員たちは一日をあけずに警察署へ、検察へ、裁判所へと呼ばれるのに忙しかった。 団体協約解約通知を受けた後、一回も交渉はできず、 毎日カメラを持った数十人の管理職社員が労働組合の事務室と会議室を空けろと言って労働組合に押しかけた。 ついに会社は訴訟まで行い、労働組合事務室地位保全仮処分が受け入れられたが、 解雇者の工場出入りを制止して、毎日のように体当たりをした。 労働組合には客も入れなかった。 少なくとも一日前に文書で訪問者を報告しなければならず、 承認を得なければ訪問ができなかった。 上級団体の金属労組の役員が訪問しても、 労働組合の弁護人が訪問しても出入りを阻止して訴訟を進めた。 このようにして進められた裁判は数百件だ。

8年間続いた会社の暴力に精神健康悪化、
会社は労災不承認を要求して訴訟まで

数年間の労組破壊で組合員の精神健康状態は悪化していった。 離婚家庭がますます増え、自殺を試みる組合員も増えていった。 ついに懲戒と告訴、告発に苦しんだ労働者がこれに耐えられずに自殺することまで起きた。 彼の葬儀は1年経って行われたし、会社はただ一言の謝罪や遺憾の表現もなく、 焼香所の撤去だけに熱を上げた。 組合員の精神健康はさらに悪化し、結局、雇用労働部天安支庁ではユソン企業に対して臨時健康診断を命令した。 だが会社はこれさえも無視した。 雇用労働部天安支庁長と担当調査官が2回も担当検事と会い、 会社を処罰するよう要請したが、 検事は労使間の合意事項だというとんでもない理由で取調べ終結命令を下した。 金属労組員の中ですでに精神健康に関して労災承認された組合員が8人もいる。 しかし会社は、これさえもそのままにしておかなかった。 控訴時効が過ぎた1人を除く7人を対象に労災承認を取り消してくれという訴訟を提起し、 現在は1審を経て、高等法院と大法院に係留中だ。 労災要請をすれば申請するたびに会社は意見書を提出して不承認を要請した。

国家人権委員会から精神健康実態調査に行くと、 会社は集団で妨害を続け、細々と文句をつけて実態調査を妨害した。 人権委員会はすべての調査を終えたが、事件の陳情から3年4か月経った今も結果を発表していない。

▲2011年会社が雇用した用役が労働者に深刻な暴力を加えた。[出処:メディア忠清]

▲2011年会社が雇用した用役が労働者に深刻な暴力を加えた。[出処:メディア忠清]

検察の過去事委員会は、唯一の労働事件としてユソン企業労組破壊事件を調査の対象に選定した。 だがこれさえ現在進行中の現代自動車と創造コンサルティングの裁判に影響を与えるという理由で保留されてしまった。

雇用労働行政改革委員会の調査の結果、李明博元大統領が読んだ演説文を創造コンサルティングが作成したこと、 青瓦台のリュ○ヒという労働秘書官が創造コンサルティングとつながっていたこと、 そして検察のユソン企業の手抜き捜査など、 国家権力と連係したユソン企業の労組破壊事件が天下にあらわれた。 そして2012年、ユソン企業の押収捜索で、 現代車が御用労組設立と組合員確保に至るまで、労組破壊の核心的な背後だったが、 検察がこれを知りつつ見ぬふりをしたという内容などもあらわれた。 改革委は労組破壊多発事業場に対して「特別勤労監督を実施しろ」という勧告案まで出したが、 労働部は知らんふりを続けている。

「御用労組とは迅速に交渉を妥結して、金属労組とは空転を繰り返しなさい」という創造コンサルティングのコンサルティング内容に徹底的に服務した使用者側は、 御用労組とは毎年迅速に交渉を妥結させた。 また金属労組とは空転を繰り返し、2011年から2018年まで一回も交渉を妥結させなかった。 団体協約まで解約してしまい、何と3年4か月の間、一度も交渉が開かれなかった。 10月15日に金属労組委員長を含む交渉委員が交渉を要求してユソン企業ソウル事務所に居座って45日が経つが、 責任逃れの交渉だけをたった2回開いただけだ。 ぢが彼らが作った御用労組とは毎日実務交渉と本交渉を進めている。 ソウル事務所で交渉を要求している交渉団に刑事告訴と立入禁止仮処分を申請したのも、 華城実業という仮面をかぶったユソン企業だ。 泣きたい奴を殴った形で、交渉したくないユソン企業使用者側に交渉拒否の名分ができたので、 金属労組との交渉は遠のいたのだろうか?

労組破壊の核心として不当労働行為で拘束された最初の事業主の柳時英(ユ・シヨン)ユソン企業会長は、 4月19日、1年2か月の監獄生活を終えて出所した。 だが彼がまた事態の解決を拒否して賃金未払いと不当解雇、懲戒などを併合した裁判が進められていて、背任と横領でも調査されている。 しかしこれも現代車の裁判と同じように連日延期されている。

▲2011年会社が雇用した用役が労働者に深刻な暴力を加えた。[出処:メディア忠清]

そのとおりだ! 暴力行為は容認されない。 労組破壊8年間、会社の暴力にさらされた組合員は100人を越える。 そのたびにマスコミも、労働部も、警察も、政府も、すべて目を閉じ、耳を塞いだ。 その間、労働者たちの月給袋は薄くなって行き、戸籍には赤い線が引かれた。 精神健康はますます病んでいった。 半分を越える組合員がすぐに治療を要する重症憂鬱障害を病むようになった。

「これが国か?」というスローガンと共に誕生した政府の下でも、 ユソン企業の労働者たちは「これが会社か?」と叫び、毎日毎日命を延命している。 10月22日に発生した事件に対してまた一度遺憾を表明し、 同時に8年間続くユソン企業の労組破壊事件が対話と妥協で解決されることを切実に望む。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-12-02 23:52:03 / Last modified on 2018-12-02 23:52:04 Copyright: Default

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