人件費ガイドラインのない女性施設...労組のデモで契約受託終了
社会福祉士の給与テーブル一元化を
ヨン・ソンノク(客員記者) 2018.01.12 13:10
蔚山地域の女性・市民団体が女性緊急電話1366蔚山センターの正常化を要求している。
「女性緊急電話1366蔚山センターの正常化のための対策委員会」は1月11日午後、
蔚山市庁のプレスセンターで記者会見を行って
「釜山市は受託機関の解約で1366釜山センターの運営が難しくなり、
市が直接運営して委託機関を探した」とし、
蔚山市も1366蔚山センター正常化のために直接動けと要求した。
▲『女性緊急電話1366蔚山センターの正常化のための対策委員会』が11日蔚山市庁プレスセンターで1366蔚山センター正常運営を要求する記者会見を行った。[出処:1366蔚山センター正常化のための対策委]
1366蔚山センターは、運営していた委託機関が蔚山市との委託受託契約を解約したため、
1月1日から暫定閉鎖されている。
現在、緊急電話は1366中央センターへと一時移管している状態で、
被害者保護は蔚山管内他の施設の協調を求めている。(関連記事)
7年以上運営されてきた「女性緊急電話1366蔚山センター」。
こうした機関がなぜ一日で暫定閉鎖されたのだろうか。
労組員と非労組員、受託機関の社会福祉法人明るい未来福祉財団、蔚山市は、
どこも彼らなりに最善を尽くしたと話した。
しかし対立は解決せず、結局財団と蔚山市は委託受託契約を解約した。
表向きは相談員が他の相談員の懲戒を要請するなど、
相談員間(労組員と非労組員)の対立が深刻だったようだが、
その底には給与テーブルがあった。
そして財団は結局、労組のデモを契機として施設委託から手を切った。
事件発端は標準給与テーブル
1366蔚山センターがいまの状況に至った契機は、2016年3月に遡る。
当時、蔚山市庁女性家族青年課に新しく赴任した担当主務官が
1366蔚山センターの相談員賃金が不揃いで、体系がないように見えるとし、
新しく給与テーブルを作ろうと先にセンターに連絡してきた。
相談員たちは新しい給与テーブルを作るにあたり、
相談員の賃金が勤続年数とは無関係に個人ごとに異なることを知り、
夜間手当てが支払われていないことなどを確認した。
特に、センター長は相談員よりはるかに高い割合の賃金を支払っていた。
当時、相談員たちは給与テーブルを含む処遇改善案(14人中11人署名)を用意した。
だが給与テーブルを作り、合意書を作成する過程、
その後2017年の基本給3.5%引上げ問題などで相談員間で意見の差が発生し、
労組員と非労組員の対立は深刻になった。
非労組員9人は、労組側の相談員5人が主張する夜間手当ての請求と、
そして2016年に給与テーブルを用意したのに2017年に基本給3.5%の値上げを要求したのは
過度だと主張した。
労組員5人は夜間手当ては請求でき、
基本給の3.5%値上げは保健福祉部の2017年人件費ガイドライン基本方向に提示された内容だが、
財団側が号俸昇級分を入れたと反発した。
結局、財団側が夜間手当てを釜山地方労働庁蔚山支庁に陳情した4人だけに支払い、
非労組員と労組員間の対立は一層深まった。
夜間手当てを支給されたA相談員は
「その時(2016年11月)、財団が夜間手当てだけをすべての相談員に一括支給していれば、
相談員間の対立はこれ程まで深刻になっていなかった」といった。
財団側は労組員P氏が2017年に陳情や民事訴訟をして未払い賃金を支払えと判定を受けてから、
非労組員を含むすべての相談員に夜間手当てを支払った。
財団側が始末書要求と懲戒・人事発令
「雇用不安を感じて、労働組合に加入」
財団が受託契約を解止した理由
結局、労働組合員に対する懲戒が始まり、
結局財団側は委託を終了してしまった。
2016年4月に給与テーブルを作ってから、
不当懲戒と不当転出などが行われた。
財団側は2016年、相談員と市庁が給与テーブル問題をめぐり相談したとし、
センター長と相談員4人に始末書を要求して、
特定の1人(A相談員)に市庁の担当主務官との面談時に来談者の被害写真を見せたとして2次始末書を要求、
2次始末書の内容が不足だとして3次始末書も要求した。
▲人事発令をして懲戒解雇。A相談員が受けた雇用保険喪失通知書には喪失事由が『勤労者の帰責事由による懲戒解雇、勧告辞職』と記されている。財団側はA氏を正常に人事発令したと主張した。[出処:ヨン・ソンノク]
財団側は2016年10月にA相談員を人事委員会に回付して減給2か月の懲戒処分にし、
2017年2月には財団事務局へと人事発令した。
A相談員は釜山地方労働委員会に二件とも救済申請を行い、
地労委がすべて不当だと判断し、2017年6月28日に元職復帰した。
一連の過程を経て2017年3月、
相談員のうち3人が民主労総蔚山地域連帯労働組合に加入して、
その後さらに2人が加入した。
しかし労働組合が財団による透明な資料の公開と人権弾圧(経緯書と始末書要求、不当転出、不当懲戒など)を中断しろとし、
財団の理事長が担任牧師をしている教会の前でプラカードデモをすると、
財団側は契約受託を終了してしまった。
労組は、教会の前で9月17日、10月1日にデモを行い、
10月16日に財団は運営をやめると市庁と協議した。
記者が9日に会った財団側の関係者は
「財団がセンター運営を返却した最大の理由は、
労働組合が財団理事長が担任牧師をしている蔚山教会の前でデモしたから」と明らかにした。
財団は転入金まで使って労働組合が要求したことを受け入れたが、
財団の事業を支持したり後援する信徒の前でデモしたことが財団としては耐え難かったという。
「労働組合の要求でセンターを閉めたのではないか」
「対立が深刻になり、正常な業務が難しい」
1月4日、非労組員9人のうち5人と会った。
彼らは「労働組合のために財団側がセンターを運営できなくなり、
われわれは一日で失職状態になった」と不満を吐露した。
労組員は労組員なりに苦しみ、非労組員もとても疲れていた。
「私たちは無条件に賃金を上げてくれといっているではありません。
予算がなければ2014年のガイドライン適用しても認めます。
しかし転入金と後援支援金などがあるのに、
支出の細部項目の資料公開を数回要求したが、財団側は一度も細部項目を公開しません」。
労働組合に加入したA相談員の話だ。
財団側は2010年から2016年3月までの夜間手当てを明示した標準給与テーブルを作らなかったのは財団の誤りと認めた。
また財団側は保健福祉部の人件費ガイドラインをきちんと反映しない理由は、
政府と地方自治体の予算不足だという。
2017年度の補助金総額は約4億8千万ウォンだが、
保健福祉部の2017年度社会福祉施設従事者人件費ガイドラインを適用すれば、
人件費総額が補助金総額を越えるという主張だ。
労働組合が要求した支出細部項目未公開についての質問には
「労組側が細部項目を見たければ、いくらでも見られる」とし、
労組の主張は無理だと抗議した。
チョン処長は、懲戒の理由は財団ではなく相談員間の対立に始まったと弁明した。
「全国どのセンターでも起きる」
一元化された人件費ガイドラインが必要
1366蔚山センター正常化のための対策委員会のカン・ヨニ委員長(正義党蔚山市党女性委員長)は
「女性家族部が従事者に対する一元化された給与テーブルを用意し、
これを必ず履行させる強制条項を作っていれば、
1366蔚山センターのような対立はなかっただろう」といった。
続いて政府次元の対策がなければ
「1366蔚山センターの出来事は全国のどの社会福祉施設でも同じように繰り返される」と指摘した。
深刻なことは、女性家族部は人件費ガイドラインを提示もしていない。
女性家族部傘下の社会福祉施設は、保健福祉部人件費ガイドラインを準用して使っている。
2017年基準で、女性、青少年、多文化家族などの施設10分野のうち、
保健福祉部人件費ガイドラインに従っている施設は一か所もない。
女性家族電話1366は、全国平均(5号俸基準)の施設は83.9%、相談員は90.7%であった(チャン・ジェグ、「社会福祉サービス労働者の長時間、低賃金労働から抜け出すための改善方向」)。
カン・ヨニ委員長は現在の
「1366蔚山センター事態は蔚山市と女性家族部が1次責任者で、
それに続いて財団の責任があり、
労組員と非労組員はどちらも被害者」と述べた。
1366蔚山センター相談員は財団が12月31日付で受託運営を解約した後、
失業状態に置かれ、
5人の労組員は市庁が雇用継承するとし、
24時間1366蔚山センター事務室を守っている。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
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Created on 2018-01-18 16:38:31 / Last modified on 2018-01-18 16:38:34 Copyright:
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